#介護の知識

【一覧表で比較】介護保険サービスとは?種類や内容をわかりやすく解説!

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「介護保険サービスって何があるの?」
「介護保険サービスの種類がありすぎてどれを選べばいいか分からない」とお悩みの方へ、それぞれのサービスの内容を簡潔に分かりやすくお伝えいたします。こちらの記事をお読みいただければ、介護保険サービスの概要を理解することができるでしょう。

介護保険サービスとは?

介護保険サービスとは、介護保険制度を利用して受けられる介護サービスのこと。介護が必要な方が、1〜3割の自己負担でサービスを受けることができます(自己負担の割合はご本人の前年度の収入によって変動)。
介護保険サービスを受けられるのは、下記の方です。

  • 65歳以上(第1号被保険者)で、居住している市区町村から「要介護認定」を受けている方
  • 40〜64歳(第2号被保険者)で、対象となる特定疾病により「要支援・要介護認定」を受けている方

つまり、65歳以上の方が要介護認定を受けた場合は、全員介護保険を利用してサービスを受けることができます
40〜64歳の方は、特定疾病により介護が必要になった方のみ介護保険を利用することができます。特定疾病は下記の16種類です。

特定疾病
  1. 筋萎縮性側索硬化症
  2. 脳血管疾患
  3. 後縦靭帯骨化症
  4. 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
  5. 骨折を伴う骨粗しょう症
  6. 閉塞性動脈硬化症
  7. 多系統萎縮症
  8. 慢性関節リウマチ
  9. 初老期における認知症
  10. 慢性閉塞性肺疾患
  11. 脊髄小脳変性症
  12. 脊柱管狭窄症
  13. 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
  14. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
  15. 早老症
  16. 末期がん
    出典:厚生労働省 特定疾病

介護保険制度の仕組み

日本国民は40歳以上になると、被保険者として介護保険に加入して保険料を毎月払うことが義務付けられています。この保険料と国・自治体の財源をもとに、介護を受ける必要がある方の負担を減らすという仕組みです。65歳以上になると、被保険者証が郵送で送られてきます。しかし、被保険者証が交付されただけでは、介護保険サービスを利用することができません。

介護保険サービスを利用するためには、居住している市区町村で「要介護認定」を受けることが必須です。

まずは地域包括支援センターへ行きましょう。
40〜64歳では発行されないのですが、前述した特定疾病に該当する場合、先に要介護認定を受けることで発行されます。要介護1〜5と認定された方が受けられるサービスを介護給付、要支援1〜2と認定された方が受けられるサービスを予防給付と言います。

介護保険制度の使い方

実際に介護保険サービスを利用する方法をお伝えいたします。
要介護認定を受けたら、まずケアマネージャーに相談しながらケアプランを作成する必要があります。
施設に入居するようなサービスを受けたい場合は、入居を希望する施設に連絡をしましょう。施設への申し込みが完了したら、その施設で働いているケアマネージャーが担当します。
在宅で介護サービスを受ける場合には、居宅介護支援事業所に連絡しましょう。ケアマネージャーを紹介してもらい、担当を決めてもらえます。ケアプランの作成が完成すると、それぞれのサービスを受けることができます。

要支援認定を受けた方は、居住している地域の地域包括支援センターに連絡した後、地域包括支援センターの職員と相談しながら介護予防ケアプランを作成していきます。介護予防ケアプランの作成が終わると、介護予防サービスを受けることが可能です。

介護保険の給付限度額

介護保険には介護度によって支給限度額が変わります。介護度が重いほど限度額は高くなります。それ以上のサービスを受ける場合は、全額自己負担で受けることになるので、あらかじめ確認をしておきましょう。

介護度給付限度額1割負担額2割負担額3割負担額
要支援150,320円5,032円10,064円15,096円
要支援2105,310円10,531円21,062円31,593円
要介護1167,650円16,765円33,530円50,295円
要介護2197,050円19,705円39,410円59,115円
要介護3270,480円27,048円54,096円81,144円
要介護4309,380円30,938円61,876円92,814円
要介護5362,170円36,217円72,434円108,651円

※上記の表は介護の点数を1点10円で換算したものです。1点の単価は10~11.40円で、賃金の地域差により異なります。
介護度が高くになるにつれて給付限度額も高くなるものの、介護にかかる費用も高額になっていきます。毎月の年金だけでは介護にかかる費用をまかなえないという家庭も少なくありません。そんな収入や資産の少ない利用者やご家族の負担を減らすため、負担限度額認定制度という制度があります。住んでいるの市区町村にて申請を行い認定されると、認定証が交付されて支払限度額以上の支払いは免除されるという制度です。

介護保険サービスの種類

要支援・要介護認定の方が受けられるサービスは多岐に及んでいます。

介護保険サービスは前述した通り1〜3割の自己負担で利用できますので、まずはここを利用することで環境を整えていきたいと思う方が多いでしょう。介護保険サービスだけでも多くの種類が存在いたしますので、ここでは分かりやすく「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」で分類して確認していきます。

居宅サービス

居宅サービスとは、要支援・要介護認定を受けた方が現在住んでいる家にいながら受けられる介護サービスのことです。居宅サービスは非常に種類が豊富なので、更に「訪問サービス」「通所サービス」「短期入所サービス」「その他」に分けてご紹介します。

<訪問サービス>

訪問サービスでは、利用者の住んでいる自宅でサービスが提供されます。

訪問サービスサービス内容
訪問介護訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問して、買い物や掃除などの生活支援・食事や排泄の介助などの介護を行う。
訪問入浴介護看護職員と介護職員が利用者の自宅を訪問して、持参した移動式浴槽を用いて入浴などを行う。
訪問看護看護師などが利用者の自宅を訪問して、医師の指示に基づき医療処置や医療機器の管理、病状のチェック、床ずれ予防・処置、在宅での看取りなどを行う。
訪問リハビリテーション理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などが利用者の自宅を訪問して、リハビリテーションを行う。

<通所サービス>

通所サービスでは、要支援・要介護認定を受けた方が日中施設に通い、施設内でサービスが提供されます。

通所サービスサービス内容
通所介護

(デイサービス)

通所介護の施設(デイサービスセンターなど)にて、食事や入浴などの生活支援、生活機能向上のための機能訓練、口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供する。

※要支援1〜2の方は受けられない

通所リハビリテーション(デイケア)通所リハビリテーションの施設(老人保健施設、病院、診療所など)にて、食事や入浴などの生活支援、生活機能向上のための機能訓練、口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供する。

<短期入居サービス>

短期入居サービスでは、要支援・要介護認定を受けた方が短期間施設内に宿泊し、施設内にてサービスが提供されます。

短期入居サービスサービス内容
短期入所生活介護(ショートステイ)介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などが日常生活上の支援や機能訓練などを提供する。連続利用日数は30日まで。
短期入所療養介護医療機関・介護老人保健施設・介護医療院が日常生活上の世話、医療、看護、機能訓練などを提供する。連続利用日数は30日まで。

<その他>

その他の居宅サービスをご紹介します。

その他サービスサービス内容
福祉用具貸与利用者の希望や生活環境をふまえて適切な福祉用具を選ぶための援助・取り付け・調整などを行い、福祉用具を貸与する。
特定福祉用具販売利用者が入浴や排泄に用いるものなどの福祉用具を販売する。
住宅改修費支給利用者の自宅で介護に必要な小規模の改修(手すり、段差解消など)を行う。
居宅介護支援ケアマネージャーが利用者やそのご家族の希望、置かれている環境に沿ったケアプランを作成する。また、そのプランに基づいて適切なサービスが提供されるように事業者との間で調整を行う。

施設サービス

施設サービスとは、要介護認定を受けた高齢者が「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「介護医療院」に入所して受けるサービスのことです。それぞれの施設のちがいを理解していきましょう
※施設サービスは要支援認定1〜2の方は受けられません。

施設の種類サービス内容
介護老人福祉施設

(特別養護老人ホーム)

入居を長期に渡り受け入れ、日常生活の支援、機能訓練、療養上の世話、レクリエーションなどを提供する。
介護老人保健施設(老健)入所を一時的に受け入れ、リハビリテーションや必要な医療、介護などを提供する。
特定施設入居者生活介護有料老人ホームや軽費老人ホームなどが、日常生活の支援、機能訓練、療養上の世話、レクリエーションなどを提供する。
介護療養型医療施設長期にわたって療養が必要な方の入所を受け入れ、機能訓練や必要な医療、介護などを提供する。

医師や看護職員も常勤しているため手厚い看護や医療も提供する。

※2024年3月末に廃止

介護医療院長期にわたって療養が必要な方の入所を受け入れ、機能訓練や必要な医療、介護などを提供する。

医師や看護職員も常勤しているため手厚い看護や医療も提供するとともに、介護療養型医療施設よりも生活支援面において充実した介護を提供する。

地域密着型サービス

地域密着型サービスでは、事業所や施設のある市区町村にお住まいの方が利用できるサービスです。要支援・要介護認定を受けた方が住み慣れた地域でサービスが提供されます。

種類地域密着型サービス
居宅サービス夜間対応型訪問介護ホームヘルパーが夜間帯に利用者の自宅を訪問して、定期巡回または随時巡回を行う。

※要支援1〜2の方は受けられない

居宅サービス定期巡回・随時対応型訪問介護看護ホームヘルパーと看護師が連携して、利用者の自宅への定期的な巡回や随時通報への対応など24時間365日必要なサービスを必要なタイミングで柔軟に行う。

※要支援1〜2の方は受けられない

居宅サービス地域密着型通所介護通所介護の施設(デイサービスセンターなど)にて、食事や入浴などの生活支援、生活機能向上のための機能訓練、口腔機能向上サービスなどを提供する。

※要支援1〜2の方は受けられない

居宅サービス療養通所介護常に看護師による観察が必要とされる難病・認知症・脳血管疾患後遺症などの重度要介護者、またはがん末期患者を対象に、生活機能向上のための機能訓練、口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供する。
居宅サービス認知症対応型通所介護認知症の利用者が通所介護の施設(デイサービスセンターやグループホームなど)に通い、生活支援、生活機能向上のための機能訓練、口腔機能向上サービス、認知症の専門的ケアなどを日帰りで提供する。
居宅サービス小規模多機能型居宅介護ひとつの施設を拠点とし、利用者の選択に応じて訪問・通所・短期入所サービスを組み合わせ、日常生活上の支援や機能訓練を提供する。
居宅サービス看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)ひとつの施設を拠点とし、利用者の選択に応じて訪問・通所・短期入所サービス、更に看護職員による訪問看護を組み合わせ、日常生活上の支援や機能訓練を提供する。
施設サービス認知症対応型共同生活介護(グループホーム)グループホーム(5〜9名の少人数の利用者が介護スタッフと共同生活を送る)に入所している認知症の利用者に、日常生活の支援や機能訓練、認知症の専門的ケアを提供する。
施設サービス地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)入所定員30人未満の介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で、常に介護が必要な方の入所を受け入れ、日常生活上の支援や機能訓練を提供する。
施設サービス地域密着型特定施設入居者生活介護入居定員30人未満の有料老人ホームや軽費老人ホーム日常生活の支援、機能訓練、療養上の世話、レクリエーションなどを提供する。

介護保険制度のこれから

介護保険は2000年に施行されました。しかし、その後少子化は当時予測していた以上の速度で進行しているため、実情に見合った内容にするよう見直しをしていく必要があります。その頻度は3年ごと。今後も変わっていくので、都度確認をしていく必要があります。要介護認定を受ける方が増えるのに対し、それを支える若者が減少していくため、今後の介護保険サービスは縮小していく可能性が非常に高いでしょう。
そこで、今後介護が必要な方とそのご家族が考えていかなければならないのは、国の財源を利用しない介護保険外サービスの併用です。2016年には厚生労働省・経済産業省・農林水産省が合同で「保険外サービス活用ガイドブック」を作成しました。介護保険外サービスに民間企業が参入して、更に普及されていくことが予想されます。選択肢が増えることで、より安全で充実したサービスが提供されると良いですよね。

自治体独自の高齢者向け福祉サービス

各自治体も少子化の影響を考え、要介護者とそのご家族が安心して暮らせるよう、下記のような様々なサービスを提供しています。

緊急通報システム災害による緊急事態や急な体調不良の時に24時間通報できるサービス
紙おむつの支給・助成紙おむつを支給したり、紙おむつの代金を一部助成するサービス
介護手当の支給要介護認定の介護度や内容により、そのご家族に減菌が支給されるサービス
理髪・美容サービス外出が難しい高齢者に理容・美容業者が訪問するサービス
外出支援移動手段の確保が困難な高齢者へ、タクシー利用券を交付したり、バスの料金を一部助成するサービス
高齢者向けの食事宅配ひとり暮らしや高齢者だけの世帯に向けて食事を宅配するサービス
寝具の洗濯寝具の衛生管理が困難な方に、寝具の丸洗い、乾燥、消毒をするサービス
介護予防教室要介護状態になるのを予防するため、足腰を丈夫にする体操、咀嚼・嚥下機能の向上、栄養の勉強などの教室を提供するサービス

住民票がある市区町村での福祉サービスを確認し、介護保険サービスと合わせて利用していくと良いでしょう。サービスの内容やかかる費用は自治体によって異なりますので、ご注意ください。

民間企業のサービス

介護サービスに民間企業が参入したことにより、以前よりも充実したサービスを受けることができます。これまでご紹介してきた介護保険サービスや自治体の福祉サービスに比べるとどうしても費用がかかりますが、基本的に誰でも利用できるため非常に便利です。よくあるサービスは、配食サービス(安否確認をかねる)、家事代行サービス、移送サービスなど。インターネットやクチコミで調べておくと良いでしょう。

ライフサポートナビ↓では様々な民間サービスを検索できます。(画像をクリックして検索サイトに飛びます。)

サポナビ内参考記事:
1,食材の調達について
2,宅食について
3,高齢になった親御さんの見守りサービスとは?
4,家事代行について

 

まとめ

  • 介護保険サービスは、介護保険料を支払っている要支援・要介護認定の方が1〜3割の自己負担額で利用できるサービスのこと。
  • 利用するためには要支援・要介護認定が必要なので、まずは地域包括支援センターに相談することが必要。
  • 介護保険サービスには「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」と言った様々な種類がある。
  • 少子化により今後の介護保険サービスは縮小される可能性があるため、その他の選択肢も確認しておくことが大切。

いかがでしたか?

今後も少子化の動きは早まりますので、介護保険の変化も避けては通れないでしょう。しかし、調べていくと様々な介護サービスがあるので、ご本人やご家族だけで抱え込むのではなく、まずは相談することが大切です。
介護保険サービスをうまく利用して、利用者もご家族も快適で安心した生活が送れる環境を作っていきましょう。そのためにこの記事が少しでもお役に立てれば嬉しいです。

この記事は専門家に監修されています
 介護プロ
木場 猛(こば・たける)

株式会社チェンジウェーブグループ リクシスCCO(チーフケアオフィサー)
東京大学文学部卒業。2001年の在学中から現在まで22年以上にわたり、介護士・ケアマネージャーの現場職として、2,000世帯以上のご家族を担当し、在宅介護、仕事と介護の両立支援に携わる。
著書:『仕事は辞めない!働く×介護 両立の教科書(日経クロスウーマン)』https://amzn.to/3ryjZNg

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