1分でわかるケアマネジャーの役割― 制度の仕組みと、現場での実像がよくわかるガイド

1分でわかるケアマネジャーの役割― 制度の仕組みと、現場での実像がよくわかるガイド

ケアマネジャーとは?介護のはじまりに寄り添う存在

ケアマネジャー(正式名称:介護支援専門員)は、要介護者やその家族の暮らしを支える専門職です。介護保険サービスの利用を開始するとき、最初に相談する相手とも言えます。

ケアマネジャーは、介護保険制度が始まった2000年に制度化された職種で、「利用者主体のサービス提供」を実現するための中心的な役割を担っています。要介護者の状態や生活背景に応じて、必要な支援を継続的に受けられるよう調整するのが主な任務です。

また、ケアマネジャーには在宅担当と施設担当があり、それぞれ役割に違いがあります。自宅で介護を受けながら暮らす方を支えるのが「居宅ケアマネジャー」、介護施設に入居している方をサポートするのが「施設ケアマネジャー」です。

 

ケアマネジャーはどんな人?保有資格とバックグラウンド

ケアマネジャーは誰でもなれる職業ではありません。医療や福祉の資格を持ち、5年以上の実務経験を積んだうえで、試験に合格した人だけが「介護支援専門員証」を交付されます。

医師・看護師・介護福祉士・理学療法士・社会福祉士・薬剤師など、医療・介護の現場を知る専門職が多く、それぞれ得意とする分野も異なります。たとえば「認知症ケアに強い人」「医療系の手続きに詳しい人」など、個性があることも特徴です。

そのため、もしご自身やご家族の状況に合った支援を希望する場合には、「どんな資格を持っている人か?」「どういう背景がある人か?」を知ることも、重要なヒントになります。

 

ケアマネジャーの仕事内容:介護の全体像を設計する

ケアマネジャーの仕事は、単なる「調整役」ではありません。日常の生活や介護を、どう無理なく続けていけるか。ご本人とご家族の暮らしを支える全体設計図(ケアプラン)を考える、司令塔のような存在です。

以下は、主な業務の流れです。初回のアセスメントから、サービス開始後のフォロー(モニタリング)まで、一人ひとりに合わせた支援が行われています。本人が要介護申請を拒んでいるような場合でも、ケアマネジャーが丁寧に話を聞きながら、必要性を伝え説得してくれることもあります。

アセスメント 利用者の状態や生活状況を把握し、必要な支援を見きわめるための土台をつくる作業です。
ケアプラン作成 利用者の希望や課題に合わせて、どの支援をいつ・どのくらい受けるかを整理し計画を立てます。
サービス担当者会議 関係する事業者とプランの内容を確認し、必要な支援について話し合って決定します。
サービス提供 ケアプランに基づいて、実際に介護サービスが開始されるよう調整します。
給付管理 介護保険の利用実績を記録し、保険請求などの手続きを行います。
モニタリング サービス開始後も定期的に利用者を訪問し、支援内容が適切かを見直します。
その他の業務 地域の支援資源の情報収集や、相談対応、要介護認定調査などにも対応します。

 

費用はかかる?気になる制度の仕組み

ケアマネジャーの支援にかかる「居宅介護支援費」は、原則として全額が介護保険で賄われます。つまり、利用者本人の自己負担は0円です。※ただし、実際のサービス利用(訪問介護など)には1~3割の自己負担が生じます。

このため、制度をよく知るケアマネジャーに早めに相談することは、介護を始めるうえで大きなアドバンテージになります。

 

ケアマネジャーとの出会い方

要介護認定を受けた方は、市区町村の窓口や地域包括支援センターで「居宅介護支援事業所」のリストをもらい、希望する事業所に直接連絡することができます。

また、病院や既存の介護サービス事業者に相談して、評判の良いケアマネジャーを紹介してもらう方法もあります。

もしも相性が合わないと感じた場合は、担当のケアマネジャーを変更することも可能です。信頼できる関係を築くことが、介護をスムーズに進めるうえで欠かせません。

 

おわりに

ケアマネジャーは、介護保険を使いながら「どう暮らしていくか」を一緒に考えてくれる心強い存在です。

本記事では、制度上の役割に加え、医療や介護の現場で培われたさまざまな得意分野があることもご紹介しました。

必要な支援を、必要なときに、無理なく受けるために。この情報が、その一歩を踏み出すヒントになれば幸いです。

この記事の監修者

介護プロ編集部

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