老人ホームや介護施設と一口に言っても、運営主体や入居条件、サービス内容は多岐にわたります。大きく分けると公的施設と民間施設の2つ。
公的施設は国や自治体、社会福祉法人などが運営し、費用が比較的安く、介護度の高い方や低所得者を優先的に受け入れます。ただし人気が高く、入居まで数年待ちとなることも珍しくありません。
一方、民間施設はサービスや環境の自由度が高く、レクリエーションや設備面でも充実していることが多いですが、その分費用は高めです。自分や家族が何を優先したいのかによって選び方は変わります。
公的介護保険施設で、原則要介護3以上の方が対象。費用が安く終身利用可能なため人気が高く、入居待ちが発生しやすい施設です。
自宅復帰を目指す短期入所施設。医療とリハビリに重点を置き、原則3か月程度の利用が想定されます。終身利用はできません。
医療ケアが必要な要介護者向けの長期療養施設。医師や看護師が常駐し、医療と介護の両方を受けられます。看取り対応も可能です。
月収制限や年齢条件があり、費用を抑えて入居できる公的施設。自立して生活できる方向けで、食事提供の有無によってA型・B型に分かれます。
軽費老人ホームの一種で、所得条件はなく、食事や生活相談、安否確認のサービスが受けられます。介護型利用の場合は要介護1以上が条件です。
24時間介護スタッフが常駐し、食事や生活支援、リハビリ、看取り対応まで行える民間施設。要介護者のみ対象の「介護専用型」と、自立・要支援・要介護が混在する「混合型」があります。長期的な安心を求める方に向いています。
食事や生活支援が中心で、介護が必要な場合は外部サービスを個別契約します。自由度が高い一方で、介護度が上がると退去になる場合もあり、事前の確認が欠かせません。
自立している高齢者向けで、食事や娯楽設備が充実。介護サービスはなく、要介護状態になると退去が必要です。
60歳以上が対象のバリアフリー賃貸住宅。安否確認や生活相談サービスがあり、外部介護サービスを組み合わせて利用します。一般型と介護型があり、介護型では施設職員から介護を受けられます。
認知症の診断を受けた方のみ入居可能な地域密着型施設。5〜9人の少人数制で共同生活を送り、家庭的な雰囲気の中でケアを受けられます。医療依存度が高まると退去になる場合があります。
高齢者用のバリアフリー構造を備えた分譲住宅。生活支援や見守りサービスがあり、外部介護サービスを契約可能。購入費用は高額ですが、設備や環境面での満足度は高い傾向があります。
公的施設は初期費用がほとんどかからず、月額も比較的低く抑えられます。民間施設は初期費用が数十万円から数百万円、場合によっては数千万円規模になることも。月額費用もサービス内容や立地によって大きく変わります。予算を踏まえ、入居後の生活設計を考えることが重要です。
施設ごとの費用感イメージ
種類 | 初期費用の目安 | 月額費用の目安 |
介護付き有料老人ホーム | 0〜数百万円 | 15〜30万円 |
住宅型有料老人ホーム | 0〜数百万円 | 15〜30万円 |
グループホーム | 0〜数十万円 | 15〜20万円 |
特別養護老人ホーム | 0 | 5〜15万円 |
介護老人保健施設 | 0 | 8万〜14万円 |
介護医療院(介護療養型施設) | 0 | 9万〜17万円 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 0〜数十万円 | 10〜30万円 |
健康型有料老人ホーム | 0〜数億円 | 10〜40万円 |
シニア向け分譲マンション | 数千万〜数億円 | 10〜30万円 |
軽費老人ホーム | 0〜数十万円 | 10〜30万円 |
ケアハウス | 数十万〜数百万円 | 10〜30万円 |
まずは入居条件を確認しましょう。介護度、年齢、地域の制限などが施設ごとに異なります。次に、将来の介護や医療の必要性を見越して、看取り対応や医療連携の有無も確認します。
費用や立地はもちろん、本人が過ごしやすい雰囲気かどうかも重要です。見学や体験入居を通じて、生活の様子やスタッフの対応をチェックしましょう。
介護施設は種類も特徴も多様で、費用やサービス、入居条件は大きく異なります。本人の状態や希望、家族の事情を総合的に考え、早めに情報収集を始めることが後悔のない選択につながります。
地域包括支援センターやケアマネジャー、民間の紹介センターなど専門家の力も借りながら、自分たちに合った施設を見つけましょう。
介護プロ編集部