訪問診療の料金を解説!費用の仕組みや条件を見てみよう

訪問診療の料金を解説!費用の仕組みや条件を見てみよう

訪問診療とは、医師が計画を立て、患者の許可のもと、自宅など住んでいるところまで定期的に訪問をして行う診療のこと。


要支援・要介護になっても、住み慣れた自分の家で過ごしたいという方が増えてきている中で、訪問診療もニーズが高まっています。

しかし、利用したい思っている方の中には、「お医者さんが自宅まで来るから高額なのかな……?」という不安を抱えている方も多いはず。

今回は、訪問診療を依頼するとどれくらいの金額がかかるのか、その仕組みや目安を解説していきます。

訪問診療の費用の仕組み

訪問診療にかかる金額の内訳は下記の通りです。

基本診療費 + 追加加算される診療費 × 医療費負担割合

「基本診療費」と「追加加算される診療費」は、厚生労働省が定める診療報酬によって定められています。条件によっても変動する金額です。

 

仕組みとしてはシンプルなのですが、下記の内容によっても金額が異なります。

・住んでいるのが自宅か施設化
・訪問日や訪問時間
・状況、希望、診療方針等による追加対応

そのため、一概に「◯◯円です」と説明することができません。
あくまで目安としてご説明させていただきます。

まずはそれぞれの各項目ごとに内容を確認していきましょう。

 

基本診療費

基本診療費とは、その名の通り訪問診療利用時の基本的な費用のこと。

「医学総合管理料」と「訪問診療料」の2つの要素が合わさっています。

・医学総合管理料(在宅時・施設入居時)

具体的には、自宅もしくは入所している施設で療養中で通院が困難な患者に対し、個別で総合的な在宅療養計画を作成して、了承を得た上で定期的に訪問を行い、総合的な医学管理を行うことに対する費用のことです。

定期診療にともなう処方せん料も含み、毎月1回発生します。

・訪問診療料

診療を1回行うごとにかかる費用です。

自宅に訪問するのか、入所中の介護施設等に訪問するかによって料金が異なります。

訪問回数は診療計画により定められるものですが、月2〜4回程度が一般的です。

 

基本診療費は、医学総合管理料+訪問診療料×訪問回数で決定されます。

 

追加加算される診療費

基本診療費の中に出てくる「医学管理」とは、医師が患者に対して医学的に必要な管理・指導を行うことです。

それ以外でも、必要に応じて診療の内容が増えた場合には、別途料金が加算されます。

追加加算される診療費にあたる診療内容をいくつか紹介いたします。

・検査料(血液検査、尿検査、便検査、心電図検査など)
・注射、ワクチン
・点滴
・処置(尿道カテーテル交換、胃ろう交換、創傷処置など)
・文書作成料(抗がん剤治療や酸素系の医療機器使用など)
・薬(費用や薬局へお支払いになります)
・在宅療養指導管理料(自己注射が必要な方や自宅での透析を行っている方など)

 

こちら以外にも、緊急時に予定外で訪問し診療する「往診」を利用した場合にも、別途費用がかかりますのでご注意ください。

この部分についての金額が読めないため、訪問医療の金額を具体的にご紹介することが難しい状況です。

ざっくりで良いから金額が知りたいという場合、その時の状況で金額が変わるということを理解した上で、ケアマネージャーや医療機関の方にご相談するのも良いでしょう。

 

医療費負担割合

実際に何割の金額を負担するのかは、患者によって異なります。

日本国民であれば、基本的に公的公的医療保険に加入していますので、原則としては3割負担です。また、乳幼児と70歳以上の方は1〜2割負担となっています。

70歳以上であっても、一定以上の収入のある人は公的医療保険制度における自己負担割合の軽減措置が適用されず、3割負担です。

このように、医療費負担割合は年齢と収入によって異なるため、あらかじめ確認をしておくことが必要でしょう。

 

負担額別の医療費上限一覧

高額療養費制度

1ヶ月(月初から月末まで)の医療費が規定の自己負担限度額を超えた場合、超過した分が戻ってくる「高額療養費制度」という制度があります。

年齢や所得に応じて、医療費を支払う金額に上限があるのです。

金額はそれぞれ下記の通りです。

69歳以下の方

適用区分 1カ月の上限額(世帯ごと)
年収約1,160万円~

標準報酬月額83万円以上

252,600円+(医療費-842,000円)×1%
年収約770万~約1,160万円

標準報酬月額53万円以上

167,400円+(医療費-558,000円)×1%
年収約370万~約770万円

標準報酬月額28万円以上

80,100円+(医療費-267,000円)×1%
~年収約370万円

標準報酬月額26万円以下

57,600円
低所得者(住民税非課税者) 35,400円


70歳以下の方

適用区分
現役なみ 年収約1,160万円~

標準報酬月額83万円以上

252,600円+(医療費-842,000円)×1%
現役なみ 年収約770万~約1,160万円

標準報酬月額53万~79万円

167,400円+(医療費-558,000円)×1%
現役なみ 年収約370万~約770万円

標準報酬月額28万~50万円

80,100円+(医療費-267,000円)×1%
一般 年収156万~約370万円

標準報酬月額26万円以下

外来(個人ごと):18,000円(年間上限144,000円)

1ヶ月の上限金額(世帯ごと):57,600円

低所得者 住民税非課税世帯 外来(個人ごと):8,000円

1ヶ月の上限金額(世帯ごと):24,600円

低所得者 住民税非課税世帯

(年金収入80万円以下など)

外来(個人ごと):8,000円

1ヶ月の上限金額(世帯ごと):15,000円

この制度を利用することによって訪問医療が可能になる可能性もありますので、ぜひ確認してみてくださいね。

 

訪問診療を受けられる方の条件

医者と患者による問診

訪問診療は原則「自宅または施設で療養中で、疾病や傷病のため通院が困難な方」が対象です。

「通院が困難」の基準は明確に定められていません。一度主治医に相談してみてください。

また、小規模多機能型居宅介護に入っていらっしゃる方も、条件を満たせば訪問診療を利用することが可能です。


小規模多機能型居宅介護について詳しく知りたい方はこちら↓

小規模多機能居宅介護サービスとは?利用シーンや選び方について解説

 

訪問診療の診療内容

訪問診療では、診察はもちろん、血圧や体温測定などの健康チェック、採血や検尿などの検査、点滴、投薬、酸素療法、経管栄養法、経尿道カテーテルや各種ストーマの管理、床ずれの処置などが行われています。

その他にも、療養上の相談や指導、認知症の方へのケアを行うことも。

内容は多岐にわたっていて、診療所やクリニックによっても違いがありますので確認が必要です。

訪問診療について詳しく知りたい方はこちら↓
訪問診療とは?往診との違いや在宅医療で受けられるサービスについて

 

まとめ

・訪問診療の費用は「基本診療費 + 追加加算される診療費 × 医療費負担割合」で計算される。
・医療負担割合は患者の年齢や収入によって変動する。
・医療費には上限があり、上限の金額は患者の年齢や収入によって変動する。

 

訪問診療の費用はシンプルな構成ではあるものの、症状や状態によってかなり個人差があります。
ですが、うまく制度を利用することで訪問診療を行うことも可能でしょう。
迷っている方はぜひ一度、ケアマネージャーや医療施設に相談してみてくださいね。

 

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この記事の監修者

回答者アイコン木場 猛(こば・たける) 株式会社チェンジウェーブグループ リクシスCCO(チーフケアオフィサー) 介護福祉士 介護支援専門員 東京大学文学部卒業。高齢者支援や介護の現場に携わりながら、 国内ビジネスケアラーデータ取得数最多の仕事と介護の両立支援クラウド「LCAT」ラーニングコンテンツ監修や「仕事と介護の両立個別相談窓口」相談業務を担当。 3年間で400名以上のビジネスケアラーであるご家族の相談を受けた経験あり。セミナー受講者数、延べ約2万人超。 著書:『仕事は辞めない!働く×介護 両立の教科書(日経クロスウーマン)』
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