介護が始まる前に! 2000名の相談から見えた‟事前に知ると楽になる”ヒント(後半)

はじめに

2025年10月29日、リクシスは、第30回『全国ビジネスケアラー会議』を開催いたしました。
これから高齢社会がより一層加速し、仕事と介護の両立が当たり前の時代がやってきます。本オンラインセミナーは、高齢化の流れが加速する日本社会において、現役世代として働きつつ、同時にご家族の介護にも携わっている「ビジネスケアラー」の方々とその予備軍となる皆様に向けたセミナーです。

今回のテーマは「介護が始まる前に知っておきたい“楽になるヒント”」。

「介護って大変そうだな」という漠然とした不安は、介護が始まる前にもっとも大きくなります。介護前に準備をしておくことで不安を小さくすることもできますし、実際に介護が始まった時に自分自身が楽になるためのカギも介護前にあるのです。

今回は、2,000世帯以上のご家族の「仕事と介護の両立支援」に携わってきたチェンジウェーブグループリクシス チーフケアオフィサーの木場氏が、事前に知ると楽になる介護のヒントについて解説いたしました。

この記事では、

  • 親の健康寿命を延ばすためには
  • パナソニックと共同開発中のフレイル予防サービスについて

などのテーマでまとめています。 

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①介護が始まる前に! 2000名の相談から見えた‟事前に知ると楽になる”ヒント(前半)

②介護が始まる前に! 2000名の相談から見えた‟事前に知ると楽になる”ヒント(後半)⇐このページのテーマ

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登壇者プロフィール

木場猛(こば・たける)
株式会社チェンジウェーブグループ リクシス(※2024年1月1日の経営統合により、社名が変更となりました)CCO(チーフケアオフィサー)
介護福祉士、介護支援専門員

ヘルパー歴22年以上 介護福祉士・ケアマネージャーとして延べ2,000組以上のご家族を担当。
東京大学文学部卒業。
高齢者支援や介護の現場に携わりながら、 仕事と介護の両立支援クラウド「LCAT」ラーニングコンテンツ作成や「仕事と介護の両立個別相談窓口」相談業務を担当。
3年間で400名以上のビジネスケアラーであるご家族の相談を受けた経験あり。
セミナー受講者数、延べ約2万人超。
【新書】「仕事は辞めない!働く×介護 両立の教科書」(日経クロスウーマン)

 

作戦②重なるタイミングをずらす

次の作戦は、仕事と介護が重なる部分をズラすという作戦です。後に回すということで、重なる部分を減らすことができればと思っています。

どうするかというと、親の健康寿命を延ばすという考え方です。
この10年間で分かったのは、健康寿命が延びたら平均寿命も一緒に延びたので、最終的に介護期間自体が減らなかったということです。とはいっても、1番忙しいタイミングでよりは少し後に回した方が楽になるかと思います。

 

親の生活習慣病を回避するヒント

親の健康寿命を延ばすためにまず考えるのは、生活習慣病の回避です。
要介護の原因は、75歳くらいまでは生活習慣病によるものが多いです。40代が気をつける健康の話と75歳くらいまではあまり変わらないと考えて良いでしょう。

75歳以上になると老年症候群の発症が増えています。そうなると優先順位は変わり、しっかり食べることでタンパク質を摂って、骨がもろくならないように気をつけていくようになります。

 

親の健康寿命を延ばす「フレイル」対策

 

老年症候群とは「フレイル」と呼ばれるものです。健康な状態と介護状態の中間くらいのことで、健康とは言えないけれども、適切なサポートがあれば要介護まではならずに過ごせる、ほとんど自分でできるという状態をキープできるという期間になります。

一応基準があり、5個の基準のうち3つ以上該当するとフレイルの状態です。その状態より悪くなることを避けて、キープしていこうということになります。

その時に何をやるかというと、フレイル予防の三本柱、栄養・運動・社会参加です。そもそもの総カロリーが足りていなければできる範囲で食事量を増やす、やれる範囲で適度な運動をする、社会参加をするということです。

 

フレイル対策の課題

社会参加がネックになっていて、公的な通いの場(高齢者サロンや健康教室など)を各自治体で実施しているのですが、なかなか参加者が増えません。周りが心配していても、本人は大丈夫と思っていることが多いので、なかなかうまくいきません。ご自身では実年齢より自己認識の方が若いというアンケート結果も出ています。

親御さんの「まだ大丈夫」という気持ちを変えるのではなく、周りからのアプローチの角度を変えていくことが大切です。気持ちはどうかわからないけれど、とにかく形だけでも動いてくれれば良いでしょうという風に考えていってください。

 

パナソニック×チェンジウェーブで開発中「フレイル予防サービス」

予防が大切ということがわかっても、なかなか親御さんに動いてもらうということは難しいですよね。

その親に対するサポートはやっぱりプロフェッショナルに任せましょうという、フレイル予防サービスをチェンジウェーブとパナソニック様で実証実験を行いながら共同開発しています。

具体的なサービス内容としては、ご本人には活動量計(Fitbit)を装着していただき、簡単な質問をLINEで答えていただくだけで、その情報を専門家が分析しフレイル予防の提案をしてくれるというものです。ご家族にも定期的に生活習慣レポートが届きます。

このサービスで得られるメリットは次の3つです。

①活動量計で高齢者が自分のデータがちゃんと知ることができる(ご家族も知れる)
②LINEのChatbotで日々の会話が行われるので、毎日高齢者の様子を聞いてくれてる存在ができる
③日々の情報から、第三者である専門家がご本人にぴったりのアドバイスを伝えてくれるので、高齢者の方も受け入れやすい

 

モニター体験者の方の声

ひとつの例ですが、娘さんがフルタイム勤務をしている中で、お母様が家にこもりきりでよく転ぶようになっていました。

娘さんがフルタイム勤務を諦めるかどうしようかというところで、このサービスの実証実験に参加いただいたのですが、実際に3ヶ月使用することで、転びそうになっても踏ん張ることができ、外に出る気力が湧いてくるようになったという効果が出ました。結果として、娘さんはフルタイムでの勤務を継続することができています。

弱ってきた方にだけ効果的というわけではなく、まだまだ元気な方にも一定の効果が出ています。

もうひとつの例として、介護認定のない方に実証実験に参加いただいたのですが、毎日の情報を見たりチャットボットと会話することによって今まで以上に健康意識が上がって、このサービスを利用することが生活の一部みたいになってきたとおっしゃっていました。

娘さんは離れて暮らしているのですが、母親が意外と活動していることが分かって安心したり、健康についてのポジティブな会話が増えたという結果もお話いただきました。

 

【モニター募集中】実証実験への参加

現在も実証実験に参加いただけるモニターの方を募集中です。今なら無料でFitbit(活動量計)も貸与させていただきます。

応募いただくには、いくつか条件がございますのでご確認ください。

  • 3ヶ月以上継続できる方が望ましい
  • 65歳以上の元気な方から要支援2までの方
  • スマホ・LINEが利用できること
  • 活動量計を装着いただくこと

お子様にもいくつか条件がございます。

  • セミナー後のアンケートにご回答いただける方
  • 親御さんの初期設定のサポートをしていただける方
  • 期間中の親御さんのトラブルをフォローしていただける方

ご興味のある方はぜひご応募ください。

 

まとめ

最後にまとめとして、2つのヒントは必ず覚えていってください。

  • 様子見をせず「早めにプロに相談」が吉。とにかく地域包括支援センターへ連絡しましょう。
  • 親御さんのフレイル予防で、介護負担を小さくできる可能性が上がります。

 

参加者の皆さんへメッセージ

2つの作戦をお伝えしましたが、頑張ってくださいというよりは、誰かに頼ってくださいということをお伝えしたかったです。地域包括支援センターや我々でお手伝いできるサービスなど、ご紹介させていただきました。

ご無理なくやっていただければと思っています。

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