#介護の知識

高齢者の「見守りサービス」とは?目的や状況に合わせた選び方について解説

#介護の知識

高齢のご両親と離れて暮らしている方にとって、毎日の生活や食事、トラブルや事故など、「大丈夫だろうか?」「何かあったらどうしよう…」と、気がかりになることはたくさんあるのではないでしょうか。

「見守りサービス」は、そんな日々の心配を緩和してくれる、近年人気のサービスです。

少子高齢化社会において、そのサービス内容や提供業者は多岐に渡ります。
かけがえのない日々のささやかな安心のために、ご家庭やご高齢者の生活スタイル・健康状態に合った「見守りサービス」を探してみてはいかがでしょうか?

見守りサービスとは?

日本では高齢化社会が進み、一人暮らしや遠方に住む高齢者が増えています。その中で、高齢者自身やそのご家族が抱えている不安を解消するために役立つのが「見守りサービス」です。

見守りサービスとは、高齢者の生活状況や健康安否を確認できたり、必要な時に支援してもらえるサービスのこと。

定期的に安否確認をしてもらえるものや、宅配サービス時に健康チェックを行ってもらえたり、不測の事態が起こった時や緊急時に通知を受け取れたりサービススタッフが駆けつけてくれたり、遠方に住むご家族にとっても安心できるサービスが多岐に渡り提供されています。

親御さん親とそのご家族(ビジネスケアラー)、それぞれの生活スタイルに適した見守りサービスをうまく活用して、双方がストレスなく安心できるものを選ぶことが大切です。

 

見守りサービスの種類

見守りサービスにはさまざまな種類がありますが、大きく分けると以下の8つに分類できます。

  • 訪問型・宅配型見守りサービス
  • センサー型見守りサービス
  • 通報型見守りサービス
  • 電話・メール型見守りサービス
  • カメラ型見守りサービス
  • 複合型見守りサービス(ホームセキュリティ)
  • 家電を使った見守りサービス

それぞれのサービスがどのようなものか、実際にある提供サービスとあわせて順番に見ていきましょう。

 

訪問型・宅配型見守りサービス

サービス提供業者のスタッフが自宅を定期的に訪問して、生活状況や健康状態をチェックしてくれる訪問型と、食事や日用品などを高齢者の自宅に配達し、その際に声かけや安否・健康確認を行ってくれる宅配型サービス。

サービス提供業者のスタッフが実際に自宅を訪れるため、高齢者の孤独感を軽減できたり、食事や買い物が難しい高齢者の日常生活にとっても便利であることがメリットです。逆に、緊急時対応ではないことや、訪問スタッフは介護・医療の専門ではないため健康変化を察知することは難しいのがデメリットとなっています。

サービス名郵便局のみまもりサービス
対象地域全国
特徴郵便局社員による自宅訪問と安否・健康確認
URLhttps://www.post.japanpost.jp/life/mimamori/

 

サービス名ワタミの宅食 みまもりサービス
対象地域全国
特徴自宅へのお弁当の配達と安否確認
URLhttps://www.watami-takushoku.co.jp/contents/mimamori_top

 

サービス名ヤクルト届けてネット
対象地域全国
特徴自宅への商品配達と声かけ
URLhttps://yakult-t.jp/shop/pages/kizuna.aspx

 

センサー型見守りサービス

高齢者の自宅(部屋、浴室、リビングなど)に人感センサーを設置し、生活リズムや異常な動きを24時間検知し、以上があった時はサービス提供者が通知してくれるサービスです。

直接的な映像での確認やコニュニケーションがとれないものの、高齢者のプライバシーを守りやすく、通知はご家族のPCやスマホで受け取れるため、比較的早い段階で誰かが様子を見にけることが可能になります。

サービス名スリーSみまもりサービス
対象地域全国
特徴人感センサーでの安否確認

異常事態をメールで通知

URLhttps://www.mimamori-3s.com/

 

サービス名親子のドアシル
対象地域全国
特徴人感センサー、照度センサー、ドアセンサー機能などによる見守り

異常事態をメールで通知

URLhttps://aitosys.com/doashiru/

 

通報型見守りサービス

急な体調不良や事故、トラブルが起こった際に、高齢者がボタンや首から下げるペンダントなどや自宅に設置した機器のボタンを押すと、ご家族や警備会社などに通知が届くサービスです。

ボタンを押すだけなので、操作が比較的簡単で高齢者にも扱いやすいのが特徴。ただし、実際の緊急時に本人がボタンが押せない状況となる場合もある、ということを理解しておかなくてはなりません。

サービス名HOME ALSOK みまもりサポート
対象地域全国
特徴ボタンひとつで緊急時警備員に通報 
URLhttps://www.alsok.co.jp/person/mimamori/

 

サービス名セコム 高齢者見守りサービス
対象地域全国
特徴ペンダントやボタンで緊急時警備員に通報 
URLhttps://www.secom.co.jp/homesecurity/plan/seniorparents/

 

サービス名VIDEOツーホー
対象地域全国
特徴アプリを使って24時間つながる緊急通報
URLhttps://video-tsuho.kko-corporation.com/

 

電話・メール型見守りサービス

電話やメールで対話や自動音声・メールに高齢者が返信することで、ご家族が安否確認を受け取れるサービスです。

サービス提供業者のスタッフが定期的に電話でコミュニケーションを取るタイプのものと、オートによる自動音声や自動メールによる質問に高齢者が返信をするタイプのものがあります。手軽に少ない費用で利用できるサービスですが、本人が電話やメールに対応できない時もあることや、実際の健康状態や状況が分からないことはデメリットと言えます。

サービス名ホームネット お元気コール
対象地域全国
特徴電話での安否確認と健康相談
URLhttps://www.homenet-24.co.jp/service/callcenter/telcall.html

 

サービス名らいふコール
対象地域全国
特徴低価格の自動音声による安否確認
URLhttps://anpi.lifedeli.jp/

 

カメラ型見守りサービス

高齢者の自宅にカメラを設置し、映像で日常生活の様子を確認できるサービスです。

カメラ型のメリットは、24時間、リアルタイムで状況を確認でき、緊急時の呼びかけなどにも対応している点。

デメリットとして、プライバシーが守られにくいことで高齢者が嫌悪感を抱くこともありますが、最近ではプライバシー保護のため、カメラは必要な時だけ起動したり、音声だけで対応したりすることも可能です。

サービス名ラムロック みまもりCUBE
対象地域全国
特徴インターネット不要で、24時間映像による安否・健康確認
URLhttps://ramrock-eyes.jp/

 

複合型見守りサービス(ホームセキュリティ)

上記の通報型・センサー型の見守りに加え、空き巣や火災発生など自宅の緊急時にも対応した、主に警備会社によるホームセキュリティサービスです。
24時間対応しているため、緊急時やトラブルの際にはいつでもスタッフが駆けつけてくれるため、安心感という点で非常に魅力的なサービスといえます。ただ、全てのサポートを受けるためには、大変高額になることを理解して検討しましょう。

サービス名セコム 高齢者見守りサービス
対象地域全国
特徴24時間365日見守り、緊急時警備員に通報 

看護師に常時相談可能

URLhttps://www.secom.co.jp/homesecurity/plan/seniorparents/

 

サービス名HOME ALSOK みまもりサポート
対象地域全国
特徴24時間365日見守り、緊急時警備員に通報 

看護師に常時相談可能

URLhttps://www.alsok.co.jp/person/mimamori/

 

家電を使った見守りサービス

IoT機器(インターネットに接続された家電)により、使用の有無や消費電力、使用頻度から高齢者の生活パターンや異変を把握することができるサービスです。

現在日本で販売されている見守り機能付き家電は、電気ポットや電球、リモコン、テレビ、冷蔵庫、ロボット型掃除機など。
緊急時を知るための見守り機能としては適していませんが、高齢者側は生活スタイルを変えずに取り入れることができるうえ、特別な操作は不要。ご家族はアプリやスマホ・PCなどで通知を受け取ったり、日常のリズムや使用状況を知ることができます。

サービス名MaBeee みまもり電池 
対象地域全国
特徴自宅の家電に入れて見守りができる乾電池型IoT機器
URLhttps://mimamori.novars.jp/

 

サービス名HelloLight(ハローライト)
対象地域全国
特徴IoT電球のON/OFF通知で24時間安否確認
URLhttps://www.hellolight.jp/

 

高齢者見守りサービスの選び方ポイント

高齢者見守りサービスは多様で、それぞれにメリットやデメリットがあります。では、どうやって自分やご家族に合った見守りサービスを選ぶのでしょうか?

高齢者見守りサービスの選び方ポイントを4つご紹介します。

高齢者の意向を尊重

まず、見守りサービスを利用する高齢者本人の意向を尊重することは重要です。

見守りサービスは安心感や安全性を提供するものですが、同時にプライバシーや自立性を侵す可能性もあります。見守りサービスを導入する前には必ず高齢者本人と話し合ってその希望や不安を聞くようにしましょう。

また、自立心や生きがいを保つためにも、ご家族から強制されるのではなく、自分から利用したいと思えるようなサービス内容や方法を選ぶことが大切です。

目的や状況にあわせる

見守りサービスを利用する目的や状況にあわせて選ぶことが必要です。

例えば、高齢者本人が健康状態や生活リズムに不安がある場合は、定期的な電話確認やカメラ・センサー機能を使って安否・健康確認するタイプが良いでしょう。高齢者本人が孤独感や寂しさを感じている場合は、訪問型などで会話や交流ができるタイプのサービスがおすすめです。

使いやすさ

高齢者本人やご家族が使いやすいことも重要です。

スマホアプリや電子機器を使うなら、操作しやすいものや、高齢者本人が操作しなくてもいいものを選びましょう。また、サポート体制の充実やプライバシー対策なども大切なポイントです。

費用

見守りサービスを利用するには、費用も考慮しなければなりません。

見守りサービスの費用は、サービスの種類や内容によって異なりますが、機器代や設置費、登録料などの初期費用、基本料金やオプション料金などの月額費用、その他に通信料や消耗品代などがかかります。予算と内容を比較検討しつつ、経済状況にあわせて無理のないサービス選びをしましょう。

 

見守りサービスにかかる費用の目安

次に、見守りサービスの種類ごとで、かかる費用の目安についてご紹介します。月額費用のほかに、初期費用がかかるサービスもあるので、事前に確認しておくことが必要です。

サービスの種類初期費用月額費用
訪問・宅配型無料~約1,000円~

食事代は1食500~800円程度

センサー・カメラ型約1万円~8万円程度約2,000円~1万円程度
電話・メール確認型無料~1万円程度約200円~8,000円程度
通報(複合)型約1万円~20万円程度約2,000円~5,000円程度
IoT家電型約3,000円~5万円程度約1,000円~5,000円程度

この費用はあくまでも目安です。費用は機器をレンタルするか自分で買うか。サービス提供者によって変わります。

 

身近な地域の見守りネットワーク

見守りサービスを利用する際には、身近な地域の見守りネットワークも活用することができます。例えば、

  • 近所付き合いや町内会で高齢者の様子を気遣うこと
  • 地域包括支援センターや福祉事務所などの公的機関に相談すること
  • 地域のボランティア団体や民間企業と連携すること

などがあります 。

これらの見守りネットワークは、見守りサービスと併用することで、高齢者の安全や安心をより高めることができます。また、高齢者自身やご家族だけでなく、地域全体で高齢者を見守ることで、コミュニティのつながりや活性化にも貢献することができます。

地域によって見守り支援活動の有無があるので、お住まいの市町村に問い合わせをしてみましょう。

 

まとめ

高齢者とそのご家族、お互いの安心・安全はかけがえのないものです。
高齢者見守りサービスは、離れて暮らすご家族や不在時に、高齢者の様子を見守るための有効なサービスです。うまく活用することで、ストレスや不安が軽減できる可能性があります。

見守りサービスを検討する際は、ご家族が安心できる毎日を過ごせるよう、健康状態や予算、目的に合わせ、納得のいくサービスを選ぶことが大切です。

この記事は専門家に監修されています
 介護プロ
木場 猛(こば・たける)

株式会社チェンジウェーブグループ リクシスCCO(チーフケアオフィサー)
東京大学文学部卒業。2001年の在学中から現在まで22年以上にわたり、介護士・ケアマネージャーの現場職として、2,000世帯以上のご家族を担当し、在宅介護、仕事と介護の両立支援に携わる。
著書:『仕事は辞めない!働く×介護 両立の教科書(日経クロスウーマン)』https://amzn.to/3ryjZNg

この記事をシェアする
介護情報の国内最大級メディア | ライフサポートナビ
タイトルとURLをコピーしました