第7回全国ビジネスケアラー会議「親と自分のためのロコモ対策」Q&Aの回答

第7回全国ビジネスケアラー会議「親と自分のためのロコモ対策」Q&Aの回答

超高齢社会が直面する「仕事と介護の両立」。
高齢なご家族がいるビジネスパーソンの未来のために、各分野のプロから様々な知識や経験をお届けする、オンラインセミナー『全国ビジネスケアラー会議 仕事と介護、両立のヒントがここに。』
皆様からのご好評につき、第7回目が2023年7月21日に開催されました。

▼このような方におすすめ
「今は元気な親だけど、生涯健康でいられるかが心配」
「腰や膝が痛くなり、外出がおっくうになってきた親の身体が気になる」
「ロコモ対策、言葉は聞いたことがあるけど実際どういうこと?」

 

今回のテーマは、健やかな身体を維持していく上で大切な「ロコモ対策
※加齢に伴い、立つ・歩くといった運動器(移動機能)が弱っていくことを、ロコモティブシンドローム(ロコモ)といいます。

年を重ねると「腰が痛い、膝が痛い」「外出するのがおっくうだ」など、さまざまな理由で外出頻度が減り、足腰が弱くなったり筋力が低下していくことで、寝たきりや要介護状態の大きな原因となっている転倒・骨折のリスクが高まります。

本セミナーでは、30年以上にわたり整形外科臨床医として多数の症例に携われてこられた、石橋英明先生を講師としてお招きし、ご高齢になったご家族やご自身の健康を守るための実践的なロコモ対策について解説いただきました。

 

こちらのページでは、セミナー当日のライブ中にお答えしきれなかったご質問に対して、石橋先生からの回答をご紹介いたします。

▼講師プロフィール
石橋英明(いしばし・ひであき)先生
医療法人社団愛友会 伊奈病院 副院長/整形外科科長
NPO法人 高齢者運動器疾患研究所代表理事(ロコモアドバイスドクター・サポートドクター)

<略歴>
1988年に東京大学医学部卒業。東大病院整形外科、三井記念病院整形外科勤務などを経て1992年に東京大学大学院入学、1996年に学位(医学博士)取得。以後、米国セントルイス市ワシントン大学に留学、1999年より東京都健康長寿医療センター整形外科、2002年同医長、2004年より伊奈病院に勤務。骨粗鬆症、人工関節手術、関節リウマチなどを専門とする整形外科医で、同時にロコモや骨粗鬆症の啓発に力を入れている。また、テレビ番組にも多数出演。日本整形外科学会ロコモチャレンジ!推進協議会委員、日本骨粗鬆症学会評議員、骨粗鬆症財団理事、日本整形外科学会専門医。

 

ご質問1

足腰が痛い時に、整形外科ではなく接骨院や柔道整復師、整体師などを選ぶ人もたくさんいます。これらの施設ではロコモ対策にどの程度の対応ができるのでしょうか?

石橋先生
石橋先生

接骨院の開業資格は、柔道整復師という国家資格になりますので、接骨院、整骨院、柔道整復師は同義語になります。

3年間の教育で国家試験に合格すると開業資格が得られるので、かなり数が増えています。

 

法的には、打撲やねんざなどの外傷に対して施術を行うという資格ですが、慢性的な腰痛や膝痛も見ますよと看板を出しているところも多いのが現状です。

 

マイナス面は、X線などの検査機器は使えないため、診断ができない、診断をしなくても良いことになっていることです。また、医学的知識が少ない場合もあるので、的外れな施術をされることもあります(たとえば、からだの痛みはすべて骨盤のゆがみから、など)。

 

逆に、親切に施術をしてくれるところもありますし、運動指導などをしてくれるところもありそうです。

 

何か症状がある場合、まず整形外科医で診察・検査を受けて、心配の多い状態かどうかを聞いて、とりあえずの治療は受けたりして、でもシップと痛み止めだけなどで埒があかない場合、心配ない病態であることを前提にして症状改善のために接骨院にかかるというのは悪くないかと思います。

 

ロコモ対策になるかどうか、個別で全く違いますので何ともいえません。
ちなみに、整体、カイロプラクティックは国家資格ではなく、団体認証です。

 

ご質問2

母は股関節が悪くあまり運動しておらずロコモチェックも難しいです。
膝や股関節が悪い人でもできる運動やロコモチェックはあるでしょうか?

石橋先生
石橋先生

股関節が悪い方は膝より少ないですが、それでも沢山いらっしゃいます。

膝や股関節が圧倒的に悪く、家の中や家の近くしか歩けないといった場合は、やはりまず整形で状態を把握して、必要な治療を受けることは大切です。

 

歩行には問題ないけれど、運動はできないといった方は、有酸素運動としてはフィットネスバイクや水中歩行、筋トレは今日お話をしたスクワットや踵上げは大丈夫です。

30分くらい歩いて問題なければウォーキングでももちろん大丈夫です。
股関節が悪い人の場合の運動機能の評価は、今日の立ち上がりテストなどでもいいですが、以下であれば簡便でフォローもしやすいです。

 

5回立ち上がりテスト:椅子から5回立ち座りをするのにかかる秒数。座った状態からスタートして、5回立ち座りをして着座するまでの秒数です。

 

6m歩行速度:助走なしでスタートして、6mのラインを引いておいてそこを超えるまでの秒数。普通に歩く時間と、最速の時間を測りますが、最速では転倒に注意してください。

 

上記の運動をして評価をすると、アップが実感できます。

それがまた動機付けになったりします。

 

当セミナー全体の抄録記事はこちら

 

過去開催、全国ビジネスケアラー会議の抄録記事はこちら

「これだけはやっちゃいけない」8年半の介護奮闘生活で気づいた、たったひとつのこと

 

介護は「適度な距離感」が大切。「自分の親の介護」で悩まない心構えとは?

 

在宅医療の最前線『老いのメカニズム』とご家族のリテラシー<前編>

 

介護経験者から学ぶ、仕事と介護の両立術とは 

 

「親の施設入居を検討すべきか・仕事を続けるべきか」遠隔介護体制を整えたのち、迷いと葛藤を繰り返すなかで気づいた大切なこと

この記事の監修者

izawa 株式会社リクシスCCO(チーフケアオフィサー) 東京大学文学部卒業。2001年の在学中から現在まで22年以上にわたり、介護士・ケアマネージャーの現場職として、1,000組以上のご家族を担当し、在宅介護、仕事と介護の両立支援に携わる。

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