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介護保険申請のタイミングはいつ?在宅介護や入院中の場合別に解説

書類に記入するシニアカップル #介護の知識

介護保険申請のタイミングについて

介護保険の申請は、要介護認定を受けて介護サービスを利用するために必要不可欠な手続きです。

要介護認定を受けるきっかけは、申請者それぞれの身体状態や支援者(介護家族・ビジネスケアラー)の状況によって様々です。

  • 介護サービスを利用するため
  • 高齢のため自力で生活がしにくくなってきた
  • 病気療養中で、今後介護が必要になりそうだ
  • なんとなく不安だから受けておきたい
  • 家族(または知り合い)に勧められて
  • 認知症が進行している

介護保険申請のタイミングに明確な決まりはなく、在宅をされている方は、基本的に必要と思うタイミングで行いましょう。

入院中の方の場合は、介護保険の申請タイミングにはいくつかの注意点があります。タイミングを間違えると、介護サービスが予定通りに受けられない事態となることがあるので、以下で詳しく解説していきます。

 

入院中の介護保険申請タイミングと注意点

看護師の説明を受ける患者と家族

前述した通り、入院中の介護保険申請には、様々な注意が必要です。

タイミングによっては正確な身体状況が判定できず認定が遅くなり、それにより退院後すぐに介護サービスができないなどといった困った事態を招きかねません。

後述の注意点をよく理解して、介護保険の申請を行いましょう。

また、介護保険が申請できるかどうかを病院のソーシャルワーカー(MSWなどと呼ばれる)や担当医にも確認しておきましょう。家族が遠方に住んでいるなどの理由で介護保険の申請が難しい場合は、代理申請を依頼することもできます。

入院中は医療保険の利用

入院中は基本的に、医療保険が適用されます。この際、介護保険と医療保険を同時に利用することはできません。そのため、入院が長引く場合などは急ぐ必要はありません。

要介護認定を申請することは入院中でも可能なので、退院後のタイミングを見据えて申請準備を進めていくようにしましょう。

退院の1〜2ヶ月前に申請を

介護保険の申請は、申請してから認定までに約30日がかかります。

退院後すぐに介護保険サービスを利用するために、判定に要する時間を逆算して、退院の1〜1ヶ月半前が申請のタイミングとなります。

身体状態が安定していないタイミングは要注意

骨折や手術後間もない入院時は、病状などにより自力で動くことが難しい期間があります。

骨折や転倒をきっかけに介護保険の申請を始めるケースは実際に多いのですが、このように身体状態が通常と異なり、安定していない時期は正確な身体状況の判定が難しく、介護保険の申請を行っても認定調査ができません。

入院中に申請準備を進めたい場合は、主治医と相談の上でタイミングを決定しましょう。

入院中の担当医とかかりつけ医が違う時の注意点

介護認定を申請する際には、主治医の意見書も必要になります。一時的な入院などで、担当医とかかりつけ医が異なる場合には、普段の状態が伝わりにくくなることもあるため要注意です。

正確に要介護度を算定してもらうためにも、一時的な入院の場合には、退院後にかかりつけ医のもとで介護認定の申請をする方が良いでしょう。

入院中の介護認定に基準のある自治体に注意を

入院中の介護認定については市区町村によって異なり、独自の基準を設けている地域もあります。

例えば静岡沼津市では、入院中の介護認定に以下のような条件が決められています。

  • 治療が終了、またはリハビリがゴールに近づき、概ねの退院予定が決まっている。
  • 退院予定日は、申請日から概ね1か月以内である。
  • 退院後の方向性(施設入所、在宅で介護サービス導入)は、概ね決まっている。

出典:静岡県沼津市 介護保険 様式ダウンロード 「入院状況確認表

このように、自治体によっては、条件を満たさないと入院中の介護保険申請が申請できない場合があるので、あらかじめ病院や自治体に確認しておくとスムーズに準備が行えます。

 

在宅介護の介護保険申請タイミング

 

介護・福祉

在宅の方の場合、自分で身の回りのことをできなくなったり、家族が介護の必要性を感じた時が申請のタイミングといえます。

生活するのに人の手が必要になった時

自分だけで身の回りのことができなくなった時や、一人暮らしの方が家事全般を行うことが困難になれば、介護サービスを利用する必要性が出てきます。また、ご本人が家族の介助や手助けを頼るようになった場合なども、介護保険申請のタイミングと言えます。

介護保険の申請は、ご本人自らが決めるということは稀で、多くの場合ご家族や親戚からの勧めによるものです。なぜならご家族の方にとっても、ご本人の身体状況の変化や生活ぶりから介護サービスが必要と感じるタイミングが訪れるからです。

ご本人とご家族でよく話し合い、介護保険申請のタイミングを検討してみてください。

要介護状態になる恐れがある身体状況になった時

要支援・要介護認定を受けた方を対象とした厚生労働省の調査によると、介護が必要となった主な原因として以下のような病気や状態が上位を占めています。

  • 認知症(アルツハイマー型など)
  • 脳血管疾患(脳梗塞、脳出血など)
  • 骨折・転倒
  • 高齢による衰弱
  • 関節疾患

参考:厚生労働省 国民生活基礎調査 2019年介護を要する者数,現在の要介護度の状況・介護が必要となった主な原因別

介護保険申請を行うタイミングとして、上記のような疾患や骨折・転倒などをきっかけに介護保険申請が行われるケースが多いということが言えるでしょう。

 

介護保険の提出方法について

介護保険申請の主な流れは、以下の通りです。

1.要介護認定の申請

必要書類を揃え、市区町村の窓口や地域包括支援センターへ要介護認定の申請をします。第1号被保険者は「介護保険被保険者証」、第2号被保険者は「医療保険被保険者証」が必要です。

2.認定調査、主治医意見書

市区町村の調査員が自宅や施設などを訪問して、心身の状態を確認するために認定調査を行います。市区町村がかかりつけ医に主治医意見書の作成を依頼をします。

3.審査判定

コンピュータによる要介護度の一次判定が行われた後、介護認定審査会において話し合いにより一次判定と医師の意見書を元に二次判定を行い、介護度の認定が決定されます。

4.認定

要介護認定の結果は申請から30日以内に通知されます。要支援1~2、要介護1~5、非該当のいずれかに分類され、受けられるサービスの判断基準になります。

認定の有効期間は新規・変更申請が6ヶ月、更新申請が12ヶ月です。介護者の状態に変化があるときは、有効期間中でも要介護認定の変更を申請し、介護レベルの再判し直しができます。

申請についての詳細はこちらへ
介護保険料を申請できる人は?申請条件や申請方法について解説

 

まとめ

  • 入院中と在宅介護では、申請のタイミングが異なるので注意が必要
  • 入院中は医療保険が適用されるので、介護保険を利用できるのは退院後
  • 身体状態が安定していない段階での認定調査は不可能
  • 入院中の場合は、介護保険の申請から認定までに要する約30日を逆算し退院1〜1ヶ月半前に申請準備を
  • 在宅介護の場合は、介護の必要性を感じた時点で申請を

介護保険の申請のタイミングは、申請者やその支援者(介護家族・ビジネスケアラー)の状態や状況により様々です。それぞれの状況下で、介護サービスが必要だと感じた時に申請を行うことが、”タイミング”となります。ただし、入院中の方が申請する場合は、認定調査ができない場合もあるため、主治医と相談のうえ、退院の1〜1ヶ月半前を目処に準備を進めていきましょう。

 

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この記事は専門家に監修されています
 介護プロ
金山峰之(かなやま・たかゆき)

介護福祉士、社会福祉士、准看護師。福祉系大学卒業後、20年近く在宅高齢者介護に従事。現場専門職の傍、介護関連の講師業(地域住民、自治体、国家公務員、専門職向け等)や学会のシンポジスト、介護企業向けコンサルティング事業、メーカー(ICT、食品、日用品等)へシニア市場の講演などを行っている。
厚生労働省関連調査研究事業委員、東京都介護人材確保関連事業等委員など経験。
元東京都介護福祉士会副会長。政策学修士。

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