#介護の準備

親に安全に運転し続けてもらうために〜免許「黄色信号」の時のポイント〜

#介護の準備

ニュースなどで高齢ドライバーの事故を聞くと、運転をする親御さんを持つ方の多くは不安を感じてしまいますよね。しかし、まだまだ車を手放せない親御さんもいらっしゃるでしょう。

そんな時、親御さんに長く安全に運転を続けてもらえるような工夫をすることが大切です。

今回は、親御さんが運転を続けていくために周りはどのような点に注意したら良いのかについて、解説をしていきます。

 

親の運転に不安を感じたらどうする?

ご本人は自覚していなくても、体力や身体能力の低下をご家族が感じることもあるでしょう。そんな時、「運転中は大丈夫かな?」と気になったりしますよね。

気になった時、まずは、親御さんが運転する車に一緒に乗ってみるのが良いでしょう。

下記のようなことがないか確認してみてください。

✓スムーズな停止ではなく「ガクン」という急停止をするようになった
✓ハンドルの切り方がスムーズではなくなった
✓信号や標識を見逃してしまうことがあった
✓人や車が来ていることに気づかないことがあった
✓車に小さなキズや凹み増えてきた

これらの気になる点があった場合、ご本人と話し合えるようであれば、さり気なく聞いてみるのも良いでしょう。場合によっては免許返納を考えることがあるかもしれません。

ですが、お住まいの地域によっては免許返納が現実的ではない場合もありますし、ご本人が運転をしたいと思っている場合も多くあります。

免許を返納するということは、親御さんの生活を大きく制限することにも繋がりかねません。

親御さんが快適に生活する上で安全に運転し続けるために、免許返納という手段以外の安全対策もたくさんあります。

親御さん・ご家族ともにお互いに納得できる対策を考えていきましょう。

 

親御さんが安全に運転し続けるためのポイント3選

親御さん自身も運転したい、周りもまだ運転していてもらいたいという場合には、具体的にどんなことをしたら良いのでしょうか。

そのポイントを3つご紹介いたします。

サポカーなど最新のテクノロジーで運転環境を整える

最新のテクノロジーを利用することで、高齢運転者の安全運転をサポートすることができます。

その一部をご紹介いたしましょう。

1.サポートカー

セーフティ・サポートカー(サポカー)とは、衝突被害軽減ブレーキなど先進安全技術によって安全運転を支援してくれる車のことです。

高齢運転者の交通事故防止の一環として、政府もサポカーの普及を行っています。
サポカーには、主に下記のような最新のテクノロジーが備わっています。

※サポカーの種類によって備わっている最新のテクノロジーは異なりますのでご注意ください。

  • 衝突被害軽減ブレーキ

→車に備わっているレーダーやカメラによって前方の車や人を検知。衝突の可能性がある際に、運転手に警報でお知らせしたり、自動でブレーキをが作動したりします。

  • べダル踏み間違い急発進抑制装置

→停止時や低速走行時に、車に備わっているレーダーやカメラ、ソナーなどが、前方の壁や車両を検知している状態の際に、アクセルを踏み込んでも急加速を防止します。

  • 車線逸脱警報装置

→車に備わっているカメラによって道路上の車線を検知し、車線からはみ出しそう、またはウィンカーを出して意図的にはない時にはみ出した場合、警報でお知らせします。

  • 先進ライト

→先行車や対向車を検知してライトの切り替えを行います。ハイビームとロービームを自動で切り替えてくれる「自動切替型前照灯」、ハイビームの照射範囲を部分的に減光する「自動防眩型前照灯」があります。

また、ハンドルや方向指示器などの操作によって、水平方向の照射範囲を制御してくれる「配光可変型前照灯」もあります。

上記の先進安全技術以外にも、自動車メーカーが考える高齢運転者の事故防止に資する先進安全技術がいくつもあり、導入されている車が販売されています。

 

また、サポカーには区分があります。

どの区分が良いかあらかじめ検討しておくと良いでしょう。

サポカー衝突被害軽減ブレーキを搭載した、全ての運転者に推奨する自動車。
サポカーSワイド衝突被害軽減ブレーキに加え、ペダル踏み間違い急発進抑制装置等を搭載した、特に高齢運転者に推奨する自動車。

ワイドには下記も搭載されています。

・衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者)
・ペダル踏み間違い急発進抑制装置※1
・車線逸脱警報※2
・先進ライト※3

ベーシック+衝突被害軽減ブレーキに加え、ペダル踏み間違い急発進抑制装置等を搭載した、特に高齢運転者に推奨する自動車。

ベーシック+には下記も搭載されています。

・衝突被害軽減ブレーキ(対車両)
・ペダル踏み間違い急発進抑制装置※1

ベーシック衝突被害軽減ブレーキに加え、ペダル踏み間違い急発進抑制装置等を搭載した、特に高齢運転者に推奨する自動車。

ベーシックには下記も搭載されています。

・低速衝突被害軽減ブレーキ(対車両)※4
・ペダル踏み間違い急発進抑制装置※1

※1 マニュアル車は除く
※2 車線維持支援装置でも可
※3 自動切替型前照灯、自動防眩型前照灯又は配光可変型前照灯
※4 作動速度域が時速30km 以下
※5 将来的に技術の進化や目的に応じ「安全運転サポート車」の対象装置の拡大を想定
※6 その他、高齢運転者による事故の防止に効果がある技術についても、各社の判断で安全運転サポート車の機能として追加し、普及啓発に活用することができる

参考:経済産業省「サポカー(安全運転サポート車)」

 

ただし、サポカーに搭載されている先進安全技術には、機能の限界があります。

交通事故防止や被害の軽減には役立ちますが、路面や気象条件によって作動しない場合もあるので、あくまで保険的な手段と考えた方が良いでしょう。

2.乗り降りがしやすい車

高齢になると筋力低下から、車の乗り降りに支障が出る場合もあります。

転倒などの事故を防ぐためにも、下記のことが考慮されている車を選ぶと良いでしょう。

  • 足の持ち上げ量ができるだけ少なくて済むよう、ステップが低くなっている(ノンステップバスの地上30cmが基準)
  • 乗り込む際につまづかないよう、ステップとフロアに段差がない掃き出しフロアになっている
  • 乗り降りがしやすいように、アシストグリップが適切な位置にある

アクセルの踏み間違いを防止する

アクセルとブレーキを踏み間違えてしまう事故は、毎年発生しています。

先程ご紹介したサポカーも、サポカーSを選べば「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」が搭載されていますので安心です。ただ、車自体を買い換えるのは経済的負担も大きいですよね。

自動車メーカーや部品用品メーカーから、後付けできる「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」も販売されています。

国土交通省で性能の認定しているものであれば安心ですので、調べてから購入を検討してみると良いでしょう。
参考:国土交通省 ペダル踏み間違い急発進抑制装置性能認定結果一覧

ただし、年式が古い車は後付けできない場合もあります。あらかじめ設置を検討している車に設置可能かどうかを確認すると良いでしょう。

お店によっては、装置の購入から設置までお任せできるところもございます。お近くのカー用品を扱うお店などに確認してみてください。

 

ドラレコで「もしも」の事故に備える

ドラレコとは、ドライブレコーダーのことです。自動車に取り付け、映像や音声などを記録することができます。

万が一事故が起きた時には事故原因を正確につかむことができますし、自分自身の運転を見直すために使用することも可能です。

親御さんが運転している様子をドラレコで確認することで、ご自身が具体的な問題点に気づけるきっかけになることもありますし、ご家族で話し合うきっかけになることもあります。

また、保険会社では、ドラレコ付き保険を取り扱っているところもあります。

ひとつの例として、三井住友海上で取り扱っている保険は、安全運転支援アラート機能が搭載されているドラレコ付きです。前方の車両に接近しすぎた時、車線をはみだしている時など、運転者にアラートでお知らせする機能があります。

事故が起きたことをドラレコが検知した時には、自動でオペレータに繋がり対応してくれるサービスも。

また、事前に登録した見守り者(指定連絡者)がドライバーの運転状況を見守れるサービスや、運転診断レポートを送るサービスなど、運転する親御さんだけでなく、見守るご家族のサポートしてくれるものもあります。

 

3ステップでわかるシュミレーターで運転について考えよう

親御さんの運転に不安を感じた時に、もうひとつやってみてほしいものがあります。当社リクシスで作成した、3ステップでわかるシュミレーターです。

3ステップでわかる免許返納シュミレーター

免許返納をすべきかどうか、まずはこちらのシュミレーターを使って考える機会を作ってみてください。

親御さんに異変を感じた時に、その解決方法は免許返納だけではありません。お互いに運転し続けることのリスクを客観的に見極めた上で、安全に運転できる環境を一緒に作っていくことを考えていく必要があります。

まずはシュミレーターで確認し、黄色信号がでた時には、上記のポイントを検討してみてください。

 

▼関連記事
運転せずに生活できる代替手段とは〜「買い物」「趣味」「通院」など目的にわけてみる〜

タイトルとURLをコピーしました