外出自粛が続き、高齢の方の心身機能が低下すると、買い物や調理が困難となり家にあるもので済ませたり、食事の回数が減ったりして栄養不足につながります。
高齢者の心身機能を維持するために重要な「運動」「栄養」「社会参加」 (フレイル予防の3本柱) のうち、今回は高齢者の「栄養」について、基本的な知識と活用できそうなサービスを紹介します。
食べた量と消費したエネルギー量の⽇常的なバランスは、体格指数(BMI)で評価します。
BMI(Body Mass Index)=[体重(kg)]÷[身長(m)] ÷[身長(m)]
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」では、 65歳以上ではBMI21.5〜24.9を⽬標とされています。
BMIが21.5未満:低栄養の危険性が高くなります。
BMIが25〜30の場合:必ずBMIが25未満になるように体重を減らさなければならないというわけではありません。かかりつけ医等に相談しましょう。
BMIが30以上:原則として減量が必要です。かかりつけ医と相談しましょう。
(国立長寿医療研究センター 在宅活動ガイド 2020より)
味覚の変化や噛む力の衰えが原因の場合は、味付けや食感を工夫することで改善されることがあります。
また、義歯が合わない場合や、何かしらの疾患の影響で味覚が変化した影響で食欲不振になっている場合もありますので、短期間に食事量が低下した場合はかかりつけ医や歯科医に相談しましょう。
原因がはっきりしておらず、1度の食事量を増やすことが難しい場合は、以下のような食べ方の工夫をしてみましょう。3食きちんと食べることが望ましいとはいえ、「朝昼晩」に必ずしもこだわる必要はありません。栄養補助食品などを利用されるのも1案です。
・食べる時間を変える
・ごはんだけで栄養が偏るのを避けて、おかずから先に食べる
・1食分を2回に分ける(1日での栄養の摂取量を増やす)
・食事に間食を加える(バナナや乳製品など食べやすく栄養価の高いものや栄養補助食品)
ここでは、高齢者の健康維持のための栄養の基本を踏まえて、栄養不足の方への対応策ごとに役立てられるツールやサービスをご紹介します。
食が細い方や消費エネルギーが多い方で、必要エネルギー量を満たす食事を全量食べることが難しい場合には栄養補助食品の利用をおすすめします。
栄養補助食品には、市販のものと医師から処方されるものがあります。 かかりつけ医の先生がいれば⼀度相談してみましょう。
市販のものを利用する時は、エネルギーが180kcal以上でたんぱく質が含まれているものを選びましょう。
※いわゆる「栄養ドリンク」はビタミン・ミネラルが中⼼でエネルギーやたんぱく質を補えないものが多いので、成分表示をご確認下さい。
URL | https://www.meiji.co.jp/meiji-eiyoucare/products/nutritionfood/meibalance_mini/index.html |
購入先 | お近くのスーパー・ドラッグストアまたは上記WEBページ内購入リンクより |
備考 | 125mlで200kcal、タンパク質7.5g |
URL | https://www.clinico.co.jp/products/series/assistance/enjoy.html |
購入先 | https://www.clinico.co.jp/ec/ |
備考 | 125mlで200kcal、タンパク質7.5g |
嚥下・咀嚼などの口腔機能が低下していたり、義歯が合わないために食事量が減ったり食欲不振になっている場合があります。思い当たる原因がある場合は歯科医を受診し相談しましょう。
調理に工夫が必要な方はやわらか食など食事の形態を調整した食品や、やわらかく調理できる器具等の利用も検討してください。
URL | https://www.kewpie.co.jp/udfood/ |
購入先 | https://www.kewpie.co.jp/udfood/shop/ |
備考 | amazon、イト―ヨーカドーomni7より購入可能 |
URL | https://www.ieat.jp/ |
購入先 | 上記リンクより購入可能 (問い合わせ:0120-357-770) |
備考 | 定期配送可 |
URL | https://brandtimes.jp/story/panasonic/ygkl7 (商品ページ改修中) |
購入先 | info@gifmo.co.jpより商品カタログ取り寄せ可能(予約販売中) |
備考 | 料理の見た目はそのままにやわらかくする調理器具 |
日々の食事の準備や買い物が難しくなってメニューが偏ったり、食事量が減っている、という場合は配食サービスや・食材の定期配送サービスを利用して無理せず食事の準備ができるようにしましょう。
各種の配食・定期配送サービスについてはこちらの記事にまとめています。
高齢者の「孤食」は高齢者の栄養状態、健康状態に悪影響を与えることがわかっています。
孤食とは一人で食事を摂ることですが、一人暮らしの場合だけでなく、同居家族がいても一人で食事の際に一人になっている方を含みます。
一人での食事が続くと調理をする意欲が低下するだけでなく、同じメニューが偏ったり、食事回数が減ったりすることがあります。何よりも本来食事で大切なことは楽しく食べることですが、その食事の楽しみもなくなってしまいます。
高齢者の孤食や閉じこもり防止のために各自治体で多くの取り組みが行われており、食事会や趣味の集まりなど様々な切り口の通いの場があります。お近くの地域包括支援センターにご相談ください。
また、新型コロナウイルスの流行に伴い、オンラインでつながりながらいっしょに飲んだり食べたりすることも当たり前になってきました。実際に会って一緒の食事をすることが難しいご家族も、時間を合わせてテレビ電話などでお話ししながらお食事することを試してみても良いかもしれません。
高齢者の心身機能を維持するために重要なポイント「運動」「栄養」「社会参加」(フレイル予防の3本柱)の「運動」については以下をご覧ください。
a.tamemoto