高齢者の食事サポートに伴う負担と対策とは

高齢者の食事サポートに伴う負担と対策とは

提供:アサヒグループ食品株式会社

前回は、高齢者の食事の変化に気づきやすい「冷蔵庫・常備食料品チェック」について、実例を交えて解説いたしました。「イレブンチェック」や「冷蔵庫・常備食料品チェック」で変化が現れ始めたら、周りのサポートが必要になります。高齢の親御さんがいらっしゃる方にとっては、サポートに不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。

今回は実際にサポートをすることになった時に、どんなことが負担になるのか、負担を感じた時にどうすればいいのかを解説していきます。

高齢な親の食事サポートにおける介護者の負担について

親御さんが高齢になるにつれて、今後どのように食事のサポートを行っていけば良いか悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。

高齢者の方の状況にもよりますが、食事における様々な準備のどの段階が困難なのか、しっかりと把握した上でサポートをしなければなりません。

食事にはざっと考えただけでも下記のような工程があります。

食事のサポート項目 サポートが必要と考えられる困難な点
自宅にある食材を管理する 在庫の把握(同じものを購入してしまわないか)や、期限切れの確認(長期間放置されていないか)の必要がある
献立を考える 家族の好みや個性、健康状態などを加味して考える必要がある
買い物に行く 体を動かし重いものを持つ必要がある

調理

咀嚼に課題がある場合や持病がある場合に作り分ける必要がある
片付け 体を動かす必要がある

献立を考えるのが面倒なのか、調理が難しいのか、スーパーまで買い物に行くのが困難なのか、それぞれ違うと思いますが、介護者の方は実際にどんなことを大変だと感じているのでしょうか。

高齢の親御さんをサポートしている方が、主に負担に感じていることを一部ご紹介します。

 

負担1:食事の準備における負担

もっともよく聞くのは、食事の準備における負担です。実際に食事をする前に、買い物や調理の段階で手間がかかり、負担に感じる方が多くいらっしゃいます。

本人の好みを把握しなければならないだけでなく、封を開けられないなど、他の理由で食べてもらえないことも。一緒に買い物に行くことも難しくなるため、悩みの種になってしまいます。

また、高齢者になってくるとどうしても口腔機能が落ちてきます。口腔機能レベルを把握し、その方に合わせて食事の内容を考え、買い物や調理をしなければならないというのも苦労のひとつです。

噛む力が弱くなったり、飲み下す働きが弱まったりしている場合、食べるものに制限がかかってしまいます。それが低栄養につながる可能性もあるので、メニューを考えたり調理を行ったりする側には工夫が必要になってきます。

一般的に高齢者にとって食べづらいもの
  • 繊維が多いもの(ごぼう、たけのこ、セロリなど)
  • 水分が少ないもの(せんべい、トーストなど)
  • 粘りや弾力が強いもの(こんにゃく、もちなど)
  • 口の中に張り付くもの(海苔、わかめなど)
  • 酸味が強いもの(酢の物、レモンなど)
必要な工夫例(一部)
買い物 肉:やわらかい部位を選ぶ。鶏肉は皮がない方が良い

魚:小骨が少ないもの、ほぐしやすく身のやわらかいものを選ぶ

調理 ・細かく切る

・繊維があるものは繊維を断ち切るように切る

・「炒める」「焼く」よりも「煮込む」「蒸す」中心に調理する

・水分が少ないものは牛乳や汁物に浸してしっとりさせる

・口の中に張り付くものは卵など何かと混ぜてまとめる

 

負担2:子育てと介護のダブルケア世帯における負担

晩婚化や高齢出産化が進んでいる昨今、子育てと介護が同時期に重なってしまう方が増えています。この「ダブルケア」世代においては、食事をそれぞれに作り分けなければならないという負担があります。

育ち盛りの子どもが食べたいものと、介護が必要な高齢者が食べるものとが違うため、同じ家族であっても違うメニューを用意している方が多くいらっしゃるようです。

ただでさえ忙しいダブルケアラー(ダブルケアをする方)にとって、複数のメニューの準備は時間的にも費用的にも負担になってしまいます。

 

負担3:高齢者とのすれ違いにおける負担

親御さんの食生活に変化が現れた時、子どもの立場としては「食べてほしい」「栄養をとってほしい」「食事を楽しんでほしい」という気持ちが強まります。

だからこそサポートを行うのですが、その気持ちがうまく伝わらないこともあります。

準備した食事を食べてもらえなかったり、レトルト食品や宅配サービスは手抜きだと言って利用してもらえなかったりと、食事そのものを拒否されてしまうケースもあるようです。

せっかく親御さんのことを思って考えていることを拒まれるのは辛いものがあります。

 

負担を軽減する手段・サポート

食事をする高齢者女性と女性スタッフ(笑顔)

これまで紹介したような負担をできるだけ軽減させるためには、まだ親御さんが元気なうちにある程度将来のことを想定しておくことが大切です。

親御さんご本人が実際にどうしてほしいと思っているのかを事前に確認し、親御さんが住んでいる市区町村ではどのようなサポートが受けられるのかを調べたりしておくと、負担を感じはじめた時にスムーズに対処することができます。

そして大切なのは、実際に負担を感じてしまった時に、1人で抱え込まないということです。小さなことでも積み重なるとストレスになります。

食事は毎日のことですから、今負担を感じていなくても便利なものやサービスを積極的に利用していくことで、自分の時間を守ることにつながります。

現在は様々な高齢者への食事サポートサービスや商品があるので、一例をご紹介します。

①配食サービス

高齢者の自宅まで食事を運んできてくれるサービスです。やわらかく作られているものや減塩のものまで、体調や好みに合ったものを届けてくれます。

直接ご本人に届けてくれるサービスを選べば、安否確認にも繋がってより安心できます。

②家事代行サービス

その名の通り家事を代行してくれるサービスなので、買い物代行から作り置きなどを行ってくれます。もちろん洗濯や掃除も依頼することができるでしょう。

スタッフが訪問するサービスなので、孤独感を軽減することもできますし、安否確認にも繋がります。

③介護サービス

要支援・要介護認定がある方であれば、介護サービスを受けることができます。

訪問介護・デイサービスなど様々な種類がありますが、食事や入浴など生活の補助をしてくれるので安心して任せることができます。

介護認定を受ける必要があるので、利用を検討される方はまず親御さんが住む「地域包括支援センター」に連絡をしましょう。

 

④レトルト食品

温めるだけで食べられるレトルト食品は、定期配達ではなく必要な時に必要な分だけ利用するなど、気軽ですぐに始めることができます。最近では非常時の備蓄として保管場所を選ばない点でも評価されています。

宅配サービスやミールキットに比べるとメニュー数が豊富なので、好みに合わせて試すことも可能です。

また、食材も明記してあるので、足りない栄養素を補充するなど献立に合わせて摂取する栄養素を意識しやすいのもポイントです。

手抜きだと毛嫌いされてしまう場合は、3食の中の1食だけをレトルト食品にしてみたり、1品だけレトルト食品を入れてみたりと、お試しとして始めてみるのがおすすめです。

高齢者の中には「レトルト食品はおいしくない」という偏見を持っている方も多いので、はじめは一緒に食べてみると良いでしょう。今は食材のバランスも良く味もおいしいものがたくさんあります。

また、常温のまま袋からお皿に出してそのまま食べられるものも多いです。

⑤ミールキット

調理を楽しむことができる状態の方なら、1人分の材料が入っていて簡単に調理できるミールキットも良いでしょう。

レシピと材料が一緒になっているので、これまで作ったことがないものを作って楽しむことができます。親子で一緒に作ってみるのも、食事の楽しみを思い出してもらえるのでおすすめです。

 

これらのサービスを、状況に応じていろいろ試してみてください。

毎日3食とも何かのサービスを利用するのではなく、日々1食は何かのサービスを利用してみる、1品はレトルト食品かミールキットにしてみるなど、頻度は少なくてもOK。どうしても負担に感じる場面は出てきてしまうので、少しでもその負担を軽減できるようコントロールする手段をいくつか持っておくと良いでしょう。

親御さんがまだ元気なうちから、一緒に選んでみるのもおすすめです。

 

主介護者ではなくてもできるサポート

この記事をお読みの方の中には、自分自身は親御さんと離れて暮らしているという方や、ご兄弟や姉妹の方が介護をしているという方もいらっしゃるでしょう。直接自分がサポートすることができず、人に任せてしまっていることに罪悪感を感じる方も多いようですが、離れていてもできるサポートはあります。

まず行ってほしいのは、主介護者となる方(例えば親御さんと同居しているご兄弟など)とコミュニケーションをとることです。

どんなことに困っているのかを聞き、何をしてほしいのか、逆に何をしてほしくないのかを確認してください。話を聞くだけでも、それが主介護者の助けになることもあります。その上で、主介護者が1人で抱え込まないように、高齢者への食事サポートを気軽に利用してみるように促してみると良いでしょう。

誰かに背中を押され、初めてサポートを利用する方もいらっしゃいます。また、調べる時間もない方のために、どんなサービスがどのくらいの金額で受けられるのかを教えてあげるのも助けになります。

何か差し入れしたいと思う時は、冷蔵庫を圧迫しないようなものを送るというのもポイントです。賞味期限が長く、常温で保存できるようなものが良いでしょう。

 

食後の口腔ケアの重要性

口腔ケアをする介護士と高齢者

口腔ケアとは、口の中の環境を清潔に整えるためのケアのことです。

高齢者は唾液の分泌量が減ってしまったり、体の一部が不自由になることで自力での口腔ケアが難しくなってしまったりと、口腔内を清潔に保つことが難しくなってしまう可能性があります。

口腔環境が悪化すると食べられるものが制限されてしまうことも。しっかり栄養をとりながら食事を楽しんでもらうためには、口腔内の健康も大切です。

口腔内は、髪の毛のようなやわらかなものが入っても不快感を持つほど敏感な場所。他人に見られたり触られたりすることにも、日常ではあまりない場所といって良いでしょう。

そのため口腔ケアに介助が必要になった場合には、十分な説明と同意が必要になってきます。親御さんが健康な時から、口腔内環境の重要性について話しておくことをおすすめします。

高齢になると誤嚥が起きてしまうこともあります。残渣物(ざんさぶつ)をしっかり取り除くことが大切なので、ブラッシングやうがいはもちろん、口腔ケア用のウェットティシュ等で歯と粘膜を清拭するなども行うと効果的です。

お口の中を清潔にしておいしい食事を楽しめるようにしましょう。

 

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 これまでの記事をお読みいただき、高齢者の生活にとっていかに食事が大切か、お分かりいただけたかと思います。些細な変化を見逃さないこと、その変化に応じたサポートを行うこと、サポートによる負担をコントロールすることで、親御さんの心と体の健康を支えることができるでしょう。物理的な距離があっても、サポートできることはたくさんあります。

 アサヒグループ食品の「バランス献立(やわらか食 パウチ入り)」で、まずは気軽な食事サポートをしてみてください。種類が豊富にあるので、あと1品足したい時にも便利です。まだ親御さんが元気なうちに一緒に食べてみて、どの味が好きなのかを聞いてみるのも良いでしょう。

 そのままお皿に出して常温でお召し上がりいただくことも可能ですし、湯せんやお皿に出して電子レンジで温めても食べることができ、まっすぐ切りやすいパウチで、多くの方に開けやすいように設計しています。仕事や家事などで忙しい方でもすぐに準備できるので、介護者からも好評です。

 読者世代の方々でも、体調の優れない時にお召し上がりいただいた際に「おいしくて食べやすい」といったご意見もいただいておりますので、一度試していただければ安心して親御さんにお勧めいただけると思います。何から始めていいか分からないという方も、気軽に購入してお試しください。

 親御さんと一緒に食事をしながら、これからの食生活について意見を交わしたり、家族での食事の思い出話をしてみてはいかがでしょうか。

ただいま読者の方限定で「バランス献立(やわらか食 パウチ入り)」のお試しプレゼントキャンペーンを行っています。この機会にぜひ一度お試しください。

 

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この記事の監修者

回答者アイコン木場 猛(こば・たける) 株式会社チェンジウェーブグループ リクシスCCO(チーフケアオフィサー) 介護福祉士 介護支援専門員 東京大学文学部卒業。高齢者支援や介護の現場に携わりながら、 国内ビジネスケアラーデータ取得数最多の仕事と介護の両立支援クラウド「LCAT」ラーニングコンテンツ監修や「仕事と介護の両立個別相談窓口」相談業務を担当。 3年間で400名以上のビジネスケアラーであるご家族の相談を受けた経験あり。セミナー受講者数、延べ約2万人超。 著書:『仕事は辞めない!働く×介護 両立の教科書(日経クロスウーマン)』
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