#介護の知識

デイサービスで「入浴のみ」の利用ができる?利用する時の費用から流れまでを紹介

介護施設の入浴設備 #介護の知識

健康な方は体を洗ったり湯船に浸かるなど、ごく自然に入浴をされていると思います。しかし、入浴における一連の動作は、要介護者にとっては非常に難しいとされており、入浴介助は介護職でも難しいケアのひとつとされています。
要介護の方のご家族にとっては、入浴だけは他の方の手を借りたいと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな時「デイサービスで入浴だけ利用したい、なんてできるの?」と疑問に思う方も多いはず。
今回は入浴だけのサービスを受けることが可能か、受ける場合にはどうすればいいのかを詳しく解説していきます。

デイサービスは入浴のみの利用が可能

結論からお伝えすると、デイサービスを入浴のみで利用することは可能です。

デイサービスでは、自宅の一般的な浴槽にはない「シャワー浴」「リフト浴」「ストレッチャー浴」などの要介護者向けの入浴方法・設備が備わっている施設もあります。設備に関しては、各施設によって異なるので事前に確認をしたうえで、サービスを利用すると良いでしょう。

プロのスタッフはただ入浴を介助するだけではなく、要介護者の残った身体機能を少しでも維持できるよう関わるので、介護者にとってメリットと言えますね。

利用できる対象とは?

とは言っても誰もが利用できるわけではありません。特に介護状態が軽度な方など、ひとりでの入浴が可能であれば、入浴介助の必要性がないのでデイサービスの入浴サービスは利用できません。

ただ、以下の条件にあてはまる場合には、要支援の方でも利用が認められるケースがあるようです。

・『予防通所介護』として要支援の方も受け入れているデイサービスで
・ご本人が入浴の支援を受ける必要性があるとケアプラン上で位置付けられている場合

しかし、基本は要介護1〜5の認定を受けている人でケアプランにその必要性が位置付けられている方が利用できるものです。

「ひとりで入浴可能」だが「お風呂掃除は誰かの手助けが必要」という状態で家族が介護をしている場合、入浴介助で転倒してしまったり、溺れてしまう可能性があるため非常に危険です。入浴介助が双方に大きな負担となることもあるため、施設などでプロに入浴介助をしてもらうことができれば、要介護者も介護者も安心です。

デイサービスでは、入浴のみの利用を目的とした方に向けた「入浴特化型」デイサービスや、午前中や午後のみで利用できる「半日型」デイサービスなどがあるので、環境や状況に合わせて上手に利用していくと良いでしょう。

入浴特化型デイサービス

入浴特化型デイサービスは、入浴の支援のみを利用できるサービスです。

利用時間は午前や午後の短時間のみとなっていて、利用者も十数名程度と小規模な施設が多く見られます。

向いているのは・・・
・入浴特化型サービスは集団行動があまり得意でない方
・訪問介護に抵抗がある方
入浴のみの目的でデイサービスを利用したい場合に適したサービスです。

現在、施設数はそれほど多くはありませんが、介護度によって自宅での入浴に不安な場合や住宅事情によって車が入れず訪問入浴サービスが利用できない場合など、様々な事情に対応することができます。
短時間の利用となるため、事業所によっては一般のデイサービスのようなレクリエーションや食事の提供をおこなっていない場合もあるので注意してください。

半日デイサービス

半日型デイサービスとは、午前か午後のどちらかの時間帯を選び利用できるデイサービスです。

一般のデイサービスと同様に、送迎車で施設へ出向き、到着後にバイタルチェックを行い、健康状態を確認した後に入浴やレクレーションなど、機能訓練などのサービスを受けることができます。

基本的に食事の提供は含まれませんが、施設によっては、軽食を提供している場合もあります。施設にもよりますが、少人数制で比較的ゆったりとしていることが多いようです。

向いているのは・・・
・入浴特化型デイサービスと比べると事業者数が多いため、お住まいの地域に入浴特化型デイサービスがない方
・長時間のデイサービス利用に抵抗のある方や、
時間を有効に使いたい方
の利用に向いています。

 

デイサービスで入浴のみ利用する場合の費用

「基本料金」と「入浴介助加算」は介護保険の適用対象です。

「基本料金」とは、デイサービスへの滞在・送迎・レクリエーションに対して請求される料金で、1回の利用に必要な単位が定められています。

また、デイサービスでは「入浴介助加算」といって、入浴時に観察を含む利用者の介助をおこなうサービス時に料金が追加されます。入浴加算も介護保険の適用となり、1回の利用につき40~55単位(1単位=10〜11円程度)追加されます。 

デイサービスで入浴のみを利用する際の費用は、通所1回につき1000円程度が一般的です。料金は介護度数により違ってきますが、保険が適応されることでおおよそ請求額は500円前後。

デイサービスの費用はどのデイサービスも同じ計算方法となり、月毎の利用料に対して、介護保険が適応されるため、保険金額を差し引いた金額が請求されます。

お住まいの地域や単価の違い、食費・滞在時間やサービス加算の増減、各施設によって設定金額は異なりますので、利用を決める前にどれくらい料金が発生するのかをしっかり確認しておくと安心です。

▼関連記事
デイサービスの料金は1回につき1,000〜2,000円が目安。利用料、軽減制度や控除についても解説

 

デイサービスで入浴のみ利用する場合の流れ

高齢者と会話する女性スタッフ(介護士)

デイサービスを利用するには、要介護認定を受ける必要があります。要支援1・2の方と自立(非該当)の方は利用対象外です。
地域の『予防通所介護』施設なら要支援の方も利用が認められるケースがあるようですが、基本として介護保険区分の要介護1〜5にあたる人のみ利用できます。

要介護認定で要介護1~5の結果が出た方は、担当のケアマネジャーに相談し、デイサービスを紹介してもらいましょう。
紹介されたデイサービスでの見学や体験利用を行ったうえで、納得できた施設と利用契約を結んでいきます。また、ケアマネジャーが作成したケアプランをもとにサービス担当会議が開催され、そこで受けた説明に問題がなければ合意できます。
契約が完了し、デイサービスを利用する曜日や回数などが決まれば利用開始です。

 

デイサービスで入浴のみ利用する場合の注意点

デイサービスで入浴のみを利用する場合のメリットは、
・入浴時の安全面の確保ができること
・介護しているご家族の時間を作ることが可能になること
・利用の際に体調を確認できること 
です。

半日型デイサービスでは、入浴サービス以外にも食事の場での交流などがあるため、外出の機会が少なくなった高齢者にとっては、コミュニケーションの場にもなり、日常に変化をつけることもできます。

感染症対策を確認しておくと安心

しかし、デイサービスでは複数の利用者が順番にお風呂に入浴するため、感染症のリスクがあることは否定できません。
多くの介護施設は感染に向けた対策を実施していますが、不特定多数が利用する環境に躊躇することもあるでしょう。デイサービスの利用を検討する際に、どういった感染症対策をとっているのか施設に確認すると安心です。

体調次第では入浴中止の場合も

また、デイサービスでは、入浴をする際に必ず体調チェックが行われます。入浴直前で体調に異変があった場合などは、入浴を見送りすることもあります。また、体調不良により入浴が中止になった際は、翌日以降に体調が良くならないと入浴ができません。

入浴が出来ないことは残念ですが、高齢者や要介護者にとっての入浴は多少なりとも身体に負担がかかるため、安心して入浴ができる状態で利用しましょう。

もし入浴ができない場合でも、代わりに清拭や部分浴などを行ってくれる施設も多くありますので、体調に合わせて無理をしないことが大切です。

 

まとめ

入浴介助中のスタッフと利用者

家族が入浴介助を行う場合、環境や体力などから考えても、どうしても限界があります。

半日デイサービスを利用しての入浴や、入浴特化型として入浴を専門としているデイサービスを入浴のみで利用することで、介助者の負担を軽減することができます。 

利用される方の中には、自宅以外のお風呂に入ることに抵抗を感じられる場合もありますが、デイサービスの介護職には入浴介助の技術だけではなく「自宅以外でのお風呂も悪くない」と感じていただける対応力も求められています。

寄り添った介助ができる介護職が多く在籍しているデイサービスを選ぶことで、リラックスした入浴の時間を楽しむことができるでしょう。

体力的・時間的余裕がなくなると、気疲れやストレスは大きくなっていきます。介助者の心身状態も介護の継続において大きく影響してきます。状況や予定に合わせて適度に入浴サービスを利用してもらうことは、介助者の負担軽減にもつながります。

要介護者にとって安心安全の環境で入浴ができるということ、また、介護者の負担が少しでも軽減できるようにするためにも、デイサービスの入浴を利用してみてはいかがでしょうか?

お近くのデイサービスを探すなら
ライフサポートナビで地域検索!

 

▼関連記事
デイサービス(通所介護)とは?費用やサービス内容を簡単解説

この記事は専門家に監修されています
 介護プロ
金山峰之(かなやま・たかゆき)

介護福祉士、社会福祉士、准看護師。福祉系大学卒業後、20年近く在宅高齢者介護に従事。現場専門職の傍、介護関連の講師業(地域住民、自治体、国家公務員、専門職向け等)や学会のシンポジスト、介護企業向けコンサルティング事業、メーカー(ICT、食品、日用品等)へシニア市場の講演などを行っている。
厚生労働省関連調査研究事業委員、東京都介護人材確保関連事業等委員など経験。
元東京都介護福祉士会副会長。政策学修士。

この記事をシェアする
介護情報の国内最大級メディア | ライフサポートナビ
タイトルとURLをコピーしました