オンライン診療とは、スマートフォンやパソコンなどの情報通信機器を介して、インターネット上で行う診療方法のことです。直接病院へ行く必要がなく、インターネット上で予約や問診、ビデオ通話などで遠隔での診療、薬の処方、決済をすることが可能になっているため、足腰が悪く通院が困難な方や、忙しくてなかなか病院へいけないという方にとって多くのメリットがあり、需要も高まってきています。
オンライン診察を受ける際は、原則として初診は対面診療が必須で、身体の症状や疾患の状態によってはオンライン診療が受けられない場合もあります。
また、定期的に(3ヶ月に1度)対面診察を行わなくてはいけないという制約もあります。
現在のところ、すべての医療機関がオンライン診察を導入している状況ではありませんが、通信機器の進展と普及も進むなか、オンライン診察は、今後より一層発展していく診察方法になると予想されています。
オンライン診療では、全ての疾患が保険適用になるわけではありません。
下記は、現在、オンライン診療で保険適用がされている疾患の一例です。
保険適用の疾患であっても身体の状態によってオンライン診療ができない場合もあれば、上記以外でも可能な疾患は多くあります。また、初診からオンライン診療が可能となる疾患(禁煙外来やAGAなど)もあります。
オンライン診療を検討している場合は、まずは担当医師やかかりつけ医、医療機関へ直接確認するようにしましょう。
オンライン診察では、対面診療と同様に、保険適応外の自由診療もあります。
病院やクリニックによって内容や費用が異なるため、ホームページなどで確認してみましょう。
通院不要で便利なオンライン診療ですが、注意点もいくつかあります。
メリット、デメリット、それぞれを見ていきましょう。
オンライン診療のメリットは、主に以下の4つ。一番は自宅にいながら受けられるため、病院まで行く手間がなくなることですが、それ以外にも様々なメリットがあります。
インターネット環境さえあれば、自宅で診察を受けられます。体調が悪い時でも、自宅でリラックスした状態で診察が受けられます。
病院に行かなくてよいため、移動時間や移動時の交通費がかかりません。足腰が悪い方や付き添いが必要な方も、そもそも移動の必要がないため楽になるでしょう。受付から診察、会計までの長い待ち時間もないため、空いている時間で診察を受けることができ、スケジュールが立てやすくなるというメリットもあります。
コロナ禍以降、病院での院内感染、二次感染を心配される方も多くなりました。オンライン診療であれば、それらのリスクを避けることが可能です。他の患者さんとの接触がなく、自分が他の患者さんへ感染を広げてしまうという心配もありません。
オンライン診療でも、対面診療と同様に、診察後に処方箋も発行してくれます。
院外処方の場合、病院側がこちらの希望する調剤薬局に処方箋を送ってくれるので、有効期限内に指定した調剤薬局へ自分で薬を取りにいく流れになります。
院内処方の場合は、自宅に薬を郵送してもらうことができます。オンライン診療時に薬の送料が加算されますが、薬を取りにいく手間がなく、外出が困難な方には大きなメリットとなります。
オンライン診療の利用を検討する際は、以下のようなデメリットも心得ておきましょう。
オンライン診療では、ビデオ通話などによる映像や音声のみの診察となるため、どうしても対面よりは情報量が少なくなります。直接体を触ったり、音を確認したりすることができないため、診察の精度が低くなってしまいます。また、遠隔のため、病気の急変に医師がすぐ対応できない点もデメリットのひとつです。
便利な反面、通信機器に慣れていない人の場合はかえって手間になる場合もあります。診察時にインターネットに繋がらなくなったり、スマホやパソコンなどがうまく使えないと、再度予約を撮り直す必要が出てきてしまいます。
オンライン診療では、触診や聴診で直接患者さんの体を診ることができないため、すべての病気の診察ができるわけではありません。オンライン診療の対象となっていない疾患もあるため、ケースバイケースとなります。
オンライン診療を利用するには、どのようにすればいいのでしょうか。
医療機関によって、オンライン診療をするためのアプリや操作方法が異なるため、かかりつけの医療機関もしくはオンライン診察を受けたい医院が指定する方法で、診察を受けることが前提となります。
オンライン診療を受ける際、一般的には以下のものが必要になります。
クレジットカードや保険証・診察券・身分証については、利用する医療機関によって異なるため、事前にガイドラインなどで確認を。
オンライン診療を受けるために対面での初診を終えた後、使用する通信機器(スマートフォン・タブレット・PCなど)へ指定された診療アプリのダウンロードを行います。診療アプリでは、診察のほかにも予約や決済、処方箋受け取りなどを行えるのが一般的です。
原則、医療機関での対面診療(初診)が必要です。初診後にオンライン診療への移行を医師へ相談します。
※禁煙外来など、初診からオンライン診療が可能なものもあります。
・オンライン診療のアプリをダウンロード
医療機関指定のアプリを、オンライン診療に使う通信機器へダウンロードします。
・アカウントの作成
アプリを開き、診察を受ける方の個人情報やクレジットカード情報を入力し、アカウントを作成します。
・医療機関の追加
受診する医療機関を検索し、追加します。
かかりつけ医からQRコードや医療機関コードを案内してもらえる場合もあります。
・予約日時を確定する
予約日時を表示されたカレンダーから選択し、予約日を確定します。
・問診票の入力
問診票の回答を診察日までに求められる場合があります。
予約時間に担当医師からアプリにビデオ通話がかかってきたら、オンライン診療を受けます。
オンライン診療が終了したら決済に進みます。
決済は、あらかじめ登録しておいたクレジットカードから引き落としされることが一般的です。
処方箋の受け取りを確認します。
自宅へ郵送してもらうか、調剤薬局に薬を取りにいくかは、医療機関によって異なります。
オンライン診療も対面診療と同様に、通常の診察料、処方箋、薬代がかかります。自宅へ薬を郵送してもらう場合は、郵送料も加算されることがあります。
利用する医療機関のアプリによって異なりますが、アプリの使用料として患者側に支払いが発生するケースもあります。
決済は通常クレジットカード決済ですが、対面診療時に窓口での支払いができる医療機関もあるので、クレジットカードをお持ちでない方は問い合わせが必要です。
病院が遠くてなかなか通いづらい、交通費が高い、足腰が悪く移動が大変など、来院が困難な場合はオンライン診療が非常に便利です。
対面診療とオンライン診療を上手に利用することで、体と費用面での負担を減らすことができます。
利用を検討している方は、かかりつけの医師や医療機関に問い合わせをしてみましょう。
金山峰之(かなやま・たかゆき) 介護福祉士、社会福祉士、准看護師。福祉系大学卒業後、20年近く在宅高齢者介護に従事。現場専門職の傍、介護関連の講師業(地域住民、自治体、国家公務員、専門職向け等)や学会のシンポジスト、介護企業向けコンサルティング事業、メーカー(ICT、食品、日用品等)へシニア市場の講演などを行っている。
厚生労働省関連調査研究事業委員、東京都介護人材確保関連事業等委員など経験。
元東京都介護福祉士会副会長。政策学修士。