介護が必要になったとき、「どこに相談すればいいのか」「何から始めればいいのか」と迷う方は少なくありません。特に仕事と介護を両立させたい人にとって、限られた時間の中で動き始めるのは大きな負担です。
そんなときに頼れる存在が、ケアマネジャー(介護支援専門員)です。介護の手続きや計画づくり、関係者との調整などを一手に引き受けてくれる、いわば“介護の司令塔”。
この記事では、ケアマネジャーと連携して介護を始めるための具体的な手順を、わかりやすく解説していきます。
ケアマネジャーは、ご本人や家族が安心して生活を送れるよう、多面的にサポートしてくれます。
まず一つ目は、介護保険に関わる事務手続きの代行です。要介護認定の申請、更新、サービス事業所との契約など、複雑で煩雑な作業を一括してサポートしてくれます。書類を揃えたり市役所に行ったりする手間を省けるのは、働く家族にとっても大きな助けになります。
二つ目は、地域のサービスを選び、介護の計画(ケアプラン)を立ててくれること。たとえば、どのデイサービスが親御さんに合っているか、どんなヘルパーが来てくれるかといった情報は、地域事情に精通しているケアマネジャーだからこそ提案できるポイントです。さらに、介護スケジュールの調整や体験利用の手配なども含めて動いてくれます。
そして三つ目は、定期的な訪問と継続的なフォローです。サービスが始まったあとも、ケアマネジャーは親御さんの様子を確認するために定期訪問を行います。小さな変化にも気づいてくれるため、状況が悪化する前に対応することが可能になります。
ケアマネジャーに相談するとき、「家族のほうから何を話せばいいの?」と不安に思うかもしれません。実は、次の3つの情報を共有するだけで、その後のプラン作成が格段にスムーズになります。
1. あなた自身の生活スタイルや仕事の状況
たとえば「平日は忙しいが土曜は時間がとれる」「遠距離で頻繁には通えない」など。こうした情報があると、介護サービスの時間帯や役割分担をより現実的に組み立てることができます。
2. 連絡が取りやすい時間帯や手段
ケアマネジャーとの連絡は、サービスの調整や報告のやりとりなどで発生します。お互いに連絡しやすい時間や、メールやSNSなど希望する連絡手段を共有しておくことで、無駄なすれ違いを防ぐことができます。
3. 元気だった頃の親御さんの価値観や趣味
「音楽が好き」「人と話すのが好き」「一人で過ごすのが得意」といった情報は、どんな事業所やサービスが合うかを見極める際のヒントになります。本人の意欲を引き出すような支援につなげるためにも、大切な材料です。
「いいケアマネジャーと出会えるか不安」という声も聞きます。けれど、探し方のステップを知っておけば、過度に心配する必要はありません。
まず、「居宅介護支援事業所」のリストを地域包括支援センターや自治体の介護保険課で入手しましょう。これはケアマネジャーが所属する事業所の一覧です。
次に、自宅から通いやすい場所にある事業所へ電話連絡をします。訪問のしやすさは対応の早さにもつながるため、近隣でのマッチングがおすすめです。電話口では、今の状況を簡単に伝えて、担当してもらえるかを確認しましょう。
そして、初回の顔合わせ日時を決めて、実際に会って話をする。その際に「こんなふうに関わってもらえるとありがたい」という希望を伝えておくと、より信頼関係が築きやすくなります。
介護サービスの手続きは、最初の一歩がとても重たく感じられるものです。でも、実際にケアマネジャーに相談してみると、「ここまでやってくれるんだ」と驚く方も少なくありません。
なお、ケアマネジャーとは相性が合わないと感じた場合、変更することも可能です。遠慮せず地域包括支援センターや自治体の介護保険課に相談してみましょう。
仕事をしながらの介護に不安を感じている方にこそ、ケアマネジャーとの連携は心強い味方になります。今回ご紹介した内容をヒントに、無理のない形でケアマネジャーとの関係が築けることを願っています。
介護プロ編集部