理学療法士が解説|高齢者が家で転倒しやすい場所とは?今すぐできる転倒予防対策

理学療法士が解説|高齢者が家で転倒しやすい場所とは?今すぐできる転倒予防対策

「気をつけていたのに…」家の中で転ぶ高齢者の現実

年末年始や夏休み、実家に帰ったときに
親が少しふらつく姿を見てドキッとしたことはありませんか?

「大丈夫、まだ元気だから」

そう言われても、心のどこかで

「もし転んだらどうしよう…」

と不安になる方は多いと思います。

実は、親世代も
「心配をかけたくない」と転んだことを隠しているケースも少なくありません。

実際に、要介護状態になる原因を見てみましょう。

1位:認知症(18.1%)
2位:脳卒中(15%)
3位:高齢による衰弱(13.3%)
4位:転倒・骨折(13%)

出所:厚生労働省「国民生活基礎調査(令和元年)」

 

つまり転倒は、
入院や要介護状態につながる大きなきっかけになることがあります。

とはいえ

  • 24時間見守ることはできない
  • 何から対策すればいいか分からない

という方も多いはず。

まずは「家のどこが危ないのか」を知ることから始めてみましょう。

 

どこが危ない?家の中の“転びやすい場所”

東京消防庁などの調査では、家庭内で転倒する場所の上位は次の通りです。

高齢者が転びやすい場所 TOP6

1.居間・茶の間・寝室
2.玄関
3.階段
4.廊下
5.浴室
6.台所

出所:内閣府「高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査」

どれも、毎日使う場所ばかりです。
では、それぞれどんな危険があるのでしょうか。

 

居間・寝室

意外ですが、家の中で最も転倒が多い場所です。

主な原因は

  • ラグやカーペットの端につまずく
  • スリッパが滑る
  • 靴下で滑る
  • 床に物が置いてある

日常のちょっとしたものが
転倒のきっかけになることが多い場所です。

 

玄関

玄関では次のような場面で転倒が起こります。

  • 玄関マットにつまずく
  • 靴を履くときにバランスを崩す
  • 上がり框(段差)が高い

 

特に片足立ちになる瞬間は、
バランスを崩しやすく注意が必要です。

 

階段

階段は転倒すると
大きなケガにつながりやすい場所です。

特に多いのが

  • 物を持ったまま上り下りする
  • 足元が暗い
  • 段差を踏み外す

 

といったケースです。

 

廊下

廊下は一見安全そうですが、意外と危険があります。

  • 部屋との小さな段差
  • 滑りやすい床材
  • つかまる場所がない

 

バランスを崩したときに
支えられるものがないことが転倒につながります。

 

浴室

浴室は家の中でも特に滑りやすい場所です。

  • 濡れた床
  • 石鹸やシャンプーの泡
  • 段差

 

こうした条件が重なり、転倒が起こりやすくなります。

 

台所

台所では

  • 水や油で床が滑る
  • 上の棚の物を取る
  • 振り返ったときにバランスを崩す

 

といった動作で転倒することがあります。

 

今すぐできる転倒予防の家づくり

では、転倒を防ぐためにどんな対策ができるのでしょうか。
実は、今日からできることもたくさんあります。

 

① 整理整頓をする

高齢者の家でよく見られるのが物が多いことです。
物が多いほど、つまずくリスクも増えます。

まずは次のことから始めてみましょう。

  • 床に物を置かない
  • 通り道を広くする
  • 電気コードは壁際にまとめる

 

それだけでも、転倒のリスクは大きく減ります。

 

② 足元を明るくする

夜間の転倒はとても多いです。

特におすすめなのが

  • 足元灯
  • 人感センサーライト

設置場所の例

  • 廊下
  • 階段
  • トイレまでの動線

 

夜中に電気を探さなくても明るくなる環境を作ることが大切です。

 

③ 滑りにくい環境をつくる

滑りやすい場所は、環境を整えることで改善できます。

例えば

  • 玄関マットを固定する
  • カーペットの端をめくれないようにする
  • 浴室に滑り止めマットを置く
  • 浴槽や浴室に手すりを設置する

 

小さな工夫でも、転倒リスクを大きく減らすことができます。

 

介護保険を使った住宅改修という選択肢

もし
「転びやすくなってきたかも」
「家の中が少し心配だな」

と感じたときは、
介護保険を使った住宅改修を検討することもできます。

 

例えば

  • 浴室やトイレの手すり設置
  • 段差の解消
  • 滑りにくい床材への変更

といった工事には、
介護保険で費用の補助が受けられる制度があります。

また、滑り止めマットや手すりなども、
状態によっては介護サービスとして相談できる場合があります。

「どこに相談したらいいの?」と迷ったときは、
お住まいの地域の「地域包括支援センター」に相談してみてください。

高齢者の生活や介護のことを幅広く相談でき、
住宅改修や介護サービスについても、状況に合わせて案内してもらえます。

 

まとめ:備えることは「優しさ」

高齢者の転倒は、
時には命に関わるケガにつながることもあります。

しかし、
本人の注意だけに頼るより
環境を整えるほうが、ずっと確実。

これは多くの介護専門職が口にする言葉です。

できることは、決して難しいことではありません。

例えば

  • 少し片づける
  • 照明を見直す
  • 滑り止めを置く

こうした小さな対策が、
「今日も無事でいてくれる」という安心につながります。

「まだ介護じゃないから」と思う段階でも、
地域包括支援センターなどに相談すれば、
今できる安全対策を教えてもらえます。

転ばぬ先の杖ならぬ、
転ばぬ先の知恵と工夫。

「まだ元気なうちにできること」を、
ひとつずつ整えていきませんか。

 

この記事を書いた人

佐々木 元勝(ささき・もとかつ)
理学療法士、元デイサービス管理者

新卒で理学療法士免許を取得してから約10年以上、介護現場に身を置き、現在までに介護される人・介護する家族さん達延べ3000人以上の方々と関わる。また、地域住民向けに「介護に関すること」「健康な体作り」等のセミナーを50回以上開催。介護や認知症をもっと身近に感じてもらうためのワークショップを開催している。自身の経験を元に電子書籍も2冊出版。
「超簡単 管理者・リーダーのための介護業務を整理する5つの方法」
「妻が妊娠したら、夫から始める14のこと」

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