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トイレリフォームは助成金や補助金でできる?介護保険の住宅改修や自治体の助成金の活用法

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トイレリフォームに適用される補助金・助成金

トイレリフォームに利用可能な補助金・助成金は、大きく分けて3種類あります。「介護保険による制度」「各自治体による制度」「国による制度」です。まずは、主な制度とその概要を見ていきましょう。

【介護保険による支給】

制度介護保険住宅改修費
目的・対象・介護保険を利用した住宅改修

・要支援・要介護認定者が対象

補助額・助成額・利用者の所得(介護保険自己負担割)に応じて7~9割を支給

・工事費上限20万円(最大支給額は18万円)

条件・注意点・原則、ひとり1回の利用

・ケアマネージャーを通して申請

【自治体による補助金】

制度自治体ごとの補助金・助成金
目的・対象・自治体によって内容は異なる

・基本的に介護や省エネ化などを目的としたリフォームが対象

補助額・助成額自治体により異なる
条件・注意点・住民税の滞納がないことを条件にしていることが多い

・事前に工事発注者が申請する場合が多い

・利用する施工業者が指定される場合がある

・自治体ごとに受付期間がある

・予算に達し次第終了する場合がある

【国による補助金】

制度こどもエコすまい支援事業
目的・対象・住宅の省エネ化の推進を目的とした国土交通省による補助金事業

・省エネ・断熱・耐震などのリフォームや、エコ住宅設備の設置が対象

補助額・助成額原則、1戸あたり30万円を補助上限とする
条件・注意点・こどもエコすまい支援事業者と工事請負契約等を締結して施工

・着工期間:2022年11月8日〜2023年12月31日(工事請負契約後)

・住宅の所有者が発注者であること

・申請は施工業者が施工完了後に行う

 

制度リフォーム減税制度
目的・対象・条件を満たせば減税制度の対象になる

・バリアフリー化や省エネ化、耐震化などのリフォームが対象

補助額・助成額・所得税の控除や固定資産税の減額

・リフォーム内容や費用の支払い方法によって金額が異なる

・最大20~62.5万円の控除

条件・注意点・確定申告の実施が必要

・控除期間の設定あり

(所得税:リフォーム促進税制は1年 住宅ローン減税は10年)

 

トイレリフォームの補助金・助成金制度一覧

補助金や助成金が受け取れるトイレリフォームは、工事の内容によって対象となる補助制度が異なります。主なリフォームの例と対象になりうる補助制度を以下をご参考ください。

介護保険を利用してできるトイレリフォーム内容は、「介護のためのバリアフリー工事」「和式トイレから様式に変更」に限られています。

トイレのリフォーム内容対象になる補助制度
介護のためのバリアフリー工事・介護保険の住宅改修費支給

・自治体の補助金制度

・リフォーム減税

節水型トイレに交換・自治体の補助金制度

・リフォーム減税

・長期優良住宅化リフォーム推進事業

和式便器から洋式便器等に変更・介護保険の住宅改修費支給

・自治体の補助金制度

・リフォーム減税

・長期優良住宅化リフォーム推進事業

くみ取り式から水洗トイレに変更・自治体の補助金制度
三世代(多世帯)同居のためトイレを増設・自治体の補助金制度

・リフォーム減税

・長期優良住宅化リフォーム推進事業

トイレの耐震リフォーム・自治体の補助金制度

・リフォーム減税

・こどもエコすまい支援事業

・長期優良住宅化リフォーム推進事業

トイレの窓や床を断熱リフォーム・自治体のリフォーム補助金制度

・リフォーム減税

・こどもエコすまい支援事業

・長期優良住宅化リフォーム推進事業

 

介護保険による住宅改修でトイレリフォーム

改築した車椅子トイレ

介護保険による住宅改修は、自宅にお住まいの要介護や要支援と認定された方が対象となります。住み慣れた家を改修して、在宅介護を必要とする方や支援者(介護家族・ビジネスケアラー)が安全・快適に生活できるよう援助することを目的としており、トイレのリフォームも対象となります。

介護保険を利用する場合は、ケアマネージャーを通じて申請する必要がありますので、まずは担当のケアマネージャーに相談しましょう。要支援・要介護認定を受けていない場合は、地域の役所や地域包括支援センターに相談してください。

 

対象者と条件

介護保険でリフォームの補助金を受けるには、以下のような条件があります。

  • 利用者が要支援1~2、要介護1~5と認定されていること
  • 要支援・要介護と認定された方が改修予定の自宅で生活していること
  • 利用者が入院、福祉施設等に入居している場合は対象外
  • 手すりの設置や段差解消など、介護保険の対象になる改修工事を行うこと
  • リフォーム施工前に申請すること

 

住宅改修費の支給額

介護保険で受けられる住宅改修費は、利用者の所得(介護保険自己負担割)に応じて、リフォーム費用の7~9割が支給されます。工事費の上限は20万円(支給限度基準額)、受け取れる金額は最大で18万円となります。

原則として、利用者は1回のみ支給を受けることができますが、工事費が20万円以内であれば、複数回に分割して利用することも可能です。また、一つの住宅に複数の要介護者がいる場合には、工事内容が重複していなければ人数分の申請が可能です。

上限の20万円を使い切ってしまった場合でも、要介護状態が3段階以上あがった場合や転居した場合(ただし新築の場合は除く)には、再度上限の20万円まで利用できる可能性があります。

住宅改修費は工事完了後に払い戻される方式(償還払い)と受領委任払いがあります。償還払いは、初めに工事費用を全額、工事業者に支払うという流れになります。受領委任払いは、工事完了後に工事業者に利用者負担分のみを支払い、残額は自治体から支給される流れになります。受領委任払い方法を利用する場合は、自治体と受領委任契約を結んでいる工事業者に依頼する必要があります。受領委任払いを希望する場合、あらかじめケアマネージャーや工事業者に相談をしましょう。

 

補助金の対象になる工事内容

介護保険による改修費補助の対象となる具体的なトイレリフォーム例は、以下の項目となります。

  • トイレに手すりを取り付ける
  • トイレの段差を解消する
  • 和式から洋式トイレ(便器)に取り替える
  • トイレの扉を引き戸に交換する
  • トイレのドアノブの位置を変更する
  • トイレの床や通路を滑りにくい床材に取り替える

 

各自治体による補助金・助成金

家と電卓

自治体が独自で実施する補助金・助成金の制度をトイレのリフォームに利用することもできます。制度の内容は自治体により大きく異なります。制度自体を設けていない場合もありますので、まずはお住いの自治体に問い合わせてみましょう。

対象者と条件

補助金の制度や条件、申請期限、補助金額は自治体によって異なるため、ご自身が居住している自治体で行っている制度の内容や条件を確認することが重要です。一般的には以下の条件が多く見られます。

  • 住民登録があり、申請する自治体に居住していること
  • 市民税等各種税金を滞納していないこと
  • 自治体にあるリフォームの施工事業者を利用すること
  • その他、各自治体が定める条件を満たしていること

 

補助金の申請期間についての注意点

自治体の補助金・助成金を申請する時には、一般的に次の点に注意が必要です。

  1. 自治体によって申請受付期間や工事完了締め切り日の条件が設定されています。期限に間に合うよう、工事期間も含め、余裕をもったスケジュールで申請を行いましょう。
  2. 補助金制度の予算枠に到達すると受付が終了することがあります。自治体によって異なりますが、人気のある補助金制度はすぐに予算枠が埋まることもあるため、早めに申請手続きをしましょう。
  3. 自治体によっては、他の補助金・助成金との併用ができない場合があります。介護保険の支給対象工事については、対象外となることもあり、同じリフォーム内容を対象としている制度や予算の出所が同じ場合、併用ができない可能性が高いです。事前に併用できるかどうかを調べるとよいでしょう。

 

自治体の給付例

自治体によるトイレリフォームの補助金・助成金の給付例を紹介します。

自治体の補助金・助成金制度は、毎年実施されるとは限らず、年によって支給の条件や額が変更されることもあります。必ず最新情報を確認してください。

北海道札幌市

制度名(事業名)対象工事補助金
札幌市住宅エコリフォーム補助制度・バリアフリー改修工事

・省エネルギー対策工事

総工事費(税抜)の10%または1戸当たり50万円のいずれか少ない額を限度とする

参考:札幌市住宅エコリフォーム補助制度|札幌市

福岡県福岡市

制度名(事業名)対象工事補助金
住宅改造助成

(65歳以上の要支援・要介護認定者)

バリアフリー改修工事工事費用と助成上限額(原則30万円)を比較し少ない方の額に助成率を乗じた額

※助成率は利用者の介護保険料段階に応じて異なる

※介護保険住宅改修の対象となる工事については,この助成においては10万円が限度となる

参考:住宅改造助成|福岡市

千葉県千葉市

制度名(事業名)対象工事補助金
高齢者住宅改修支援サービス事業

(65歳以上の要支援・要介護認定者)

バリアフリー改修工事助成額=基準額×助成割合

基準額:実工事費と助成上限額(原則70万円)を比較し少ない方の額から利用者負担額を控除した額(介護保険の自己負担割合に応じて上限2〜6万円)助成割合:世帯の課税状況に応じた助成率

参考:高齢者住宅改修支援サービス事業|千葉市

埼玉県さいたま市

制度名(事業名)対象工事補助金
介護予防高齢者住環境改善支援事業

(市内に1年以上居住している65歳以上の方)

バリアフリー改修工事介護保険料第1~3段階特例の方:対象経費相当額(上限15万円)

介護保険料第3~11段階の方:対象経費の3分の2(上限10万円)

参考:介護予防高齢者住環境改善支援事業|さいたま市

 

国の補助金・助成金

国の補助金・助成金には、こどもエコすまい支援事業、リフォーム減税制度、長期有料住宅リフォーム推進事業があります。

【こどもエコすまい支援事業】

「こどもエコすまい支援事業」は、高い省エネ性能の新築住宅の取得または住宅の省エネリフォームに対する補助金制度です。新築の場合は子育て世帯・若者夫婦世帯が対象ですが、リフォーム工事の場合は年齢に関わらず全世帯が対象となり、住宅設備により最大30万円が補助されます。

支給条件は以下2項目です。

  • こどもエコすまい支援事業者と工事契約を結びリフォームをする
  • リフォームをする住宅の所有者である

申請する補助額の合計が5万円に満たない工事は補助の対象にならないため、トイレだけでなく他のリフォームと併用する必要があります。交付申請手続きは発注者ではなく事業者が行い、事業者に交付された補助金を発注者に還元する仕組みです。

参考:こどもエコすまい支援事業|国土交通省

【リフォーム減税制度】

「リフォーム減税」を利用して、特定の条件を満たすリフォームにかかった費用に対して税金の控除や減額などの税制上の優遇を受けることができます。対象となる税金は、所得税や固定資産税、贈与税、登録免許税、不動産取得税などが対象となりえます。所得税の対象となるリフォームと、控除額は以下を参考にしてください。

  • バリアフリーリフォーム:最大控除額60万円
  • 省エネリフォーム:最大控除額62.5/67.5万円
  • 同居対応リフォーム:最大控除額62.5万円

所得税以外の減税制度については、リフォーム推進協議会の住宅リフォームガイドブックを参考にしてください。

リフォーム減税制度を利用するためには、リフォーム工事が行われた翌年の3月15日までに、税務署に確定申告書類を提出する必要があります。

参考:国税庁「バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」「省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」、国土交通省「各税制の概要

【長期優良住宅化リフォーム推進事業】

「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、住宅の性能向上を目指したリフォームや子育て世帯の住宅リフォームを支援する補助制度です。バリアフリー化、省エネ化、同居対応化などの目的で行われるリフォームに対して適用されます。トイレの単独のリフォームだけでは利用することはできず、耐震改修工事や断熱改修工事などと組み合わせて実施する必要があります。支給額は、補助対象となる工事費等の合計の3分の1です。申請は通常事業者が行い、国から受け取った補助金を還元する仕組みです。

参考:国土交通省「令和5年度「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の募集を開始します!

~既存住宅の性能向上、子育てしやすい環境等の整備に向けて~」、国立研究開発法人 建築研究所「長期優良住宅化リフォーム推進事業 総合トップページ

 

トイレリフォーム費用の目安

トイレリフォームの価格は、工事の内容や依頼する施工業者によって大きく変わります。

参考費用として、20〜100万円の幅で一般的な工事内容を見てみましょう。

少額(20万円前後)
  • 老朽化した便器の交換
中間
  • 壁や床などの内装を変更
  • カウンターや収納を設置
  • 配管を更新
  • トイレの広さを変更
高額(100万円前後)
  • より暮らしやすいようにトイレの位置を変更

住宅改修の費用変動

参考:「トイレリフォームの費用相場や事例を詳しく解説|住友林業のリフォーム サイトを参考に制作」https://www.sumirin-ht.co.jp/house/menu/toilet/

 

 

まとめ

トイレリフォームの助成金や補助金は、介護保険・自治体・国による3つの制度があります。また、リフォーム減税制度や住宅支援などもありますが、併用ができない場合があります。

支給される額や申請の条件などは制度によって異なります。どの制度を利用してトイレリフォームをするのか、事前の確認や問い合わせをした上で、しっかり検討してみてください。

介護保険制度を利用する場合は、必要な時にいつでも申請が可能ですが、自治体や国の制度の場合は申請期間が限られており、また申請が予算に達すると受付が締め切られてしまうので、申請期間や報告期限などをしっかり確認し、早めに申請するようにしましょう。

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この記事は専門家に監修されています

スタイルオブ東京 代表取締役 藤木賀子(ふじき・よしこ)

  • 住宅ローン相談件数2,000件、住宅取得個別相談1,000件の実績。保有資格:宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター

25歳で建築業界に入り、いい家を追求して世界の家まで研究しましたが、結果、いい家とはお客様の価値観によって異なることに気が付き、自分が作るより、お客様の代理人としてお客様の想いを可視化・具現化・実現化することができる不動産プロデュースの道に入りました。住宅は不動産・建築・ファイナンスのバランスがとても大事です。私は住まいの最適解をともに探したいと思っています。

公式サイトはこちら https://styleoftokyo.jp/

 

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