
仕事をしながら親の介護に関わる人にとって、ケアプランはとても大切です。なぜなら、親に必要な支援だけでなく、「家族がどこまで介護を担うのか」も含めて、これからの体制を考える土台になるからです。
難しい書類の中身を覚える必要はありません。まずは「ケアプランを使って、家族だけで抱え込まない介護体制をつくれる」と知っておきましょう。
ケアプランは、一人ひとりの状態に合わせて、どのような介護・医療などのサービスを利用するかをまとめた計画書です。
要介護・要支援の認定を受け、介護保険を使ったサービスを利用するときに必要になります。
ケアプランには、本人や家族の希望、生活上の課題と目標、利用する介護サービス、1週間の予定などが複数の書類に整理されています。たとえば、自宅で暮らす親に「週に何回デイサービスを利用するか」「訪問介護をいつ利用するか」「福祉用具をどう取り入れるか」といった内容を、その人の生活や目標に合わせて組み合わせます。
つまり、「これからどんな暮らしを続けたいか」を出発点に、必要な支援を具体化していくものなのです。
書類を見ると専門用語が多く、全部理解できないと身構えてしまうかもしれません。しかし、家族にとって大切なのは書類の書き方を覚えることではありません。
「このサービスの組み合わせで、本人の暮らしと家族の生活が本当に回るのか」という視点で確認することが大切です。
要介護1〜5の人の場合、一般的には居宅介護支援事業所のケアマネジャー(介護支援専門員)に作成を依頼します。要支援1〜2の場合は、地域包括支援センターなどが中心となって介護予防のための計画を作成します。
ケアマネジャーは本人や家族の希望を聞き、必要なサービスを考え、サービスを提供する事業者との調整なども行います。
家族自身が作成する「セルフケアプラン」という方法もありますが、サービスの情報収集や事業者との調整、書類作成などを自分たちで行う必要があります。仕事をしながら介護に関わるのであれば、専門職の力を借りる方法が現実的でしょう。
まず、ケアマネジャーが本人や家族から現在の状況や希望を聞きます。その後、自宅を訪問して健康状態、生活環境、介護の状況などを確認し、必要な支援を整理します。これを「アセスメント」といいます。
その内容をもとにケアプランの原案を作り、本人や家族、介護サービス事業者などが集まって開催される「サービス担当者会議」で内容を確認します。
そこで出た意見を踏まえて調整し、本人や家族が内容に同意することでケアプランが完成し、サービスが始まります。
サービスが始まったら、それで終わりではありません。ケアマネジャーが定期的に状況を確認する「モニタリング」が行われ、必要に応じてプランを見直します。
実際にサービスを利用してみると、「思ったより家族の負担が大きい」「デイサービスの日を増やしたい」「この時間帯に支援がほしい」といったことが出てくる場合があります。
そんなときも、「一度決めたから」と我慢する必要はありません。ケアプランは、本人の状態や家族の状況に合わせて見直すことができます。介護度が変わったときだけでなく、サービスが本人や生活に合っていないと感じたときにも、ケアマネジャーへ相談できます。
介護は状況が変わっていくものです。ですから、最初から完璧なプランを作るというより、実際の生活に合わせながら調整していくものと捉えておきましょう。
親の希望や健康状態だけでなく、家族側の事情もケアマネジャーに伝えておきましょう。
たとえば、「平日は仕事があるので日中は対応できない」「遠距離なので頻繁には帰れない」「子育てもある」「急な呼び出しが続くと仕事への影響が大きい」といったことです。
「親の介護なのだから、家族が何とかしないと」と思うと、できないことは言いづらいかもしれません。しかし、家族が無理をする前提で組んだプランでは、長く続けることが難しくなります。
そのため、ケアマネジャーに相談するときは、「何をしてあげられるか」だけではなく、「ここまではできる。でも、ここから先は難しい」という情報を伝えることが、大きなポイントです。
ケアプランという言葉だけを見ると、少し堅苦しい制度の話に感じるかもしれません。
でも、仕事を続けながら介護に関わる人にとっては、「誰が、いつ、何をするのか」を整理し、自分たちだけでは難しい部分を専門職やサービスに任せていくための仕組みでもあります。
「仕事はできるだけ今まで通り続けたい」「毎週実家へ行くのは難しい」「親にはできるだけ自宅で暮らしてほしい」。そんな希望や制約を、そのまま相談してみてください。
介護を一人で背負うのではなく、ケアマネジャーと一緒に「続けられる体制」を考える。そのための道具として、ケアプランを捉えていただければと思います。