介護はどこから始まる? 暮らしの中に出てくるサイン:外出

介護はどこから始まる? 暮らしの中に出てくるサイン:外出

外出は、生活を回す力がよく表れる行動です。

  • 予定を覚えておく。
  • 時間に合わせて準備をする。
  • 服装や持ち物を整える。
  • 家を出て、歩いて、目的地に向かう。

普段は何気なく行っていることですが、実は多くの判断や動作が組み合わさって、はじめて成り立っています。

久しぶりに親と出かけたとき、

  • 約束の時間を忘れている。
  • 歩くスピードが遅くなっている。
  • 少し歩くと休みたがる。
  • 服装や持ち物がちぐはぐになっている。

そんな変化に気づくことがあります。

「年齢のせいかな」と思って流してしまうことも多いですが、こうした変化は生活の中で起きている小さなサインのこともあります。

介護は、ある日突然始まるものではありません。
暮らしの中の変化から、少しずつ始まっていくことが多いのです。

では、なぜ外出が難しくなっていくのでしょうか。

 

外出を阻む4つの壁

外出が難しくなるのは、性格の問題ではありません。

外出という行動には、記憶、判断、身体機能など、さまざまな力が必要です。
これらの力のどこかに変化が起きると、外出が少しずつ負担になっていきます。

ここでは、外出の中で気づきやすい4つのポイントを紹介します。

 

時間の見当(予定を忘れる)

まず影響が出やすいのが、予定の管理です。

年齢を重ねると、

「今日は何曜日だったかな」
「さっき確認したのに忘れてしまった」

といったことが少しずつ増えてきます。

外出は、予定を覚えておくことから始まります。
約束の時間や出発のタイミングを忘れてしまうと、準備もできず、結果として外出の機会そのものが減っていきます。

こうした場面では、家族の間で予定を共有できる仕組みを作っておくと安心です。

 

例えば、スマートフォンのカレンダーやLINEで予定を共有しておくと、連絡の行き違いや予定忘れを防ぎやすくなります。

 

身体のハードル(歩くスピードが遅くなる)

外出の中でも大きな影響が出やすいのが、歩くことです。

以前は普通に歩いていた距離でも、
いつの間にか歩くスピードが遅くなっていることがあります。

これは多くの場合、足腰の筋力の低下が関係しています。

年齢とともに筋肉は少しずつ減っていきます。
すると、移動そのものが負担になり、外出の回数が減っていくことがあります。

そこでおすすめなのが、元気なうちから日常的に外出を習慣化しておくことです。

 

まだ介護が始まっていない段階でも、

  • 近所を散歩する
  • 買い物に歩いて行く
  • 体操教室やスポーツジムに通う

といった習慣を作っておくと、筋力の維持につながります。

 

体力のハードル(すぐ休憩したくなる)

歩くこと自体はできていても、体力が落ちている場合もあります。

少し歩いただけで、

「ちょっと休もう」
「疲れた」

と言う回数が増えてきた場合、体力の低下が起きている可能性があります。

体力が落ちると、外出は大きな負担になります。
その結果、家にいる時間が増え、活動量が減り、さらに体力が落ちていくという循環が起きることもあります。

散歩や習い事、地域の活動など、外に出る機会を少しずつ作ることは、体力を保つうえでも大切です。

外出の機会があること自体が、生活のリズムを保つことにもつながります。

 

生活の余力(身だしなみや持ち物の変化)

もう一つ見落とされやすいのが、外出の準備です。

外出するときには、

  • 財布
  • 携帯電話
  • 交通系カード
  • 服装

など、いくつもの準備が必要です。

以前はきちんと整えていたのに、

  • 持ち物を忘れる
  • 季節に合わない服装をしている
  • 身だしなみが整っていない

といった変化が見えることがあります。

こうした変化は、生活の余力が少しずつ減っているサインのこともあります。

 

もしこうした状態が続く場合、体調の変化や認知機能の変化が影響している可能性もあります。
無理に指摘するのではなく、必要に応じて医療機関への相談を考えることも大切です。

 

外出の変化は、暮らしのサイン

外出の様子には、生活の変化が現れやすいものです。

  • 予定の管理
  • 歩くスピード
  • 体力
  • 身だしなみ

こうした小さな変化に早く気づくことができれば、生活を整えるきっかけになります。
大切なのは、「できなくなったこと」だけを見ることではありません。

少しずつ環境を整えたり、生活習慣を見直したりすることで、親の生活を支えやすくなることもあります。

介護は、ある日突然始まるものではなく、
暮らしの中の小さな変化から始まることが多いものです。

だからこそ、外出の様子に少し目を向けてみることが、これからの生活を考えるヒントになるかもしれません。

 

 

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この記事を書いた人

佐々木 元勝(ささき・もとかつ)
理学療法士、元デイサービス管理者

新卒で理学療法士免許を取得してから約10年以上、介護現場に身を置き、現在までに介護される人・介護する家族さん達延べ3000人以上の方々と関わる。また、地域住民向けに「介護に関すること」「健康な体作り」等のセミナーを50回以上開催。介護や認知症をもっと身近に感じてもらうためのワークショップを開催している。自身の経験を元に電子書籍も2冊出版。
「超簡単 管理者・リーダーのための介護業務を整理する5つの方法」
「妻が妊娠したら、夫から始める14のこと」

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