明日からできる!医師が解説する認知症予防セミナー~相談事例からひも解く、介護や認知症にまつわるリアル~(⑤Q&A編)

明日からできる!医師が解説する認知症予防セミナー~相談事例からひも解く、介護や認知症にまつわるリアル~(⑤Q&A編)

2023年12月8日、リクシスは、第12回『全国ビジネスケアラー会議』を開催いたしました。

これから高齢社会がより一層加速し、仕事と介護の両立が当たり前の時代がやってきます。本オンラインセミナーは、高齢化の流れが加速する日本社会において、現役世代として働きつつ、同時にご家族の介護にも携わっている「ビジネスケアラー」の方々とその予備軍となる皆様に向けたセミナーです。

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今回のテーマは「認知症」。

皆様からのご要望が多かったこのテーマ。

「認知症」と言ってもその症状には段階があり、認知症の一歩手前の状態とされる軽度認知障害(MCI)という状態があります。早期に発見し適切な対策をとれば、MCIから改善し認知症の発症を予防できる可能性があると言われています。

MCIと認知症の見極めのポイントや認知機能の維持に効果的だと言われている生活や習慣について解説いただくとともに、各社が展開する、ビジネスケアラーにとって頼もしい介護サービスについてもご紹介いたします。

この記事では、登壇者によるQ&Aをまとめています。

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①「MCI・認知症の見極めポイントと心がけたい生活習慣(前編)」
②「MCI・認知症の見極めポイントと心がけたい生活習慣(後編)」
③「会話deエクササイズnabetomoのサービスとは」
④「くらしと介護サポートのサービスとは」
⑤「Q&A編」⇐このページのテーマ

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登壇者プロフィール

伊苅 弘之(いかり・ひろゆき)医師 さわらびグループ福祉村病院副院長 医学博士日本老年医学会・日本老年精神医学会の専門医・指導医 

信州大学医学部卒業後、名古屋大学医学部老年科学教室に入局。記憶に関する基礎実験を行い医学博士を取得。1993年1月から1995年3月までアメリカ国立衛生研究所客員研究員。帰国後、名古屋大学医学部附属病院にて「ものわすれ、認知症外来」を5年間行う。1999年4月より高齢者のための総合的施設群(1,000人以上の高齢者が生活している)の中心となる福祉村病院に勤務。

 

高橋 ブラウン 景(たかはし・ブラウン・けい)株式会社nabe CMO

監査法人トーマツ及びコンサルティング会社に勤務後、nabeに参画。

コロナによる面会禁止で、施設に入居していた祖母と会えず、劇的に衰えていく祖母を目の当たりに。最期は病院で一人悲しく亡くなった彼女を見て「人とのつながり」がいかに人が幸せでいるために必要かを感じ、他2人の共同創業者と世代を超えた交流を作り出すnabetomo事業をスタートさせる。

 

岩崎 円香(いわさき・まどか) ハッチヘルスケア株式会社「くらしと介護のサポート」コンシェルジュ

特別養護老人ホームの介護職員として2年間、地域包括支援センターの相談員として9年間、介護と福祉の世界を経験し、コンシェルジュとしてハッチヘルスケアに参画。

相談業務においては、これまでの経験を活かしながら、高齢期の不安に寄り添う伴走者や道しるべの様な存在を目指して日々奮闘中。

 

認知症が疑われる行動がある時、どうやって病院に連れていけば良いでしょうか?

「脳が縮む病気は2種類あるとお話しました。そのうちのレビー小体型認知症系統の方は、病院に行こうよと言えば行かれる方がほとんどです。しかし、アルツハイマーの方などはご自身の症状を認めないので、説得することが難しいですよね。

そういう方向けに今『パーソン・センタード・ケア(※)』という言葉があります。

例えば何人かで食事に行くと伝えて外に出る。あらかじめ病院にはそのことを伝えておきます。病院に着いて『なんで病院に来たんだ』と言われたら『最初から言ってた』と言ってそのまま診察を受けてもらう。

こんな風に本人を騙して連れて行って良いのですか?と思う方もいらっしゃいますが、本当にその人のことを本当に思っていたら、その人が快適で良い方向へいけるように導いてあげることが大切というのが、パーソン・センタード・ケアの考え方です。

ご本人が納得できるように上手に説得するということで良いと思います。例えばご家族全員で健康診断を受けるから病院に行くと言って、周りが動いてつれていくということでも良いでしょう。

ご本人が納得できる、満足できる、そして領域の診断を受けていい方向へ行っていただける。これがパーソン・センタード・ケアです。ぜひご参考になればと思います」(伊苅氏)

※認知症のご高齢者を人として尊重し、その人の視点や立場に立って理解しながらケアを行うという認知症ケアの考え方のひとつ。

 

認知症の方を介護しているケアラーの方々への精神的苦痛の和らげ方やお声がけについて良い方法はありますか?

「認知症の方のケアをしている方は、認知症の方をケアする時間と認知症の負担感っていうのが正比例すると言われています。ですから、接する時間が長い方ほど負担が大きいです。

例えば24時間ずっと2人きりでいる方は、接する時間を少しでも減らすということが、介護負担を減らし、精神的苦痛を減らすことに繋がると言われています。

なので、精神的苦痛を感じた時には、できるだけ接する時間を減らし、離れる時間を増やすようにしてみてください。

デイサービスに週に5日数時間行くとすれば、その分だけ精神的苦痛を減らすことができます。

また、離れた時の時間の使い方も大切です。

なにか生きがいになることをやるのか楽しいことをやるのかなど、その時間を使ってストレスをどうやって発散するのかを考えましょう。

 

参加者の皆さんへのメッセージ

 

「認知症介護のプロの方々は、研修会や講習会をやったり、実践トレーニングをしたりしています。ですが、ご家族の方がそういったトレーニングを行うことはありません。

なので、認知症に関する本やインターネットを見て勉強することで知識武装をしつつ、私だけじゃなくてみんな同じようなことがあるんだと知った上でケアにあたることが大切なのではないかと思います」(伊苅氏)

 

「介護をされている方は、体の負担と心の負担っていう両方を持っているのかなと思います。

心の負担感の部分に関しては、毎日介護しても誰にも労われない・報われないということで、孤独感とかやりきれなさがあるでしょう。

また、介護は要所要所で何かを決めなきゃいけないので、決断する負担もありますよね。

介護されている方は、頑張らないっていうことができない方だったり、楽しむことがいけないんじゃないかと思ってしまう方もいらっしゃいます。

伊苅先生もおっしゃっていましたが、息抜きの時間を作って楽しむことが大切かと思います。

また、孤独感を強く持っている方が多いと思うので、誰かに話を聞いてもらうということが心の支えになることもあります」(岩崎氏)

 

「ご家族だけで全てを担う必要はありません。

家族との関係は直線的でギクシャクするということもありますが、そこに第三者との会話が入ってくることで、三角関係が作られて、関係が和らいだっていう話を聞くことがあります。

そういった関係を作ることで、皆さんハッピーになることがありますので、ぜひ第三者をいれてみるという考えを持っていただけたら、少し気持ちが楽になるのではないかと思っています」(高橋氏)


「MCI・認知症の見極めポイントと心がけたい生活習慣(前編)」へ戻る

この記事の監修者

サポナビ編集部

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