要介護認定を受けた方は、様々な介護保険サービスを受けることができますが、介護度により利用できるサービスが異なります。
要介護2の方が受けられるサービスの種類は、大きく分けて6種です。利用者が必要とするサービスを選び、複数のサービスを組み合わせて利用することも可能です。
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では、それぞれのサービス内容について詳しく見ていきましょう。
訪問型サービスとは、訪問介護員(ホームヘルパー)や看護師などが、利用者の自宅を訪問し、ケアを行う介護サービスのことです。自宅で生活しながら介護ケアや医療ケア、機能訓練、生活援助を受けることができるため、利用者本人が移動する負担がないことが大きなメリットです。
訪問型サービスは、以下の7種類。
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【訪問介護(ホームヘルプ)】
訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の居宅を訪問し、食事や入浴・排泄・着替えなどの身体介護、料理・洗濯・掃除や買い物などの日常生活援助、通院のための乗車、降車の介助を行います。
訪問介護にかかる費用は、身体介護と生活援助に分類され、所要時間によって異なり、1日のうち複数回来てもらうことも可能です。
【訪問リハビリテーション】
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが利用者の居宅を訪問し、医師の指示に基づいたリハビリテーションを受けられるサービスです。
身体機能の維持・回復を目指し、歩行や寝返り、起き上がりなど、日常生活を送る上で必要な機能訓練を行います。
【訪問入浴介護】
自力での入浴が困難な要介護の方を対象に、利用者の居宅へ介護スタッフが移動式浴槽を持参し、入浴介助を行うサービスです。介護度が低い方の場合は、居宅の浴槽を利用して入浴介助を行うこともあります。
利用者は、原則として主治医から入浴を許可されている方と決められています。
【訪問看護】
訪問看護は、看護師や准看護師などが療養を必要とする方の居宅を訪問し、医療ケアや療養上のケアが受けられるサービスです。
主治医による指示に基づき、健康状態を確認し、医療処置や身体介護(床ずれの処置や予防、在宅酸素、カテーテルの管理、点滴など)を行います。
【居宅療養管理指導】
居宅療養管理指導とは、医師や看護師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士などが利用者の居宅を訪問し、療養上必要な健康管理や指導(服薬や歯磨き、栄養指導など)を行うサービスです。
【夜間対応型訪問介護】
ホームヘルパーが夜間帯に訪問し、「定期巡回」(安否確認や排泄の介助など)、または「随時対応」(急な体調不要の際に訪問介護塩呼び介助を受ける)を行うサービスです。
【定期巡回・随時対応型訪問介護看護】
ホームヘルパーや看護師が24時間365日対応し、心身の状態に応じた介護ケアや医療ケアを必要なタイミングで提供するサービスです。
通所型サービスとは、居宅から通いで受けることができるサービスで、いわゆるデイサービスやデイケアのことです。日帰りで食事や入浴の介助や機能訓練、レクリエーションなどを受けることができ、訪問型とは違い他者との交流ができることもメリットのひとつです。
通所型サービスは、以下の5種類。
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【通所介護(デイサービス】】
デイサービスは、利用者が送迎付きでデイサービスセンターなどの施設に通い、日帰りで入浴や食事など日常生活の介助、生活機能向上のための機能訓練やレクリエーションなどが受けられるサービスです。
【通所リハビリテーション(デイケア】】
デイケアは、利用者が介護老人保健施設や病院などに通い、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といった専門スタッフによるリハビリテーションを受けられるサービスです。
心身機能の維持や回復を目的とした機能訓練に特化しているという点が、デイサービスとの大きな違いです。
【認知症対応型通所介護】
認知症の方を対象としたサービスで、施設に通い、食事・入浴などの日常的な介護、機能訓練、レクリエーションなどを受けることができます。
認知症の方に特化したサービスであるため、専門的なケアを受けられることが特徴です。
【地域密着型通所介護(小規模デイサービス)】
地域に密着した小規模な施設で、入浴や食事などの介護や機能訓練などを受けられるサービスです。
利用者定員が少ない施設であることが特徴で、大人数のデイサービスが苦手な方や一人ひとりに対し柔軟な対応を希望する方に向いています。
【療養通所介護】
療養通所介護は、難病・認知症などの重度要介護者の方や、がん末期患者の方など常に看護師による医療ケアが必要な方が、施設に通い施設に通い、食事・入浴などの日常的な介護、機能訓練を受けられるサービスです。
デイサービスでは医療ケアを必要とする方は利用できない場合があるため、療養通所介護は常時医療措置を必要とされている方の利用に適していると言えるでしょう。
一般的に「ショートステイ」と呼ばれ、短期間施設に入所することができるサービスです。
利用日数は最短1日〜最大30日間の宿泊が可能で、支援者(介護家族・ビジネスケアラー)が仕事や体調不良で介護ができない場合や介護負担の軽減をしたい時のほか、一人暮らしで生活に不安がある方などに活用されています。
短期入所型サービスは、以下の2種類。
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【期入所生活介護(ショートステイ)】
入所先は、主に特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保険施設、有料老人ホームなどの施設です。食事や入浴などの生活支援や介護ケア、生活機能訓練のサービスを受けることができます。
【短期入所療養介護(医療型ショートステイ)】
入所先は、介護老人保健施設(老健)や介護医療院などの医療機関です。
食事や入浴などの生活支援や介護ケアだけでなく、医師や看護師の他、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門のスタッフにより、医療的ケア・看護・機能訓練といった医療的専門性の高いサービスが受けられることが特徴です。
複合型サービスとは、「通い」「宿泊」「訪問」のサービスをひとつの事業所で受けることができるサービスです。またケアマネジャーも配置されており、複合的なサービスを提供することが特徴です。
「通所介護」「短期入所生活介護」「訪問介護」「訪問看護」「居宅介護支援(ケアマネジャー)」などをそれぞれ別に契約する必要がなく、複数のサービスを使用しても、同じ事業所のスタッフに担当してもらえるという安心感や一度の手続きで利用できることがメリットです。
複合型サービスは、以下2種類。
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【小規模多機能型居宅介護】
小規模多機能型居宅介護は、ひとつの事業所が提供する「通所介護」「短期入所生活介護」「訪問介護」などのサービスを、利用者の希望に応じて組み合わせ、月額定額制で利用することができるサービスです。
【看護小規模多機能型居宅介護】
看護小規模多機能型居宅介護は、前述の「小規模多機能型居宅介護」に「訪問看護」を組み合わせた複合型で、自宅で介護ケア・医療ケアの両方を必要としている方に適したサービスです。
施設介護サービスは、特別養護老人ホームなど公的施設と呼ばれる介護保険施設へ入所して受けることができる介護サービスのことです。施設内における介護ケア、生活援助、機能訓練などのサービスが含まれています。
介護保険施設である特別養護老人ホーム(特養)は、原則として要介護3以上の方が入居条件となっているため、要介護2の方は入所することができません。
要介護2の方が利用できる施設介護サービスの対象となる施設は、以下3つとなります。
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高齢者の暮らしやすい生活環境を整え、自立した日常生活を支援するための介護サービスにも、介護保険サービスが適用されます。
要介護2の方が利用できるのは、以下の3種。
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【福祉用具貸与】
要介護2の方は、在宅介護でも以下の福祉用具のレンタルが可能です。介護保険サービスと同様に、自己負担1~3割でレンタルすることができます。
【特別福祉用具販売】
特定福祉用具とは、レンタルには適さない入浴や排泄などで使用される福祉用具です。
介護保険を利用して福祉器具を購入する場合は、同一年度での支給限度額は10万円までとされています。自己負担1割の方の場合は、9万円が介護保険から給付されます。
特別福祉用具販売の対象となっているのは、以下の5品目です。
【住宅改修】
住宅改修は、介護リフォームとも呼ばれ、自宅をバリアフリーに改修する際に介護保険が適応され費用の一部を支援してくれるサービスです。
介護保険を利用した住宅改修の支給額は、20万円を限度として、その1〜3割が自己負担となります。利用できるのは原則として1人1回のみとなっており、複数回の利用はできませんが、限度額の20万円を超えない範囲であれば複数回に分けることが可能です。また、要介護状態区分が重くなったとき(3段階上昇時)、また、転居した場合は再度20万円までの支給限度基準額が設定されています。
介護保険制度で認められた住宅改修は、下記の6種目が対象です。
介護保険の支給限度額は介護度に応じて設けられており、要介護2の支給金額の上限は、197,050円までと決められています。
サービス利用料が支給限度額以上になる場合、超過分は全額自己負担となります。
要介護2の区分支給限度基準額 | ||
19万7,050円 | ||
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 |
19,705円 | 39,410円 | 59,115円 |
要介護2の方が利用できる介護保険サービスには、在宅で利用できる訪問型サービスや通所型サービス、短期入所型サービスのほか、施設に入所して受けられる施設介護サービスなどがあります。
利用者の希望や必要とするサービスを組み合わせて利用することができますが、要介護2の支給限度基準額として上限197,050円までと決められています。
サービスの利用には、担当のケアマネジャーとよく相談しながら、支給額の範囲内で収まるように計画的な利用回数やサービスの選択肢を検討していきましょう。
金山峰之(かなやま・たかゆき) 介護福祉士、社会福祉士、准看護師。福祉系大学卒業後、20年近く在宅高齢者介護に従事。現場専門職の傍、介護関連の講師業(地域住民、自治体、国家公務員、専門職向け等)や学会のシンポジスト、介護企業向けコンサルティング事業、メーカー(ICT、食品、日用品等)へシニア市場の講演などを行っている。
厚生労働省関連調査研究事業委員、東京都介護人材確保関連事業等委員など経験。
元東京都介護福祉士会副会長。政策学修士。