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要介護2でもらえるお金はいくら?受けられるサービスや支給限度額について解説

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高齢になり筋力が衰えたり、病気やケガなどで身体を思うように動かせなくなると、家事を1人でこなすことが難しくなってきます。

要介護2は、要介護認定の中の要支援1、2、要介護1の方より日常生活のサポートを必要とする状態です。

要介護2になると日常生活の動作に介助が必要な状態となり、本人だけでなく、ご家族が不安を覚えることも多くなるでしょう。安心して生活するためにも、いろいろな情報を集めておくことが大切になります。

 

要介護2とは具体的にどのような状態なのか、また、要介護2の方が受けられるサービスや入れる施設、介護保険によって受けられる給付金の種類や限度額などもお伝えいたします。

 

要介護2とは、どんな状態?

介護・福祉

要介護2とは、日常生活においてどの程度の介護が必要であるかを判断する「要介護度」における1つの認定段階です。

要介護認定の基準は、どのくらいの時間介護が必要かで判断されます。「介護が必要な時間」とは、介護保険法に定める「要介護認定等基準時間」と呼ばれるものです。

※この時間は実際に介護に要する時間とは異なるもので、あくまでも要介護認定のための尺度として用いられる基準になります。

要支援1・2、要介護1~5の7段階に分けられており、要介護2はその段階における要介護度の中の1つ。介護が必要な時間が「70分以上90分未満」に相当する状態です。

一般的に要介護2は、支えを使わずずっと立っているのは難しいなどの状態にあり、家事や身の回りのこと全般に見守りや介助が必要とされています。

 

要介護3との違い

要介護3は要介護2よりも介護が必要な状態となり、掃除や洗濯といった家事を自分で行うことができません。また、排せつや入浴、着替えや食事などの日常生活の動作にも全面的な介助が必要です。

理解力も低下した状態で、認知症の症状がある場合は、周囲の方が困るような行動が多々みられる場合もあります。

そのため、見守りや介護にかかる時間も要介護2の場合より長くなるでしょう。

要介護2は自力でできないこともありますが、できない部分だけを介助すれば身の回りのことは基本的に自力で行えます。歩く際も部分的な介助があれば、自分で歩けます。

 

要介護2の認定基準

要介護度を認定する際は2段階の判定を受けます。

一次判定では自治体の認定調査員の聞き取り結果や主治医意見書をもとにした、コンピュータ判定。二次判定では一次判定の結果や主治医意見書、一次判定の際の聞き取り内容なども参考にした、保健・医療・福祉の学識経験者によって構成される介護認定審査会での判定です。

また、要介護2の認定基準について、要介護認定時の判定基準の1つである要介護認定基準時間が「50分以上70分未満」であることが1つの条件として挙げられます。

要介護認定基準時間とは、以下の介助や行為にかかる時間を指します。

 

直接生活介助:入浴・排せつ・食事などの介護

間接生活介助:洗濯・掃除などの家事援助

問題行動関連行為:徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末

機能訓練関連行為:歩行訓練・日常生活訓練などの機能訓練

医療関連行為:輸液の管理、褥瘡(床ずれ)の処置といった診療の補助など

参考:厚生労働省 用語の説明 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service01/yougo.html

しかし、要介護認定基準時間はあくまでも1つの認定基準であり、主治医意見書などの医学的意見なども考慮のうえ判断されるため、要介護認定基準時間のみで要介護度が決まるわけではありません。

 

要介護2で受けられるサービス

要介護2の方が受けられるサービスには「在宅サービス」「通所サービス」「施設サービス」の3種類があります。

在宅介護サービスとは専門職員などが利用者の自宅に訪問する訪問介護サービスのことで、主なものは以下となります。

・訪問介護
ホームヘルパーが自宅に訪問して日常の生活を援助します。食事や排せつに関する身体介護のほかにも、必要に応じて料理や洗濯、掃除などを行う家事支援を受けることも可能です。

・訪問入浴介護
介護職が自宅での入浴介助を行います。入浴前の健康チェックや入浴中に身体や髪を洗うための介助、軟膏塗布なども受けることができます。

・訪問看護
看護師が療養上の世話や医療行為、診療の補助などを実施します。持病があったり、健康状態に不安がある場合には訪問看護がおすすめです。

・訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士が訪問し、自宅でリハビリを受けられます。散歩や階段の上り下りなど、日常生活の動作に必要なリハビリが中心となります。

・居宅療養管理指導
医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士などが訪問し、療養上の管理や指導を行います。

・夜間対応型訪問介護
夜間の定期巡回や緊急時に定期巡随時訪問といった対応が可能です。

 

また、要介護2の方が利用できる通所介護サービス(デイサービス)では、介護施設での食事や入浴、排せつなどの介助の他に、機能訓練やレクリエーションも受けることができます。

利用者の生活だけでなくご家族の負担を軽減できます。

・地域密着型通所介護
デイサービスとサービス内容はほぼ同じですが利用者が18名以下と限られており、より手厚い介護が可能です。

・通所リハビリテーション(デイケア)
理学療法士や作業療法士などが日帰りでリハビリを行います。病院や診療所に通うことなどを目的にしたより専門的なリハビリとなり、看護師による健康チェックや生活支援なども受けられます。

・療養通所介護
医療法人や社会福祉法人などが提供するサービスです。デイサービスのような日常生活の支援や機能訓練を受けることが可能で、自宅への送迎も行ってくれます。

・認知症対応型通所介護
認知機能が低下している場合は、一般の通所介護では受け入れが難しい場合もあります。ここでは、精通したスタッフが対応してくれるため、食事や入浴などの介護や機能訓練などを受けることができます。

・短期入所生活介護(ショートステイ)
要介護者が30日間まで一時的に入所することができ、介護や機能訓練を受けて自宅で自立した生活を送れるようサポートしてくれます。


施設サービスで要介護2の方が入れる施設は、大きく民間施設と公的施設の2種類があります。民間施設は民間企業が運営しており、公的施設より費用が高い傾向にあります。

<民間施設>

・介護付き有料老人ホーム
・住宅型有料老人ホーム
・グループホーム
・高齢者専用賃貸住宅
・(サ高住)

 

公的施設を運営しているのは医療法人や社会福祉法人などの団体で、比較的安い費用でサービスを受けることができます。

公的施設としては以下となります。(以下で紹介する一部の施設は要介護2以下の自立、要支援、要介護1の方でも利用できます)

<公的施設>
・介護老人保健施設(老健)
・介護療養型医療施設
・介護医療院
・軽費老人ホーム(ケアハウス)

 

要介護2の方は特別養護老人ホームには入れませんが、介護を十分に受けられない環境にいる場合などには、特例で入居できることもあるので、確認してみると良いでしょう。

 

要介護2でもらえるお金はいくら?

介護保険は介護が必要な方に、その費用を給付

要介護2の認定を受けたからと言って、給付金のようにお金がもらえるわけではありません。

要介護度ごとにどの程度介護保険サービスを利用できるかを示す指標が「単位」となっており、厚生労働省によって介護度ごとに上限単位が決まっています。

要介護2の区分支給限度基準額(単位)は19,705と定められており、介護保険の自己負担割合が1割の場合は19,705円が1カ月の自己負担額の上限額となります。

医療保険と同様に、世帯の所得額によって決まる1~3割の負担割合の残りの部分が介護保険で補われるだけで、要介護度ごとにお金が支給されるわけではないのです。

 

要介護2の区分支給限度額について

要支援1・2、要介護1~5のうち、いずれかの要介護度の認定を受けると、介護保険サービスを1~3割の自己負担で利用することができます。

それぞれの要介護度によって、1~3割の自己負担額で利用できる金額の上限が設定されており、それを区分支給限度基準額と言います。

 

区分支給限度基準額は要支援・要介護度ごとに設定された介護保険サービスの月の上限単位数です。介護保険サービスの利用料は、介護度別に支給限度額が定められています。限度額内であれば、所得に応じて1~3割の自己負担額でサービスを利用できます。


要介護2の場合、支給限度額の上限は「1ヵ月あたり19万7,050円」です。このうち1~3割を利用者が自己負担する必要があり、1割負担で19,705円、2割負担なら39,410円となります。


介護保険サービスを利用する際は、専門家であるケアマネジャーにケアプランを組んで利用することとなるので早めに相談するようにしましょう。

 

要介護2で受けられる給付金について

要支援1~2、もしくは要介護1~5のいずれかの認定を受けている、かつ介護保険被保険者証に記載されている住所の自宅に住んでいる方は、介護保険を利用し、段差の解消や手すりの設置などの自宅設備を改善したり導入したりすることができます。

介護保険における住宅改修の支給限度額は20万円ですが、基本的に費用の9割(所得によって7割~8割の場合もあり)が支給されるため、20万円の改修を行った場合の自己負担額は2万円という計算になります。

 

介護保険を利用しての住宅改修は原則として、個人ごとに1人1回と定められています。ただし、20万円の上限内であれば、複数回の改修工事を行うことができます。

たとえば1回目に5万円分の改修を行った場合、次回15万円分の改修を行えるということです。

 

また、要介護認定を受けたお父様が介護保険の住宅改修を利用し、その後に同居のお母様も要介護認定を受けた場合や、要介護度が3段階以上重くなった場合なども、2回目以降の住宅改修が認められることがあります。

 

介護保険を利用した住宅改修にはさまざまなメリットがあり、住み慣れた自宅で生活を続けるうえで、心強い味方になってくれる制度です。

しかし、介護保険を利用した住宅改修には、所定の手続きを踏んだり、限度額内での改修を行ったりする必要があり、思い描く改修がすべてできないこともあるでしょう。超過分は介護保険の対象外なので、工事の予算感などはあらかじめあらかじめ把握しておきましょう。

 

まとめ

要介護2は日常生活に補助が必要な状態で、今まで通りに生活するということが困難となります。
要介護2の方が受けられるサービスにはホームヘルプなどが自宅に訪問する在宅サービス、日帰りで介護施設に通う通所サービス、入居して医師や職員の介護を受ける施設サービスなどがあり、要介護2になった場合は介護保険によって給付金を受けられます。
在宅介護サービスや施設入居、福祉用具のレンタルなど、利用可能なサービスや適したサービスを利用することで、生活上の負担を軽減することができます。
自治体に介護サービスについて問い合わせ、ご本人の希望や身体状況・介護状況を踏まえた、適切なサービスを利用し負担のない生活を目指しましょう。

 

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