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要介護認定で一番多いのは?年代別・要介護度別などでわかりやすく解説

医者から診断結果を聞いている高齢者 #介護の知識

日本社会の高齢化に伴い、要介護認定を受ける方も増え続けています。要介護・要支援と認定されることで、介護保険サービスは支援者(介護家族・ビジネスケアラー)の強い味方となってくれますが、サービス内容や支給限度額は認定される要介護度で異なります。

では、どの要介護度が一番多いのでしょうか?今回は、厚生労働省の「介護保険事業状況報告」をもとに要介護認定について、その推移をお伝えします。

 

要介護認定者数の推移

要支援・要介護度イメージ

介護保険制度は高齢化や少子化、核家族化の進行などを背景に2000年にスタートしました。

厚生労働省の「介護保険事業状況報告」によると、2021年度の要介護(要支援)認定者数は前年度比約2.0%増の約682万人となりました。2000年度と比べると約2.6倍の増加で、現在までのところ、要介護・要支援認定者数は、要介護5を除いて各区分で年々増加し続けています。要介護5だけは2013年をピークに減少が始まり、唯一状況が異なる区分となっています。

また、要介護・要支援認定を受けた第1号被保険者のうち、前期高齢者(65歳〜75歳未満)は76万人で全体の11.3%、後期高齢者(75歳以上)は593万人で全体の88.7%です。第1号被保険者では高齢層の方が約9割を占めているということになります。

要介護・要支援認定者数を要介護(要支援)別に見ると、最も多いのは要介護1で、その次が要介護2、要支援1と続きます。

出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告(令和2年度 )」

 

要介護認定で一番多い介護度は?

厚生労働省の2020年度末の統計によると、要介護認定で一番多い介護度は「要介護1」で140.1万人です。次いで多いのが「要介護2」の116.6万人、「要支援1」が96.1万人、「要支援2」が94.9万人となっています。

介護度別の割合を見てみると、以下のようになります。

要支援1要支援2要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
14.1%13.9%20.5%17.1%13.3%12.5%8.6%

 

年代別でみる要介護度

年代別に一番多い要介護度はいくつなのか見てみましょう。

65歳〜70歳未満

65歳以上70歳未満の要介護認定で一番多いのは「要介護1」で18.30%、次に多いのは「要介護2」で17.86%です。

要支援1要支援2要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
14.73%16.07%18.30%17.86%12.50%11.16%9.38%

70歳〜75歳未満

70歳以上75歳未満の要介護認定で一番多いのは、65歳以上70歳未満の割合と同様「要介護1」で18.91%、次に多いのは「要介護2」で17.23%です。

要支援1要支援2要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
16.10%16.10%18.91%17.23%12.17%10.86%8.61%

75歳〜80歳未満

75歳以上80歳未満の要介護認定で一番多いのは「要介護1」で20.75%、次に多いのは「要支援1」で18.28%です。

ここでは「要支援1」が2番目に多くなっていますが、これは75歳以上になると病気やケガよりも、むしろ老衰などによって要介護(要支援)の認定が増える傾向にあるためと考えられます。

要支援1要支援2要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
18.28%16.04%20.75%16.16%11.20%9.91%7.43%

80歳〜85歳未満

80歳以上85歳未満の要介護認定で一番多いのは「要介護1」で21.95%、次に多いのは「要支援1」で18.21%で、75歳以上80歳未満と同様です。

年代的に老衰のために介護認定を受ける人が多くなるため「要支援1」の割合が高くなっていると言えるでしょう。

要支援1要支援2要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
18.21%15.74%21.95%15.88%11.22%9.95%7.06%

85歳〜90歳未満

85歳以上90歳未満の要介護認定で一番多いのは「要介護1」で22.12%、次に多いのは「要介護2」で16.92%で、要介護2が多くなってきました。

要支援1要支援2要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
14.79%14.51%22.12%16.92%12.65%11.45%7.61%

90歳以上

90歳以上の要介護認定で一番多いのは「要介護1」で18.80%、次に多いのは「要介護2」で18.26%です。

90歳以上の方となると、要介護2以上の認定を受けている方が一気に増え、半数以上を占めます。この年代では介護度がかなり高くなることが分かります。

要支援1要支援2要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
7.93%10.00%18.80%18.26%16.79%17.28%10.87%

出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告(令和2年度 )」

 

介護度別でみる介護サービスの利用者数

高齢者の食事シーン

介護サービスには、自宅での家事援助、訪問・通い・宿泊を組み合わせたサービス、福祉用具のレンタルなど、介護保険に基づいたさまざまなサービスがあります。提供されている介護サービスごとに、どの介護度の方に一番多く利用されているかを見ていきましょう。

居宅介護(介護予防)サービス

居宅介護(介護予防)サービスとは、通所介護や訪問サービス、福祉器具レンタル・購入といった在宅で受けられる介護保険サービスのことです。

居宅介護(介護予防)サービス受給者の数は、2020年度累計で総数4,710万人、そのうち第1号被保険者数は4,608万人、第2号被保険者数は102万人となっています。

要介護(要支援)の区分別では「要介護1」の受給者数が26.5%と最も多くなっています。要支援1~要介護2の軽度の受給者が約70.0%を占めています。

要介護(要支援)状態区分別 居宅サービス受給者数の割合(第1号被保険者、第2号被保険者別)

要介護(要支援)状態区分別 居宅サービス受給者数の割合(第1号被保険者、第2号被保険者別)

出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告(令和2年度 )」

地域密着型サービス

地域密着型サービスは、利用者が住む市区町村が介護事業者の指定や監督を行う、地域の特性を活かした介護サービスです。

地域密着型(介護予防)サービス受給者の数は、2020年度累計で総数1,046万人、そのうち第1号被保険者数は1,032万人、第2号被保険者数は14万人となっています。

要介護(要支援)の区分別では「要介護1」の受給者数が28.8%と最も多くなっています。要支援1~要介護2の軽度の受給者が約56.5%、要介護3~要介護5の重度の受給者が約43.5%を占めています。

要介護(要支援)状態区分別 地域密着型サービス受給者数の割合(第1号被保険者、第2号被保険者別)

出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告(令和2年度 )」

施設介護サービス

施設介護サービスとは、自宅での介護が困難な場合に施設に入所して受ける介護サービスのことです。

施設介護サービス受給者の数は、2020年度累計で総数 1,148万人となっています。

要介護(要支援)の区分別では、居宅介護サービスや地域密着型サービスとは異なり、「要介護4」の受給者数が34.7%と最も多くなっています。また、要介護3~要介護5の重度の受給者の割合が高く、約85.6%を占めています。

要介護状態区分別 施設サービス受給者の割合(総数)

出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告(令和2年度 )」

 

まとめ

  • 要介護・要支援認定者数は年々増加し続けている
  • 要介護度において、すべての年代で最も多いのは「要介護1」
  • 年齢別に見ると、85歳以上では半数近くの人が「要介護2」以上の認定を受けている

高齢者の増加に伴って、介護サービスの利用を必要とする要介護・要支援認定者数も年々増加しています。高齢化社会が進む日本において、介護職の人材不足や施設不足、介護保険の財源不足など、介護保険制度の問題は山積みです。時代やニーズの変化に対応するため、3年に1度見直しが行われる介護保険制度。現在抱える様々な問題が解消され、より良い制度となるよう期待していきたいと思います。

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この記事は専門家に監修されています
 介護プロ
金山峰之(かなやま・たかゆき)

介護福祉士、社会福祉士、准看護師。福祉系大学卒業後、20年近く在宅高齢者介護に従事。現場専門職の傍、介護関連の講師業(地域住民、自治体、国家公務員、専門職向け等)や学会のシンポジスト、介護企業向けコンサルティング事業、メーカー(ICT、食品、日用品等)へシニア市場の講演などを行っている。
厚生労働省関連調査研究事業委員、東京都介護人材確保関連事業等委員など経験。
元東京都介護福祉士会副会長。政策学修士。

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