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ショートステイ(短期入所生活介護)とは?費用や一泊の料金について簡単に解説!

ショートステイで会話をしている高齢女性 #介護の知識

ショートステイ(短期入所生活介護)とは

ショートステイ(短期入所生活介護)とは、その名の通り、利用者(介護をされる人)が一時的に施設へ入所し、介護・支援が受けられるサービスのことです。在宅介護中の高齢者が、可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、心身機能の維持回復を目的として短期間施設へ滞在することができます。

また、支援者(介護家族・ビジネスケアラー)側は、「出張や旅行で、家を数日空けなければいけない」「介護に疲れたためリフレッシュしたい」「体調を崩して介護ができない」など、様々な事情で在宅介護ができないケースがでてきます。そんな時に、1日単位で利用できる便利なサービスがショートステイです。

ショートステイは、介護保険を利用できるため、自己負担額が抑えられるという点でも、現在人気の高いサービスとなっています。

 

ショートステイの対象者・利用条件

高齢者であれば誰でも利用できるというものではありません。
「介護保険適用のショートステイ」の場合と、有料老人ホームなどが提供している「介護保険適用外の有料ショートステイ」の場合で対象者や利用条件が決められています。

  • 「介護保険適用のショートステイ」の対象者・利用条件

・要介護1265歳以上の方
・要介護15の要介護認定を受けた65歳の方
4064歳で特定疾病により要介護と判断された方
連続利用は最長で30日。介護認定期間の半数(介護認定期間が180日なら90日まで)。
ただしやむを得ない事情の場合は、例外が認められることもあります。

  • 「介護保険適用外の有料ショートステイ」の対象者・利用条件

・非該当(自立)と判定された介護を必要としない状態の人でも利用可能
・施設により、利用可能日数や費用など条件が異なる

 

ショートステイの種類とサービス内容の違い

ショートステイには大きくわけて、以下の3つの種類があります。

  • 短期入所生活介護(介護保険適用)
  • 短期入所療養介護(介護保険適用)
  • 介護保険適用外のショートステイ

介護保険適用の有無、施設形態とサービス内容の違いにより、目的に合わせたショートステイを選ぶことができます。

 

短期入所生活介護(介護保険適用)

  • サービス内容

介護スタッフによる、食事や入浴などの日常生活上の援助、機能訓練、レクリエーションやリバビリなどが受けられます。

  • 主な施設
    ・特別養護老人ホーム
    ・一部の有料老人ホーム
    ・ショートステイ専門施設


●部屋の種類

従来型個室洗面台とトイレは室内にある場合が多い。食堂、浴室、機能訓練は共用スペースで。
多床室医療施設に多く、1部屋あたり4床以下の相部屋。食堂、浴室、機能訓練は共用スペースで。
ユニット型個室10人を1つのユニットとしてサービスを提供。台所、食堂、浴室は共用スペースで、居室自体は個室。
ユニット型多床室10人を1つのユニットとしてサービスを提供。台所、食堂、浴室は共用スペースで、居室自体はそれぞれの居室が完全に仕切られていない。

短期入所療養介護(介護保険適用)

  • サービス内容

「医療型ショートステイ」とも呼ばれるほど、医療ケアが充実していることが特徴です。医師や看護師の他、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門のスタッフにより、通常の介護サービスのほか、医療的ケア、看護、機能訓練など、滞在しながら様々な医療サポートサービスが受けられます。

  • 主な施設
    ・介護老人保健施設
    ・介護療養型医療施設
    ・療養病床を持つ病院、診療所・老人性認知疾病療養病棟を持つ病院

 

部屋の種類

従来型個室洗面台とトイレは室内にある場合が多い。食堂、浴室、機能訓練は共用スペースで。
多床室医療施設に多く、1部屋あたり4床以下の相部屋。食堂、浴室、機能訓練は共用スペースで。
ユニット型個室10人を1つのユニットとしてサービスを提供。台所、食堂、浴室は共用スペースで、居室自体は個室。
ユニット型多床室10人を1つのユニットとしてサービスを提供。台所、食堂、浴室は共用スペースで、居室自体はそれぞれの居室が完全に仕切られていない。

 

介護保険適用外のショートステイ

  • サービス内容

介護スタッフによる、食事や入浴などの日常生活上の援助、機能訓練、レクリエーションやリバビリなどが受けられます。非該当(自立)と判定された介護を必要としない状態の人でも利用が可能。ただし、介護保険適用外のため、利用料は全て自己負担です。

  • 施設例
    ・一部の有料老人ホーム

 

ショートステイの利用ケース

ご家族(ビジネスケアラー)が急な予定で介護ができなくなった場合や、利用者の退院後のリハビリのためなど、様々な場面で利用できます。また、介護する側の身体的、精神的負担を軽減する目的のための利用も可能です。

レスパイトケアとしても有効です。
定期的にショートステイを利用することは、介護をする側とされる側、双方に大きなメリットがあります。

一次的に介護から解放され、リフレッシュや休息をとる介護者のためのケアのこと

 

  • 利用者(介護される人)側
・心身の状況や病状が悪い
・自宅に引きこもりがちで、家族以外とのふれあいが必要
・ヘルパーとの都合があわない時
・退院直後のリハビリ
  • 支援者(介護家族・ビジネスケアラー)側
・介護疲れ、介護を休んでリフレッシュしたい
・冠婚葬祭、出張、旅行、諸用などで家を空ける
・自身が病気などで十分な介護やケアができない状態

 

▼関連記事
ショートステイの具体的な利用シーンと選び方について

 

ショートステイ費用の目安

ショートステイにはどれくらいの料金がかかるのか?

利用料金の内訳は、主に「基本料金」+「特別サービス分加算料金」+「介護保険外の自己負担額」となっています。

介護保険適用対象の施設の場合は、介護サービス料金を含む基本料金が決められています。介護保険が適用されると基本料金の自己負担額は13割に抑えられます。

介護保険適用の施設の場合は、全て自己負担になります。具体的な費用は、施設の種類や介護度、地域などにより変わりますが、目安は、12日で3,0008,000円程度です。

 

基本料金

基本料金とは介護サービス費用のことで、食事・入浴介助のための費用を指します。
短期入所生活介護より、医療ケアを必要としている短期入所療養介護のほうが費用は高くなります。
また、居室の種類(従来型個室、多床型、ユニット型個室・多床型)と介護度でその料金は変ります。

下記の基本料金はあくまでも目安です。市町村や施設により費用が異なります。施設の契約内容や料金を必ずご確認ください。
日常生活費用(食費、滞在費、理美容代など)は別途負担する必要があります。

 

  • 短期入所生活介護 併設型 自己負担割合が1割の場合の自己負担額
介護度従来型個室多床室ユニット型個室・ユニット型多床室
要支援1446円/日446円/日523円/日
要支援2555円/日555円/日649円/日
要介護1596円/日555円/日696円/日
要介護2665円/日665円/日764円/日
要介護3737円/日737円/日838円/日
要介護4806円/日806円/日908円/日
要介護5874円/日874円/日976円/日

 

  • 短期入所療養介護 介護老人保険施設 自己負担割合が1割の場合の自己負担額
介護度従来型個室多床室ユニット型個室・ユニット型多床室
要支援1577円/日610円/日621円/日
要支援2721円/日768円/日782円/日
要介護1752円/日827円/日833円/日
要介護2799円/日876円/日879円/日
要介護3861円/日939円/日943円/日
要介護4914円/日991円/日997円/日
要介護5966円/日1045円/日1049円/日

 

加算料金

  • サービス加算料金

サービス加算にはいくつか種類があります。施設により様々なオプションサービスが提供されていますが、それらには料金を支払う必要があります。

以下、加算料金がつく代表的なサービスの例です。

・送迎加算
・機能訓練加算
・医療連携強化加算
・緊急短期入所受け入れ加算
・専従機能訓練指導員配置加算
・看護体制加算
・サービス提供体制加算
・療養食加算
・夜勤職員配置加算
・若年性認知症利用者受入加算 など

 

  • 自己負担の食費、滞在費など

ショートステイ利用料には、前述の基本料金、サービス加算料金のほかにも、自己負担となる費用があります。以下、介護保険適用外となる費用です。

・滞在費:施設へ滞在するための費用。
 1日あたりの計算で、1泊2日の場合は2日分の費用がかかります。
・食費:施設に滞在中に飲食した分の料金。朝食600円、昼食、夕食は800円程度が目安。
・日用品:施設の備品(歯ブラシなど)を使用した場合、使用した分が請求されます。
 私物の持ち込みには料金がかからないため、最低限のものは持参するようにしましょう。
・その他:理美容代やレクリエーションの利用費。施設により金額が異なるので要確認を。

 

ショートステイの申し込みの流れ

介護保険の利用の有無により、手続き方法が異なります。3ヶ月前から申し込み受付を開始している施設が多く、また12ヶ月前には予約を取らないと空きがなくなる施設が多いようです。早めに予約を取る心がけが必要です。

 

介護保険を利用する場合

  1. 担当者に相談
    要支援の方は地域包括支援センターへ相談し、介護予防ケアプランに組み込んでもらいます。要介護の方は担当のケアマネジャーに相談しケアプランに組み込んでもらいます。担当者に利用目的や期間などの希望を伝え、状況に合う事業所を探してもらいます。
  2. 施設見学
    空きがあった施設を見学します。施設の雰囲気の確認のためにも、必ず行いましょう。
  3. 申し込み、面談
    ケアマネジャーを通して申し込みをします。利用者の体の状態を確認する健康チェックを含めた面談もあります。
  4. 契約、利用開始
    面談で利用可能と判断されたら、契約をして利用開始できます。

 

介護保険を利用しない場合

介護保険適用外のため、有料のショートステイを実施している有料老人ホームなどに直接連絡をしてください。あらかじめ施設見学へ行ったり、ホームページなどでサービス内容や詳細を確認し、情報収集をしましょう。候補先を複数ピックアップし、比較検討することが大切です。

 

ショートステイをお探しの方は、こちらの検索サービスもご活用ください。
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ショートステイでの1日の流れ

過ごし方は施設によって様々です。短期間とはいえ、1日を過ごす大切な場所です。施設の見学時にしっかり確認して、利用者の方の好み、雰囲気が合う場所を選ぶようにしましょう。

 

  • とある施設での、12日の過ごし方例

1日目>

時間内容
9:00送迎施設の職員が車で自宅まで迎えにきます。
9:30リハビリ体操デイルームで体操を行います。
12:00昼食食後の歯磨き(口腔ケア)をします。
13:00レクリエーションデイルームで利用者とレクリエーションを行います。
15:00おやつ
16:00入浴
18:00夕食夕食後は部屋でゆっくり過ごします。
21:00就寝

 

2日目>

時間内容
6:00起床
7:00朝食、リハビリ体操朝食後は、デイルームで体操を行います。
10:00おやつ
12:00昼食食後の歯磨き(口腔ケア)をします。
13:00レクリエーションデイルームで利用者とレクリエーションを行います。
15:00おやつ
16:00送迎施設の職員が車で自宅まで送ります。

タイムスケジュールと内容は、施設や契約条件により異なります。

 

まとめ

ショートステイは短期的な利用が可能な、非常に便利なサービスです。介護する側とされる側の両方の目的を叶えることができます。ただし、人気サービスであるために、予約を取るのが大変であるということも事実。直前ではなく、早めに担当者に相談し、施設の目星をつけておくようにしましょう。介護疲れを軽減するためにも、積極的&定期的な利用がおすすめです。短期だからこそ、その日を快適に安心して過ごせる施設を選び、上手に利用していきましょう。

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この記事は専門家に監修されています
 介護プロ
木場 猛(こば・たける)

株式会社チェンジウェーブグループ リクシスCCO(チーフケアオフィサー)
東京大学文学部卒業。2001年の在学中から現在まで22年以上にわたり、介護士・ケアマネージャーの現場職として、2,000世帯以上のご家族を担当し、在宅介護、仕事と介護の両立支援に携わる。
著書:『仕事は辞めない!働く×介護 両立の教科書(日経クロスウーマン)』https://amzn.to/3ryjZNg

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