【不動産連載Vol.3】実家の未来を決める“家じまい”実践ガイド

【不動産連載Vol.3】実家の未来を決める“家じまい”実践ガイド

本連載(全6回)では、親も自分も納得できる「後悔しない家じまい」の進め方を徹底解説。
この連載では、家じまいを考える背景やポイントを丁寧にひも解いていきます。

手続き編:家じまいの流れと準備のしかた

前回は、「家じまいは親の人生を整理することではなく、家族みんなで未来を考えるプロセス」だというお話をしました。

いきなり「売れない」と突きつける必要はありません。
まず状況を知り、事実を共有し、一緒に“より良い選択”を考える。
そのための“最初の一歩”が、今回のテーマです。

「じゃあ、具体的に何から始めればいいの?」
ここでは、家じまいの基本的な流れと、実際にやるべきステップを整理します。

この記事を書いた専門家

スタイルオブ東京藤木様

藤木賀子(ふじき・よしこ)
スタイルオブ東京株式会社 代表取締役
宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター

公式HP「実家の家じまい」https://styleoftokyo.jp/iejimai/

 

家じまいの全体フロー

※写真はイメージです。

家じまいは、だいたい次の順番で進みます。
① 現状の把握
② 所有者・相続人の確認
③ 資産価値と維持コストの整理
④ 家族で方針を決める
⑤ 名義・税・処分などの実務手続き

一つずつ見ていきましょう。

① 現状の把握 ― 書類で“家の履歴書”を知る

まず行うのは、登記簿・公図・測量図の取得です。
あわせて建物の築年数、構造、過去のリフォーム履歴も確認します。
登記簿謄本は法務局に行かなくても、オンラインで誰でも取得できます。

登記情報提供サービス(外部サイトへ遷移します)

ここで分かるのは、
・誰が所有者なのか
・建物がきちんと登記されているか
・土地の形状や境界はどうなっているか
といった“家の履歴書”。

実際に調べてみると、
「未登記の増築があった」
「境界があいまいだった」
というケースも少なくありません。
この“事実整理”が、すべての土台になります。

② 所有者・相続人の確認 ― 名義は意外と複雑

次に確認したいのが、所有者と相続人です。
登記簿で、
・誰の名義になっているか
・共有名義になっていないか
・亡くなった方の名義が残っていないか
をチェックします。

特に多いのが、
「親の名義だと思っていたら共有だった」
「祖父母の名義がそのまま残っていた」
といったケース。

名義が整理されていないと、売却も活用も進められません。
さらに、何代も前の名義が残っている場合は、相続関係をさかのぼって整理する必要があり、時間も費用もかかります。2024年4月から相続登記は義務化されました。

「そのうち」ではなく、「今のうち」に確認しておくことが大切です。

③ 資産価値と維持コストの整理 ― 査定は“会社選び”が9割

次は資産価値の把握です。
ここで注意したいのが、査定の依頼方法。
「一番高い査定額の会社に頼む」
 これはとても危険です。

実際、固定資産税評価額680万円で売り出して1年反響ゼロ。
最終的に150万円を支払って引き取ってもらったケースもあります。
査定は金額よりも、どの不動産会社に依頼するかが重要です。
詳しくはこちらの記事で解説しています。

家の査定を依頼するときの注意点(外部サイトへ遷移します)

また、査定額だけでなく、
・固定資産税
・管理費
・将来の修繕費
も整理しておきましょう。

④ 家族で方針を決める ― 感情ではなく“選択肢”

家族会議がこじれるのは、感情だけで話すからです。

査定額、維持費、修繕や解体の概算を並べ
「今の状態はこう。選択肢はこの3つ」
という形に整理すると、話は現実的になります。

残す、貸す、売る。
将来の管理方法まで含めて考えることが大切です。

⑤ 名義・税・処分などの実務手続き ― 誰と進めるか

方向性が決まったら、いよいよ実務です。
司法書士、税理士、不動産会社、行政窓口。
それぞれ専門分野は違います。

ここで注意したいのは、
「専門家に頼んだから安心」と思わないこと。

実際にあったケースです。

実家を相続し、司法書士に相続登記を依頼したものの、敷地に面する私道の名義は変更されていませんでした。
私道は固定資産税がかからないことも多く、税理士も司法書士も気づかないまま進んでしまうことがあります。

売買が絡めば不動産会社が確認しますが、
相続だけの場合、この見落としは意外と多いのです。

だからこそ大切なのは、
個別の専門家に任せきりにするのではなく、不動産・登記・税を横断的に見られる人と進めること

家じまいは、家を処分する作業ではありません。
家族の未来を設計するプロジェクトです。
小さな調査から始めて、
一つずつ現実を整えていきましょう。

次回予告

次回は、
第4回:今住んでいる「親の家」をなんとかしたい
― “まだ売らない”という選択と、できること ―

売却だけが答えではありません。
老朽化が気になる実家で、今できること。
住み続ける選択と、その準備についてお伝えします。

 

▼連載記事一覧
【不動産連載Vol.1】親が元気なうちに。なぜ「家じまい」を考える必要があるのか

【不動産連載Vol.2】親とどう話せばいいのか?家じまいの第一歩となる“対話の入り口”

 

この記事を書いた専門家

スタイルオブ東京藤木様

藤木賀子(ふじき・よしこ)
スタイルオブ東京株式会社 代表取締役
宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター

公式HP「実家の家じまい」https://styleoftokyo.jp/iejimai/

25歳で建築業界に入り業界での豊富な経験を持ち、宅建士・2級建築士を取得。いい家を追求して世界の家まで研究した結果、いい家とはお客様の価値観によって異なることに気が付き、自分が作るより、お客様の代理人としてお客様の想いを可視化・具現化・実現化することができる不動産プロデュースの道に入る。この学びを活かし、2010年に中古購入+リノベの先駆けを創出。不動産・建築・DXに精通し、現在は住まい選びの心強い代理人として活躍中。住宅ローン相談件数2,000件、住宅取得個別相談1,000件の実績を持つ。

 

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