地域包括支援センターとは、地域の高齢者の生活に関する「よろず相談窓口」です。
医療・介護・福祉の専門職が、高齢者が住み慣れた地域で生活できるように介護サービスや保健福祉サービス、日常生活支援などの相談に応じており、介護保険の申請窓口も担っています。
高齢者本人からの相談だけでなく、家族や地域住民からの相談も可能です。
地域包括支援センターは少なくとも市区町村に一つは設置されていますが、自治体によっては「高齢者あんしん相談センター」「おとしより相談センター」「高齢者総合相談センター」など、地域包括支援センター以外の名称がついている場合があります。
また、同じ市区町村でも、ご本人がお住まいの地域によって担当するセンターが異なる場合がありますので、担当地域を確認しましょう。
地域包括支援センターには、主任ケアマネージャー(主任介護支援専門員)、保健師(看護師)、社会福祉士の3種類の専門職が在籍していて、この3職種がそれぞれの専門性をもって連携し、相談に対応します。
相談者の必要に応じて様々な公的サービスや制度、ボランティアや民間サービス等の社会資源を紹介してもらえます。
地域包括支援センターは、高齢者の様々な困りごとに関する支援をワンストップで行うための窓口です。
そのため、行政、医療介護サービス事業者だけでなく、地域のボランティア、民生委員、警察、消防、弁護士等と幅広く連携し情報共有しています。
地域の中で高齢者の支援に関する情報が最も多く集まっている場所と言えるでしょう。
高齢の親を持つ家族にとっての地域包括支援センターの役割は大きく以下の2つです。
高齢の方の健康づくりや医療、金銭管理を含む日常生活の不安など、高齢に伴う困りごとについての相談を受け付けています。高齢のご本人に話しにくい場合はご家族のみでのご相談や電話でのご相談も可能です。
今の時点で具体的な困りごとがあるわけではなく、何を聞いたらいいかわからない、という場合も、どういった状況に不安を感じているかを伝えると相談に乗ってもらえます。
介護が必要になった時に要介護申請の窓口となり、行政・ケアマネージャー等への連携を担ってくれるだけでなく、必要があれば高齢者の医療・保健・福祉に関する様々なサービスを紹介してもらえます。
もちろん、要介護申請を行う前の段階でのご相談も可能です。
ご相談からサービス提供の流れ
また、地域包括支援センターでは、自治体により介護予防事業・介護予防啓発事業、認知症高齢者の見守り事業、福祉用具・住宅改修支援事業、紙おむつ等の各種助成制度の申請受付、高齢者に関する自治体独自事業の案内(シルバーパスの発行等)など、多岐にわたる事業を行っています。
年齢や生活状況などの条件が合えば、要介護申請をしていなくても以下のような高齢者向けサービスを紹介してもらえます。
高齢者自身は困ったことがあっても我慢するなどして周りになかなか相談しないこともあります。周りのご家族・友人が些細なことでも気づいてまずは専門家に相談することが重要です。
地域包括支援センターでは、以下のような些細な困りごとでも相談に乗ってくれます。
両親は元気ですが、遠方に離れて暮らしています。介護が必要になる前から、地域包括支援センターと連携できる関係を築いておくと良いとのアドバイスを受けましたが、介護が必要ない時にどのように関係を構築すれば良いでしょうか?
(回答例)生活に心配なことがあれば、早い段階で相談するとよいかと思います。 親御さんのことが心配であると伝えると、必要に応じて介護保険以外にも利用できるサービス等を紹介してくれます。 特に今すぐ困っていることが無いのであれば、高齢者福祉サービスのパンフレットや近隣のサービスの情報をもらうだけでも少し安心できるかと思います。
また、親御さんがお一人暮らしであれば、一度挨拶をしてご家族の連絡先を渡しておくと、近隣で何かあった時に連絡をくれたり、ご家族の依頼で訪問して様子を見てくれることもあります。
全く心配がないという段階でしたら、ご家族が相談することは無いかもしれません。ただ、元気な段階から親御さんがサロンに参加したりボランティアとして活動したりして専門職を含めて近所に知り合いを作っておけると、後々の安心につながります。 もしご興味がありそうでしたら包括でそういった地域活動の情報を確認してみてもよいかと思います。
ケアマネージャーや介護サービス内容に不満がある場合はどうしたらいいでしょうか?
上記で見てきたように、高齢者についての悩みが出てきた時に最初に頼れる場所として存在しているのが「地域包括支援センター」です。
以下のような悩みが出てきたら、まずは相談してみましょう。
高齢の親の体力が低下して、買物や食事の準備が大変になっている…
認知症予防に何かできないか?
足腰が弱っているので、そろそろ介護かも…
お金の管理や契約がきちんとできているのか不安…
いざ介護になったら申請はどうやったらいいのだろうか?
高齢の親にどんなサポートが必要なのかわからない…
親の介護をしているが、大変になってきて続けられるか不安…
WEB上で検索する際、自治体によって地域包括センターの名称に差があり、また、現状では自治体のウェブサイトにも担当区域が掲載されていない場合もあり、すぐには担当の地域包括支援センターが見つけられないことがあります。
株式会社リクシスでは、お住まいの地域を入力すると担当の地域包括支援センターの場所と連絡先が表示される「地域包括支援センターマップ」をご用意しました。
この機会に検索して、いざという時にあなたが頼るべき地域包括支援センターの連絡先と場所を確認しておきましょう。
※自治体によって地域包括センターの名称に差があり、また、Google Mapに登録されていないこともありますので、WEB上での検索がスムーズにできない場合があります。
※入力された住所地からの距離で最寄りの地域包括が最大3件まで表示されます。表示された地域包括支援センターの「担当区域」を確認し、あなたの家族の担当となる地域包括支援センターの場所と連絡先を知っておきましょう。
木場 猛(こば・たける) 株式会社チェンジウェーブグループ リクシスCCO(チーフケアオフィサー)
介護福祉士 介護支援専門員 東京大学文学部卒業。高齢者支援や介護の現場に携わりながら、 国内ビジネスケアラーデータ取得数最多の仕事と介護の両立支援クラウド「LCAT」ラーニングコンテンツ監修や「仕事と介護の両立個別相談窓口」相談業務を担当。 3年間で400名以上のビジネスケアラーであるご家族の相談を受けた経験あり。セミナー受講者数、延べ約2万人超。
著書:『仕事は辞めない!働く×介護 両立の教科書(日経クロスウーマン)』
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