訪問介護とはどのようなサービスなのでしょうか。この記事では、訪問介護で受けられるサービスについて、できること、できないことも詳しく解説しています。料金やよくある質問などにも答えていますので、訪問介護を検討される際にご活用ください。
訪問介護とは、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅に訪問して介護サービスを提供します。提供するサービスは、大きく分けて「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」があります。
利用者の身体に直接触れて行うサービスです。
など
身体介護以外の日常生活における援助です。
通院等のために車を利用する時の介助です。
介護保険法のもとに訪問介護を提供する職種です。介護福祉士もしくは介護職員初任者研修修了者が訪問介護員として従事できます。その他、実務者研修修了者、旧介護職員基礎研修修了者、旧訪問介護員1級・旧2級課程修了者も対象となります。
訪問介護サービスの利用をご家族が検討する際の判断ポイントを紹介します。
<判断ポイント>
※介護予防を目的に、要支援段階で利用し始めるケースもあります。
※介護認定を受ける前段階で、生活でなにか困ることがあれば、地域包括支援センターまたは役所にいる福祉のソーシャルワーカーに相談しましょう。
下の画像かここをクリックすると地域包括支援センターについての詳細記事に飛びます。
利用者本人の日常的な支援の範囲内に限られるので、季節料理や他の家族のケアなどは行えません。制限が多いので、介護保険の対象にならないサービスは、介護保険外のサービス利用も検討しましょう。
訪問介護サービス利用までの流れは次のとおりです。
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事業所選びの際にみておくべき視点、選び方のポイントをお伝えします。
訪問介護の費用はサービス内容と利用時間、回数によって決まります。それに早朝・夜間加算、初期加算があります。訪問介護事業所の職員の配置状況によっても異なります。
例:)東京都中央区の訪問介護1回にかかる費用の目安
サービス提供時間 | 20分以上30分未満 | 30分以上1時間未満 | 以降30分ごと |
費用 | 2,850円 | 4,514円 | 957円 |
自己負担額(利用者負担1割の場合) | 285円 | 452円 | 96円 |
サービス提供時間 | 20分以上45分未満 | 45分以上 |
費用 | 2,086円 | 2,565円 |
自己負担額(利用者負担1割の場合) | 209円 | 257円 |
1回につき約100円で、往復利用の場合は2回とカウントするので約200円となります。
訪問介護は日常的な生活動作において利用者ができないことに対する介助・援助のため「利用者本人ができること」「利用者以外に対する介助や援助」「日常的に必要ではないこと」「同居の家族ができること」は介護保険の対象とはなりません。
では、ここでクイズです。次のサービスは訪問介護で「できる」でしょうか。「できない」でしょうか。
クイズ
答え
介護保険対象の訪問介護以外で同様のサービスを受けられる手段を紹介します。
市長区村のシルバー人材センターで家事援助サービスを受けられます。料金は市町区村によって異なります。
料金は東京都内で1時間1200円前後です。交通費は別途実費がかかります。
杉並区 | 洗濯・掃除1,179円~/時間(月4時間以上、3カ月以上継続利用の場合)
単発の家事援助2,948円/2時間 |
品川区 | 家事援助2,540円/2時間 |
足立区 | 家事援助1,270円/時間 |
町田市 | 家事援助1,111円/時間(利用は2時間から) |
※空きがない場合も多いので、民間の家事代行サービスを利用することも一つの方法です
民間の家事代行サービスには次のようなものがあります。
A.訪問介護での生活援助(家事・掃除・洗濯・買い物など)は、健康な同居家族がいる場合は原則利用できないというルールはあります。ただし、同居家族が高齢(老老世帯)、障がいや病気を持っている、日中仕事のために不在で介護ができない状態の場合には、サービスを利用できる場合があります(それ以外、やむを得ない事情がある場合は適切なケアプランのもと、判断されます)。その他、必要な理由があれば、担当ケアマネージャーにご相談ください。
A.介護度に応じて、必要な範囲内であれば利用できます。生活援助中心の場合は介護度によって月の基準回数が決められていますが、基準回数以上の訪問介護が必要な場合は市長区村に届け出ることで訪問が可能です。「外に出るのが億劫だから」といった理由での利用や65歳未満で特定疾病以外の病気によって介護が必要になった方などは介護保険対象外のサービスを利用できます。
訪問介護の利用により、利用者本人と家族が今よりも元気で豊かに過ごせるようになることが大切です。現在の生活においての困りごとや訪問介護の利用で期待することを明確にして、必要な介護サービスの内容や頻度をケアマネージャーや訪問介護事業者とともに決めていきましょう。
木場 猛(こば・たける) 株式会社チェンジウェーブグループ リクシスCCO(チーフケアオフィサー)
介護福祉士 介護支援専門員 東京大学文学部卒業。高齢者支援や介護の現場に携わりながら、 国内ビジネスケアラーデータ取得数最多の仕事と介護の両立支援クラウド「LCAT」ラーニングコンテンツ監修や「仕事と介護の両立個別相談窓口」相談業務を担当。 3年間で400名以上のビジネスケアラーであるご家族の相談を受けた経験あり。セミナー受講者数、延べ約2万人超。
著書:『仕事は辞めない!働く×介護 両立の教科書(日経クロスウーマン)』
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