遠距離介護と聞くと、「本当にできるの?」と不安を感じる方が多いかもしれません。
親が遠方で一人暮らしをしていると、いざ介護が必要になったときに自分がすぐに駆けつけられない状況に焦りを感じるものです。
しかし、遠距離だからこそできる介護の方法があります。
大切なのは、「介護のプレイヤーではなくマネージャー」になることです。
この記事では、仕事を続けながら無理なく遠距離介護をするためのポイントをお伝えします。
遠距離介護と聞くと、「本当にできるの?」と不安を感じる方が多いかもしれません。親が遠方で一人暮らしをしていると、いざ介護が必要になったときに自分がすぐに駆けつけられない状況に焦りを感じるものです。
しかし、遠距離だからこそできる介護の方法があります。
介護になっても自分の望む働き方を続けるため前提からお話しします。
遠距離での介護では、自分が頻繁に行って直接介護をするのは現実的ではありません。
自分が介護の「プレイヤー」になってしまうと、負担はすぐに大きくなり、自分の生活との両立は難しくなってしまうでしょう。
そのため、「自分がやらなければ」という意識を手放し、介護をマネジメントする立場に徹することが重要です。
ここでは、遠距離介護を無理なく続けるための3つのポイントをお伝えします。
遠距離介護で最も大切なのは、親の状態を定期的に把握する仕組みを作ることです。
親が元気なうちに、電話やビデオ通話を習慣化し、自然に安否確認ができるようにしておきましょう。
また、見守りサービスや家電を活用するのも有効です。たとえば、センサー付き家電を使えば、冷蔵庫の開閉や電気の使用状況から親の生活リズムを把握できます。地域の見守りネットワークを利用し、郵便配達員やご近所の方に気にかけてもらうのも一つの方法です。
また、親の健康状態や日常の困りごとを把握するために、定期的に信頼できる人と連絡を取ることも重要です。
親自身がすべてを話してくれるとは限らないため、かかりつけ医や地域の支援者と情報を共有できるようにしておくと安心です。
遠方に住む家族が頻繁に帰省するのは現実的ではありません。
そのため、地元で親のサポートをしてくれる人を見つけることが重要です。まずは、地域包括支援センターに相談し、親が住む地域の介護サービスを把握しましょう。ケアマネージャーや訪問介護サービスを早めに活用することで、親の状況に合わせた適切な支援が受けられます。
また、親の友人や近所の方と関係を築いておくことで、ちょっとした困りごとを気軽に助けてもらえる環境を作ることができます。たとえば、買い物やゴミ出しなど日常の小さな手助けをお願いできる関係性を作っておくことで、親の生活の質を維持しやすくなる、などです。帰省した時には、付き合いのある近所の人などにあいさつ程度できていると少し安心できるかと思います。
介護が必要になったとき、多くの人は「自分がやらなければ」と思いがちです。
しかし、遠距離介護では「自分がすべてやる」という発想を捨て、マネージャーとしての立場を意識することが大切です。
画像の「仕事と介護の両立 基本方針」を覚えておいてください。
介護のプロであるケアマネージャーや地域の支援者と連携しながら、効率的な介護体制を作りましょう。
実際に介護を行うのではなく、必要なサポートを手配し、状況を管理する役割に徹することで、自分の仕事を続けながらでも無理なく介護ができます。
介護サービスを調整したり、親御さんの様子を見る役割は、担当のケアマネージャーや書く専門職が果たします。
「マネージャー」としての家族の役割には、何か気づいたら遠慮なくケアマネージャーと相談し必要なサポートを依頼することです。
もう一つ、家族の大事な役割は、「元気なころの親御さんがどんな人だったか」を介護で関わる専門職に伝えることです。
「昔○○だったから、親御さんはこういった方法が受け入れやすいかもしれない」など、親御さんに合った介護体制を作るヒントになります。
遠距離介護は、事前の準備と継続的な対応が重要です。次の3つの工夫を取り入れることで、さらにスムーズに進めることができます。
親の体調が急変した場合、すぐに対応できるように準備しておくことが重要です。救急対応が必要なときの流れを家族で共有しておきましょう。
また、必要書類の置き場を確認し、かかりつけ医などとスムーズに情報共有できるようにしておくと安心です。
遠距離介護では、家族内での連携が欠かせません。
自分以外にかかわる家族がいる場合は、兄弟姉妹や親族と話し合い、それぞれがどのような役割を担うのかを決めておくことで、負担が一人に集中することを防げます。
たとえば、定期的な電話連絡を担当する人、金銭管理を担当する人、緊急時に対応する人など、それぞれがどれくらいまでならできそうかを具体的に話しておくとスムーズです。
遠距離介護は、適切な準備と体制づくりを行えば十分に可能です。
「自分が行かなくても親の様子がわかる仕組みを作ること」「地元で支援してくれる人を見つけること」「プレイヤーではなくマネージャーとして動くこと」、この3つを意識すれば、無理なく仕事と介護を両立できます。
また、遠距離介護は一人で抱え込むものではなく、周囲と連携しながら進めるものです。早めに専門家や信頼できる人に相談し、自分の生活を守りながら親の介護にも対応できるよう準備を進めていきましょう。
木場 猛(こば・たける) 株式会社チェンジウェーブグループ リクシスCCO(チーフケアオフィサー)
介護福祉士 介護支援専門員 東京大学文学部卒業。高齢者支援や介護の現場に携わりながら、 国内ビジネスケアラーデータ取得数最多の仕事と介護の両立支援クラウド「LCAT」ラーニングコンテンツ監修や「仕事と介護の両立個別相談窓口」相談業務を担当。 3年間で400名以上のビジネスケアラーであるご家族の相談を受けた経験あり。セミナー受講者数、延べ約2万人超。
著書:『仕事は辞めない!働く×介護 両立の教科書(日経クロスウーマン)』
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