#仕事と介護の両立

長期外出自粛は 高齢家族の健康にどう影響するのか ── ご家族ができることとは

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長期間の外出自粛は、高齢者の「老い」を加速しうる

今回、さまざまな理由によって外出自粛が続くと高齢家族の健康にどう影響するのか、それに対してどのような対策をすべきか。エイジングリテラシーの観点からデータとともにお伝えします。

高齢者は10日動かないと7-8年分の筋力を失う

実は、高齢者の健康寿命に一番大きく影響するのは、「歩く力」です。
人間の足の筋肉量は、50歳を超えると急激に減少していきます。

足の筋肉量が減り始めると活動量が減り、活動量が減ると、食欲が減り、また筋肉量が減る、という悪循環が始まります。実はこのサイクルこそが、虚弱(フレイル)が始まる「老い」の正体なのです。実際、高齢者が10日間安静にすると、7-8年分の筋力が一気に失われてしまうというデータもあります。

新型コロナウイルス感染拡大で、長い間外出できない環境にある高齢者の方々にとって、「筋力をいかに維持するか」は、きわめて重要な問題になってきます。

片足立ち、タンパク質、そして会話を大切に

長い「自宅隔離」生活でも、老いのリスクを加速させないため以下のことを心がけるとよいでしょう。

・家の中でもできる足の筋力運動を毎日行うこと(例えば30秒ずつ机につかまった片足立ち)

・高たんぱくの食事を取ること(できればお肉やお魚)

「運動・栄養」への適切な介入は、高確率でフレイル状態を改善する

こういう時だからこそ、家族や社会との接点を保ち続けることは、心理的にとても大切です。

高齢のご家族がおられる方は、この記事の情報をきっかけに、ご本人とお話する機会を定期的に持って頂きたいと思います。

 

社会福祉法人三井記念病院内科、消化器内科、東京大学医学部付属病院消化器内科等を経て、2006年に最初の在宅療養支援診療所を開設。2008年に医療法人社団悠翔会の理事長に就任。2021年より内閣府規制改革推進会議専門委員に任命される。現在は、日本全国に合計21のクリニックを展開して、約7000名の在宅患者へと24時間対応の在宅総合診療を行っている。

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