自分のご機嫌をうかがい、ご機嫌をとるということ

自分のご機嫌をうかがい、ご機嫌をとるということ

人間は気分に大きく左右される生き物

人間は気分に大きく左右される生き物です。わかりやすいところでは、自分のモチベーションを自分で管理できないと、仕事も勉強もうまくいかないでしょう。そう考えると、仕事でも勉強でも、自分の気分の波を、自分でなんとかできる人だけが、成功に近づくことができると言えそうです。

典型的には、受験勉強がそうかもしれません。気分が乗らないからと勉強をしなければ、志望校には受からないでしょう。逆に言うなら、多くの受験生が、自分の気分のムラに左右されてしまうからこそ、それを制御できるようになれば、ライバルを差し置いて突き抜けることも可能になるわけです。

子供にとって受験勉強が自分の気分との戦いであるように、大人にとっては仕事が、そして年齢が上がってくると親の介護が、自分の気分との戦いとして立ち上がってきます。しかし私たちは、他人の気分には敏感に反応するのに、自分自身の気分については、意外と無頓着だったりしないでしょうか。

注意すべきは喜怒哀楽の「怒」と「哀」

自分の機嫌を自分で管理する

自分の気分、すなわち、ご機嫌は、自分の中にいる猛獣のような存在です。この猛獣を飼いならすのはなかなかに大変で、それに成功している人というのは、それほど多くはないように感じられます。ただ、猛獣を自由にさせてしまうと、仕事も勉強も、そして介護もまた、自分の望む形にはならないことは明白です。

喜怒哀楽と言われる4つの主要な感情の中で、最も取り扱いが危険なのが「怒り」でしょう。「怒り」に任せて行動すれば、周囲から避けられるようになり、孤立してしまいます。そうした孤立もまた「怒り」に油を注ぐことになり、負のループから抜け出せなくなってしまうこともあります。

また「悲しみ(哀しみ)」も、それに身を委ねてしまうと、大変なことになります。「悲しみ」そのものは消えなくても、それに取り込まれないようにする工夫が必要になります。

自分のご機嫌をうかがうということ

ハンモック

具体的には、自分のご機嫌をうかがうということは「怒り」と「悲しみ」の感情が出てきたときに、自分はどうするのかという自分ルールを確立することが大事になりそうです。そのとき、どうしても大事になるのは、今、自分が「怒り」と「悲しみ」の感情に囚われているということをメタ認知(自己観察)する力です。

それがきちんと察知されないままに、「怒り」と「悲しみ」の感情に流されてしまうと、勉強でも仕事でも、そして介護でも「本当はこうありたかった自分」から、遠く離れてしまいます。特に介護では「こんなはずではなかった」ということが起こりやすいものです。

兄弟姉妹とは、仲良くしたいのに、険悪になったりします。親とも、もともと仲が良かったとしても、対立するようになることもあります。介護の専門家には、色々とお世話になるのに、そことの関係がこじれたりもします。そうした「こんなはずではなかった」を避けるためにも、まずは、自分のご機嫌をうかがうということから、メタ認知を始めたいです。

この記事の監修者

回答者アイコン木場 猛(こば・たける) 株式会社チェンジウェーブグループ リクシスCCO(チーフケアオフィサー) 介護福祉士 介護支援専門員 東京大学文学部卒業。高齢者支援や介護の現場に携わりながら、 国内ビジネスケアラーデータ取得数最多の仕事と介護の両立支援クラウド「LCAT」ラーニングコンテンツ監修や「仕事と介護の両立個別相談窓口」相談業務を担当。 3年間で400名以上のビジネスケアラーであるご家族の相談を受けた経験あり。セミナー受講者数、延べ約2万人超。 著書:『仕事は辞めない!働く×介護 両立の教科書(日経クロスウーマン)』
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