長期の外出自粛で脚力が下がり、「以前より歩くスピードが遅くなった」と感じておられる方、意外と多いのではないでしょうか。
そこで今日は、この「歩行スピード」にまつわる最新の研究について取り上げてみたいと思います。
米Duke大学の研究者チームが、「45歳時点の歩行速度が遅い人ほど、脳と身体の老化が速く進む傾向にある」という、驚きの研究結果を発表しました。
この研究者グループは、1972年から40年以上にわたり、1000名を超える対象者に対して、バイオメーカーや身体機能の状況、脳のMRI診断等を継続的に実施。その結果、45歳時点で歩行スピードが遅い人は、筋力、免疫力、血圧、コレステロール値等、複数の指標において、歩行スピードが速い人に比べて老化が進んでいることを発見しました。
また、歩行スピードが遅い人の脳MRI画像には、本来であればもう少し高齢になってから発生するリスク兆候が見られ、記憶力や認知機能のレベルも、同年代で歩行スピードが速い人に比べて低下していることが分かったそうです。
この45歳時点の歩行スピードには、遺伝的要素もさることながら、若いときからの生活習慣の「選択」が、累積して影響している可能性が高い、と研究者たちは語っています。
自分の「老後」の健康を決めるのは、実は40代くらいまでの生活習慣の選択かもしれない。
緊急事態宣言も解除になり、日常が戻りつつある今日。
改めて、数十年後の健やかな自分の人生のために、颯爽と「歩く」力を大切にしていきたいものです。
出典 : Walking speed at age 45 linked to physical well-being, brain health (米国老化研究所)
木場 猛(こば・たける) 株式会社チェンジウェーブグループ リクシスCCO(チーフケアオフィサー)
介護福祉士 介護支援専門員 東京大学文学部卒業。高齢者支援や介護の現場に携わりながら、 国内ビジネスケアラーデータ取得数最多の仕事と介護の両立支援クラウド「LCAT」ラーニングコンテンツ監修や「仕事と介護の両立個別相談窓口」相談業務を担当。 3年間で400名以上のビジネスケアラーであるご家族の相談を受けた経験あり。セミナー受講者数、延べ約2万人超。
著書:『仕事は辞めない!働く×介護 両立の教科書(日経クロスウーマン)』
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