2023年12月8日、リクシスは、第12回『全国ビジネスケアラー会議』を開催いたしました。
これから高齢社会がより一層加速し、仕事と介護の両立が当たり前の時代がやってきます。本オンラインセミナーは、高齢化の流れが加速する日本社会において、現役世代として働きつつ、同時にご家族の介護にも携わっている「ビジネスケアラー」の方々とその予備軍となる皆様に向けたセミナーです。
今回のテーマは「認知症」。
皆様からのご要望が多かったこのテーマ。
「認知症」と言ってもその症状には段階があり、認知症の一歩手前の状態とされる軽度認知障害(MCI)という状態があります。早期に発見し適切な対策をとれば、MCIから改善し認知症の発症を予防できる可能性があると言われています。
MCIと認知症の見極めのポイントや認知機能の維持に効果的だと言われている生活や習慣について解説いただくとともに、各社が展開する、ビジネスケアラーにとって頼もしい介護サービスについてもご紹介いたします。
この記事では、
というテーマでまとめています。
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①「MCI・認知症の見極めポイントと心がけたい生活習慣(前編)」
②「MCI・認知症の見極めポイントと心がけたい生活習慣(後編)」
③「会話deエクササイズnabetomoのサービスとは」⇐このページのテーマ
④「くらしと介護サポートのサービスとは」
⑤「Q&A編」
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高橋 ブラウン 景(たかはし・ブラウン・けい)株式会社nabe CMO
監査法人トーマツ及びコンサルティング会社に勤務後、nabeに参画。
コロナによる面会禁止で、施設に入居していた祖母と会えず、劇的に衰えていく祖母を目の当たりに。最期は病院で一人悲しく亡くなった彼女を見て「人とのつながり」がいかに人が幸せでいるために必要かを感じ、他2人の共同創業者と世代を超えた交流を作り出すnabetomo事業をスタートさせる。
伊苅先生のお話にあった認知症の予防になる良い刺激を、私たちは「会話deエクササイズnabetomo(ナベトモ)」というサービスを通して会話で提供しています。
世代の異なる新しい人と刺激のある会話をすることで、シニアの方々が長く健康的な生活を送ることを目指しています。
高齢者の方から、会話の相手が同世代の方やお医者さんなどの固定の方に偏ってしまうと、よくお聞きします。そうなると会話がマンネリ化してしまい、新しい刺激が入ってこなくなりがちです。
「nabetomo(ナベトモ)」では、あえて世代の異なる新しい人たちと会話をすることで、脳に一定の緊張感を与えることができます。
「どんな人たちと会話をするの?」という質問をよく受けますが、20代の大学生から40代のIT企業の役員まで、本当に多様な方々と話すことができます。
私たちで面接をして、その後トレーニングをしてからデビューの流れですが、その後も定期的なレビューをしていくので、会話パートナーとしての質を担保しています。
新しい人と話していても、昨日食べたものや天気の話だけでは、脳への刺激という面で弱いと言えます。
そこで「nabetomo(ナベトモ)」の会話では、昔の記憶を掘り起こして広げていくということが中心です。
会話も運動と同じで、継続して習慣化していくということが大切です。
長く「nabetomo(ナベトモ)」を利用していただく仕組みとして、カラオケのようにスコアが出るようになっています。
今回のスコアより次回もっと良くしていこうというように、楽しみながら続けていくことができるかと思います。
シニアの方に楽しんでいただく仕組みとしてだけではなく、ご家族には見守りとして「nabetomo(ナベトモ)」を利用していただくこともできます。
会話パートナーが今回の会話の内容をまとめたボイスメモや、顔の表情や会話への意欲などで親御さんの健康状態を5段階評価したものを、レポートとしてまとめてお渡ししています。
2年間「nabetomo(ナベトモ)」のサービスを提供してきて、ご家族やシニアの方からよく聞く悩みや不安をご紹介させていただきます。
ご家族の悩み
シニアの方の悩み
実際に「nabetomo(ナベトモ)」を利用した方のきっかけとその後の変化についてご紹介いたします。
伴侶が亡くなって、一人暮らしになった母親であるOさん。
ご家族は心配して施設を探そうとしましたが、ご本人は施設に行きたくないようでした。ご家族としては心配なのでカメラなどの見守りサービスを検討したものの、監視する感じに少し抵抗があるとのこと。
「nabetomo(ナベトモ))は、監視というよりもソフトな「見守り」というサービスなので、ご利用いただきました。
初回は気楽な装いで参加くださったのですが、2回目からお化粧をしたりスカーフをしたりして参加くださるようになりました。「母親のそんな姿が見れて嬉しい」とご家族はおっしゃっています。また、「nabetomo(ナベトモ)」の日は家事を早く終わらせるなど、生活に張りが出ているのが分かりますという声をいただきました。
ご本人には、若い方と話すこともあって毎回元気をもらっていると言っていただきました。更に、会話のネタ探しのために本や新聞を読む意欲が湧きました、という声もいただいています。
ご家族と同居をしているのですが、昼間はご家族が仕事に出ていて、日中独居のIさん。
訪問介護などを利用して見守っているのですが、ご家族が見る限り、テレビをずっと見ていてあまり人と話さないようなので、心配というご相談でした。
「nabetomo(ナベトモ)」では、新しい人や若い人とも話すことができるので、利用していただきました。
最初に始める時には渋々といったご様子だったようですが、いざ始めてみるとすごく楽しそうに話しているとのことでした。ご自身が好きな政治の話を、本人なりにわかりやすく相手に説明しようと頑張っていて、それを会話パートナーが熱心に聞いてくれていて助かるというお言葉をいただきました。
今まで元気で話していたのに、急に先週話したことを忘れてしまったり、しゃべり方がおかしくなったり、認知症の兆候が見られるようになったHさん。
施設に入られていたのですが、仲が良かった方が退所されたことをきっかけに、一気に認知機能が落ちてしまい、MCIの初期段階のような症状が見られていました。
認知症の進行を遅らせるために「nabetomo(ナベトモ)」を利用していただきました。
1〜2回目の会話セッションの時には前回の内容を忘れていたのですが、4回目のセッションの際は前回話した内容を覚えているようになりました。また、会話の内容を自ら娘さんに説明するようになったとのことです。その変化にご家族や施設の方も驚いていました。
シニアの方は自立した生活を最期まで送りたいと思っていますし、ご家族は親御さんに最期まで元気でいてほしいという思いがあります。
そのキープレイヤーとして第三者の会話パートナーという存在を作ってみてください。会話パートナーは高齢者と話したいという気持ちがあるので、そういった方とシニアの方を繋いで、両者が元気をもらえる、またご家族の方はそれを見て間接的に元気をもらえる、というサービスを提供したいと考えています。
介護をご家族や医療介護スタッフだけに頼るのは限界にきていると感じています。
介護資格を持っていない一般人が会話パートナーになることで、気づいたら介護の担い手になっているという「介護の皆国民化」の社会を、私たちは目指したいと思っています。
認知症重度になってしまうと、そこから戻すのはすごく難しいです。
ですが、初期症状の段階で良い刺激を与えることができれば、何とか症状を食い留めることもできる可能性があります。早め早めに対策をとると良いでしょう。
こんな方は黄色信号!今からの対策を
青信号だけどより確実な介護予防を
親御さんを説得しようとするとハレーションが起きてしまうこともあります。
ですが「協力」をお願いされると誰でも嬉しいものです。
下記のように協力をお願いしてみましょう。
「面白い取り組みをしている会社があって、モニターを募集しているみたい。モニターとして協力してほしい」
「(仕事や昔の話など)お父さんの話を聞きたい人がいるみたい。話し手として協力してほしい」
⇒「くらしと介護サポートのサービスとは」につづく
サポナビ編集部