
介護の準備と言うと、つい何でもバリアフリー化やリフォームをしたほうが良いと考えてしまいがちです。
「転ばないように手すりをつけた方がいいかな」
「段差をなくしておいた方が安心かも」
親のことを思うと、早めに整えておきたくなる。
その気持ち、すごく自然です。
でも実はそのリフォーム、
あとで「やらなきゃよかったかも…」になることも少なくありません。
私は理学療法士として、現場で多くのご家庭を見てきました。
手すりをたくさんつけたのに使われていない。
昇降機をつけたのに怖くて乗らない。
むしろ動きにくくなってしまった。
そんな“もったいないリフォーム”を何度も見てきました。
理由はシンプルです。
「生活を見ずに、なんとなくで決めてしまうから」
玄関は危ないから手すり。
トイレも危ないから手すり。
お風呂もとりあえず手すり。
間違いではないけれど、
それが“その人に合っているか”は別の話です。
実際の生活は、人それぞれ全く違います。
お風呂の入り方も、立ち上がり方も、
どこに手をつくかも全部違う。
さらに、今の環境の中だからこそ、うまくやれている人も多いんです。
その「今うまくいっている形」を見ずに変えてしまうと、
逆にやりにくくなることもあるのです。
では、どうすればいいのか。
答えは、順番を間違えないことです。
ここでは、失敗しないために、ぜひ次の3ステップだけ覚えてください。
まずは家をいじる前に、生活を見ることから。
朝起きてから寝るまで、どう動いているか。
どこを通るのか。
何につかまっているのか。
「この人はどう暮らしているのか」を知ることがすべてのスタートです。
次に、プロに相談します。
ケアマネジャーやリハビリ職は、
その人の動きに合わせて必要な環境を見極めるプロです。
自己判断で進めるより、
必要なところだけに絞れるのでムダが減ります。
最後に、小さく試す。
いきなり大きな工事ではなく、
取り外しできる手すりなどから始める。
実際に使ってみて、合うかどうかを確認する。
これだけで失敗はかなり防げます。
まとめると、介護のためのリフォームで大切なのは、
一般的な「高齢者向け」の形に当てはめることではありません。
その人が今どのように暮らしているのかを見て、
動きに合わせて環境を整えていくことが重要です。
最初から完璧を目指すのではなく、専門職に相談しながら小さく試し、
状況に応じて少しずつ整えていく。
その積み重ねが、結果的に無駄のない、使いやすいリフォームにつながります。
介護は、状況が変わり続けるものです。
だから、最初から完璧に整えなくて大丈夫。
今の生活を見て、小さく試して、少しずつ整える。
その方が、結果的にうまくいきます。
「やってあげたい」という気持ちは、そのままでいい。
ただ、その一歩目を
“なんとなくのリフォーム”にしないこと。
まずは、今の暮らしを知ることから。
それだけで、失敗はぐっと減らせますよ。
佐々木 元勝(ささき・もとかつ)
理学療法士、元デイサービス管理者
新卒で理学療法士免許を取得してから約10年以上、介護現場に身を置き、現在までに介護される人・介護する家族さん達延べ3000人以上の方々と関わる。また、地域住民向けに「介護に関すること」「健康な体作り」等のセミナーを50回以上開催。介護や認知症をもっと身近に感じてもらうためのワークショップを開催している。自身の経験を元に電子書籍も2冊出版。
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