イライラを減らす介護×育児の整え方――感情のリセット3分ルール

イライラを減らす介護×育児の整え方――感情のリセット3分ルール

がんばる人ほど、感情をためやすい

育児と介護、どちらも「待ったなし」。
相手のペースに合わせるうちに、自分の気持ちは後回しになりがちです。
「なんで私だけ」「もう限界かも」――そう感じるのは自然なこと。
そんなとき大切なのは、“ためない仕組み”をもつことです。

 

福島県・山田佳代さん(仮名・30代)の場合

育休中、0歳と2歳の男の子を育てながら、両親と一緒に副介護者として近所に住む90歳の祖母の世話も担う佳代さん。

祖母は要介護1で、週に2回デイサービスを利用していますが、普段は杖を突きながら自分でなんとか歩くことができています。

赤ちゃんを抱っこし、2歳児と祖母の手を引いて歩く“3人手つなぎ散歩”が日課です。

「おばあちゃん、もう少し」「ママ、抱っこ〜」一日中、誰かを励まし、誰かの声に応える日々。

笑顔を保とうとするほど、心の中では“感情の渋滞”が起きていました。

 

3分でできる感情リセット:言葉にするリセット

そんなとき佳代さんが見つけたのは、夜にノートを開いて気持ちを書き出す方法。「ジャーナリング」とも呼ばれる、自分の思考や感情を吐き出しながら整理する手法です。

 

 

「疲れた」「もう無理」「でも、子ども達やおばあちゃんと今日も買い物に行けた」

 

どんな言葉でも、誰にも見せない前提でノートに書きます。

ノートを見た後、自分の感情を客観的に振り返ると、
次第に家族への言葉も変わっていきました。

「早くして!」が「もう出る時間だよね?」に。
「なんで手伝ってくれないの!」が「これ、お願いできる?」に。

小さな言い換えが、家族との関係をやわらげることにも役立ちました。

 

こんなリセット方法も

佳代さんの「夜ノート」のように、感情を切り替える方法は一つではありません。
他にも、ほんの3分でできるリセット法が考えられます。ご自分に合ったやり方をぜひ見つけてみてください。

 

1.思考を休めるリセット

  • 方法:3分間、スマホのタイマーをセットして深呼吸。吸うときに「元気」、吐くときに「手放す」など一言を心で唱える。
  • 効果:身体と心が自然に落ち着き、「イライラしている自分」から「ただ呼吸している自分」へ切り替わる。

 

2.音の切り替えリセット

  • 方法:お気に入りの音楽を1曲(3分ほど)聴く。できれば歌詞のないインストゥルメンタルや自然音。
  • 効果:感情の波が音に溶けていき、気分のトーンが変わる。短時間で「場の空気」を切り替えることができる。

 

3.身体を動かすリセット

  • 方法:その場で3分だけ体を動かす(肩を回す、首をゆっくり傾ける、屈伸するなど)。
  • 効果:身体の緊張がほぐれるにつれて、心の緊張もほどけていく。

 

4.視点を変えるリセット

  • 方法:「今日よかったこと」を3つ書き出す。どんな小さなことでもOK(「お茶が温かかった」「天気が良かった」など)。
  • 効果:不満や疲れでいっぱいだった心に、「プラスの視点」が入り込み、気持ちのバランスが整う。

 

おわりに

今日ご紹介したのはあくまで一つの事例の話ですが、もしよかったらご参考になさってください。

人によって合う方法はさまざまです。呼吸でリセットするのもよし、気分転換の音を取り入れるのもよし。

もしかしたら、今日の気持ちをノートに書くだけで、
明日の自分に少し余裕が戻ってくるかもしれません。

 

この記事を書いた人

室津 瞳(むろつ・ひとみ)
NPO法人こだまの集い代表理事 / 株式会社チェンジウェーブグループ シニアプロフェッショナル / ダブルケアスペシャリスト / 杏林大学保健学部 老年実習指導教員
介護職・看護師として病院・福祉施設での実務経験を経て、令和元年に「NPO法人こだまの集い」を設立。自身の育児・介護・仕事が重なった約8年間のダブルケア経験をもとに、現場の声を社会に届けながら、働きながらケアと向き合える仕組みづくりを進めている。
【編著書】『育児と介護のダブルケア ― 事例からひもとく連携・支援の実際』(中央法規出版)【監修】『1000人の「そこが知りたい!」を集めました 共倒れしない介護』(オレンジページ)【共著】できるケアマネジャーになるために知っておきたい75のこと(メディカル・ケア・サービス)

この記事の監修者

介護プロ編集部

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