自宅で生活しながら、日帰りで介護サービスを受けられる便利なデイサービス。
具体的な料金や、お得な軽減制度や控除など、大切なお金関係についてご紹介します。
デイサービスの利用料金は、1回あたり1,000〜2,000円程度です。(1割負担の場合)
利用料金に加え、サービス加算料金や食費、その他の費用が必要な場合があり、介護保険が適用されるものと、適用されないものがあります。
施設によって利用料金は異なりますので、詳細は利用施設に確認をしましょう。
介護保険 | 項目 | 自己負担費用目安 | 必須の有無 |
適用 | 利用料 | 400〜1,300程度(利用時間により) | 必須 |
サービス加算 | 40〜200円程度 | 施設による | |
適用外 | 食費 | 500〜800円程度 | 施設による |
その他の費用 | 施設でおむつやお弁当などを購入した場合発生する実費
(2021年4月時点)
|
施設による |
介護保険が適用されるデイサービスは、「利用料」と「サービス加算」です。
利用料(どの施設でも原則請求される)
デイサービス施設への送迎、滞在、レクリエーションを含む料金
サービス加算(施設により異なる)
入浴介助や個別機能訓練など特定の条件を満たすサービスや、人員体制に対して追加請求される料金
デイサービスの利用料とサービス加算は、国が「単位」で費用を決めています。
介護における単位とは、医療保険でいう点数のようなものです。この単位に基づいて料金と利用者の負担額が決まります。
基本の単価は「1単位=約10円(2020年7月現在)」ですが、地域によって異なります。
<地域ごとの1単位当たりの単価>
等級地 | 地域別単価 |
1級地 | 10.90円 |
2級地 | 10.72円 |
3級地 | 10.68円 |
4級地 | 10.54円 |
5級地 | 10.45円 |
6級地 | 10.27円 |
7級地 | 10.14円 |
その他 | 10.00円 |
※2020年7月時点
デイサービスの利用料は、施設への滞在時間と介護度により単位が異なります。
以下の表は通常規模型デイサービスの利用単位例で、大型規模型デイサービスはこれよりも低い単価設定となっています。
<通常規模型通所介護費:滞在時間と介護度の利用単位の一例>
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
3〜4時間未満 | 368単位 | 421単位 | 477単位 | 530単位 | 585単位 |
4〜5時間未満 | 386単位 | 442単位 | 500単位 | 557単位 | 614単位 |
5〜6時間未満 | 567単位 | 670単位 | 773単位 | 876単位 | 979単位 |
6〜7時間未満 | 581単位 | 686単位 | 792単位 | 897単位 | 1,003単位 |
7〜8時間未満 | 655単位 | 773単位 | 896単位 | 1,018単位 | 1,142単位 |
8〜9時間未満 | 666単位 | 787単位 | 911単位 | 1,036単位 | 1,162単位 |
出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
例えば、要介護1で自己負担1割の方が施設に9時間滞在した場合、約700円の自己負担となります。
特定の有料サービスを受ける場合に、サービス加算がされます。
以下のように単位数が決められています。
<サービス加算の一例>
入浴介助加算 | 40〜55単位/回 |
栄養改善加算 | 200単位/回 |
個別機能訓練加算 | 56〜85単位/回 |
口腔機能向上加算 | 150単位/回 |
※2021年4月時点
出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)
利用料とサービス加算の他に、介護保険が適用されないものがあります。それが「食費」と「その他の費用」です。
施設によって費用が異なるため、正確な費用は施設に確認を行ってください。
食費
施設で提供される食事やおやつ。これらは介護保険が適用されないため、利用者の全額負担になります。費用は施設により異なりますが、およそ500〜1,000円程度です。
その他の実費
おむつや歯ブラシなど、施設が用意している日用品を使用した場合にかかる費用。私物を持ち込めば費用はかかりません。費用目安は数百円程度です。
要支援1〜2の方
「介護予防通所介護」のサービスを受けることができます。利用料は、1回につき1,000~2,000円が一般的です。
また、自治体ごとに設定された「介護予防・日常生活支援総合事業」の通所型サービスとしてデイサービスを利用できる場合があるので、お住まいの自治体へお問合せを。
介護認定を受けていない方
デイサービスは介護認定を受けている方が対象のため、認定を受けていない方は基本的には利用できません。ただし、自治体ごとに設定された「介護予防・日常生活支援総合事業」の通所型サービスとしてデイサービスを利用できる場合があるので、地域包括支援センターにまずは相談してみましょう。
▶関連記事:地域包括支援センターとは?役割や相談できることについてわかりやすく解説
請求はひと月ごと
多くの施設が、月ごとに合算して請求書を送付します。ごく稀に、1回ごとに請求をする施設もあります。
支払い方法は施設ごとに異なる
口座引き落とし、振込、現金払いなど施設によって異なるため、利用施設に確認しましょう。
所得の低い方や、1ヶ月のデイサービス利用料金が高額になってしまった方には、軽減制度が適用されます。
どのような軽減制度があるのか、具体的にご紹介します。
食費や滞在費は原則として自己負担となりますが、所得や資産などが一定以下の方には、負担限度額が設けられています。この負担限度額を超えた分を、特定入所者介護サービス費として介護保険から支給されます。
1ヶ月に支払った利用者負担の合計が、負担限度額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。
所得ごとに上限額が異なります。また、介護に関する費用の全てが支給対象となるわけではないため、詳しくはケアマネジャーや自治体に確認してみましょう。
低所得で生活が困難であると認められた方が、利用者自己負担額を1/4軽減される制度です。
ただし、自治体によっては、対象となる事業所のサービスを限定している場合があるため要確認を。
デイサービスは、基本的には医療費控除の対象外です。しかし、対象になる場合もあります。
対象になる場合の条件などについて解説致します。
デイサービスを、医療に近い介護サービスと併用する場合に、デイサービスの利用料が医療費控除の対象となります。
具体的には以下のサービスです。
・訪問リハビリテーション
・訪問看護
・居宅療養管理指導
・通所リハビリテーション
・短期入所療養介護
対象になるのは、デイサービスと上記サービスを同じ月に利用した場合です。
デイサービスに通いながら、別日でも同じ月に上記サービスを利用した場合は、医療費控除の対象となります。
なお、食費や日用品は介護保険適用外のため、医療費控除の対象にはなりません。
医療費控除の他に、介護に関わる控除として、老人扶養控除があります。70歳以上の高齢者を扶養している方が受けられる控除です。
以下の条件をすべて満たした場合が対象となります。
・老人扶養親族が70歳以上
・配偶者以外の6親等以内の血縁関係にある者、および3親等以内の姻族(婚姻によって親族となった人)
・老人扶養親族の年間の所得が380,000円以下
・老人扶養親族と納税者が生計を一にしている(同居・日同居含む)
・納税者が個人事業主ではない
同居していなくても、施設の費用を支払っていたり、仕送りをしている場合も老人扶養控除が受けられます。
・デイサービスの利用料金は、国によって定められている
・料金は「利用料」+「サービス加算」+「食費」+「その他の費用」の合計で決まる
・デイサービスは、減額制度や控除の対象となる場合がある
今回は、デイサービスを利用する前に知っておきたい、料金について紹介しました。やはり一番気になるのはお金のことかと思います。
低所得の方向け、負担額が高額になった場合の払い戻し制度や控除など、場合によってデイサービスの費用を抑えられる制度もあります。
対象者の条件なども細かく定められているので、デイサービスの利用を検討する際の参考にしてみてください。
▶関連記事:デイサービスは健康な人も利用できる?要支援の方や介護予防目的でも利用できるサービスとは
木場 猛(こば・たける) 株式会社チェンジウェーブグループ リクシスCCO(チーフケアオフィサー)
介護福祉士 介護支援専門員 東京大学文学部卒業。高齢者支援や介護の現場に携わりながら、 国内ビジネスケアラーデータ取得数最多の仕事と介護の両立支援クラウド「LCAT」ラーニングコンテンツ監修や「仕事と介護の両立個別相談窓口」相談業務を担当。 3年間で400名以上のビジネスケアラーであるご家族の相談を受けた経験あり。セミナー受講者数、延べ約2万人超。
著書:『仕事は辞めない!働く×介護 両立の教科書(日経クロスウーマン)』
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