グループホームの食事とその役割とは?献立例や費用と併せて解説

グループホームの食事とその役割とは?献立例や費用と併せて解説

グループホームとは、認知症と診断を受けた方が、少人数のユニットで共同生活をする介護施設です。自立した生活を送ることをを目的としているグループホームでは、職員と共に入居者自らが食事を作ることになっています。
今回の記事では、入居者自身が担当するグループホームの食事の役割をはじめ、バランスの取れた献立例、費用などについて解説していきます。グループホームの食事が持つ大きな意味を一緒に考えていきましょう。

 

グループホームの食事作りについて

グループホームは、入居者同士がスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで「認知症の進行を抑えること」と「入居者の能力を維持すること」を目的としています。食事作りもその一環で、スタッフのサポートを受けながら、メニュー決め、買い出し、調理、配膳、後片付けなどの食事に関する家事を、個々の能力に応じて行います。
食事を選んだり作ったりすることで、脳は活性化され刺激を受けます。また、調理や配膳、片付けは共同作業がしやすくコミュニケーションの機会が増えます。食事作りは脳の機能を保つために有効なことなのです。さらに、出来上がった食事をみんなで食べることで、食欲を促進し、健康維持にも役立つと期待されています。有料老人ホームや特養などの介護施設では調理を全て施設側で行ってくれるため、認知機能の維持という観点からグループホームの仕組みは非常に優れていると言えます。

 

グループホームの食事の役割

入居者がスタッフと共同作業で行うグループホームの食事は、身体機能、認知機能の維持において大きな役割を果たしています。

 

認知機能の低下防止・維持

食事を作るという行為は、以下のように脳と手を連動させて動かすことができるので、認知機能の衰えを防ぎ、維持する効果が期待できるとされています。

  • 食べたいものを想像し、栄養バランスのよい「献立を考える」
  • 献立を作るために食材は何が必要かを考えて「買い出しに行く」
  • 食材を切ったり焼いたり、手先を動かして「調理する」
  • 食べる順番を考えて、お箸を使って「手を動かして食べる」

さらに、調理と食事を通じて入居者同士やスタッフとの交流が広がり、生活に豊かさを感じられることが、認知機能を保つための重要な要素のひとつとされています。

 

健康維持と必要な栄養摂取

グループホームでは、入居者が自分で食事を作っている場合でも、スタッフが足りない栄養を補う工夫がされています。スタッフの配慮により一品が追加されたり、栄養価の高いスナックや飲み物をおやつに追加するなど、1日全体の栄養バランスが考えられています。バランスのとれた適切な食事を摂ることで、ビタミンやカルシウムなどの必要な栄養を体内に取り入れることができます。

また、認知症の方にありがちな傾向として、食事量が少なくなったり、食べにくいものを避けたり、同じ種類の食べ物しか食べなくなることがあり、低栄養や体力低下などを及ぼすことがありますが、グループホームの食事では噛む力や飲み込む力が低下している方でも食べやすいように調理方法が工夫されています。

グループホームでは、食事を通じて栄養不足やカロリー不足に気を配ることで、健康な状態を維持し、入居者の筋力や骨粗鬆症などの病気予防に役立っています。

 

他者との交流の場

入居者同士が協力して調理や食事の準備を行うことで、個々に役割が分担され、その役割を考えて実行することが、心身の活性化を促すことに繋がります。もちろん、危険なことや難しいことにはスタッフの援助があり、安心して調理に取り組めます。
食事の準備が整った後は、みんなが同じテーブルを囲んで食事をいただきます。和やかな雰囲気の中で自然な会話が生まれ、生活の充実感が向上するでしょう。
グループホームでの食事作りは、交流の場として重要であり、人間関係の構築にも貢献します。心身の機能を保つこと、特に認知症の予防も可能になり、その利点は非常に大きいと言えます。

 

グループホームの献立例

 

グループホームでの一週間の献立例を紹介します。食事は基本的に朝昼晩の3食、おやつが出ることもあります。

日曜日 ご飯

オニオンスープ

シーザーサラダ

オムレツ

バナナ

ご飯

中華スープ

チンジャオロース

春雨サラダ

パイナップル

ご飯

すまし汁

鶏肉の唐揚げ

マカロニサラダ

キウイフルーツ

月曜日 ご飯

魚の野菜あんかけ

ごぼうサラダ

生姜和え

ゼリー 香の物

ご飯

麻婆茄子

車海老の煮物

白和え

白玉ぜんざい

ご飯

コンソメスープ

おろしハンバーグ

菜の花のお浸し

白桃

火曜日 ロールパン

ジャム、マーガリン

スクランブルエッグ

ツナサラダ

スープ

牛乳

冷やし肉つけそば

ちくわの磯辺焼き

ほうれん草の和物

スープ 牛乳

乳酸菌飲料

ご飯

豚生姜焼き

切干大根煮

卵豆腐

味噌汁

みかん

水曜日 ご飯

イワシの生姜煮

カボチャの含め煮

もやしの茗荷和え

味噌汁

ご飯

天ぷら盛り合わせ

里芋インゲン煮物

マリネサラダ

ひじき豆

パイナップル

ご飯

ニシンの蒲焼

野菜炒め煮

京卯の花

甘辛筍

味噌汁

木曜日 ご飯

里芋そぼろ煮

小松菜の和物

たら西京漬

味噌汁

オレンジゼリー

ビビンバ丼

大根オイスター炒め

中華スープ

香の物

白桃

ご飯

ゴーヤチャンプルー

冬瓜の煮物

アスパラピーナツ和え

味噌汁

りんごゼリー

金曜日 ご飯

温泉卵

きんぴらごぼう

さくら大根漬

味噌汁

乳酸菌飲料

ご飯

煮込みハンバーグ

野菜ニンニク炒め

小松菜のお浸し

野菜スープ

みかん

チキンカレー

ハムレタスサラダ

スープ

香の物

ゼリー

土曜日 食パン

ジャム、マーガリン

ミートボール

シーザーサラダ

オレンジ

牛乳

スパゲッティナポリタン

海鮮サラダ

ボルシチ

メロン

ご飯

若鶏の味噌粕漬け

ゼンマイ煮物

ポテトサラダ

なめこ汁

どら焼き

 

グループホームの食事費用

通帳と電卓 お金の管理イメージ

グループホームの食事の費用は、施設によって異なります。

食事費用は、月額4万円前後が多いとされています。以下の金額は目安としてご参考ください。

グループホームの食費の目安

  • 1ヶ月あたり3〜4万円前後(1日あたり約1,300円)
  • 食費には、1日3度の食事代に加え、おやつ代が含まれています

食事の費用は介護保険給付の対象外であり、全額自己負担です。また、グループホームでは理美容代や娯楽費、おむつ代などの日常生活費も自己負担となります。

食事費には消費税はかかりませんが、入居者の希望により特別な食事が提供される場合は消費税が課税される場合がありますので、入居時にご確認ください。

 

グループホームの食事に関するよくある2つの質問

グループホームの食事作りについて、よくある質問を2つ紹介します。

入居者の食事作りは経験が必要ですか?

グループホームでは、入居者が自主的に食事を楽しむことを重視しており、自身の能力を考慮しながら作業をするので、無理することなく料理に参加できます。調理経験や高度な技術は必要ありません。基本的に入居者自身だけで料理を行うのではなく、スタッフが入居者をサポートし、共同で食事の準備を行います。

認知症を抱える高齢者は、適切な作業手順を理解することが難しいかもしれませんが、スタッフはそのような状況を理解しているので、声かけをしながら調理を進めていきます。これにより入居者も次に行うべき作業を理解し、食事の準備を楽しむことができるよう工夫されています。

食事作りは必ずやらなくてはなりませんか?

グループホームでは、料理の経験が乏しかったり、料理に対する苦手意識があったりする入居者の方でも参加しやすいように、施設は入居者の負担を軽減する工夫も行っています。例えば、電子レンジや炊飯器を使用するなど、簡単に料理できる環境が整えられています。それでも食事の準備に参加したくない場合は、無理に参加する必要はありません。施設が入居者に強制することはありませんので安心してください。

外部に食事の準備を委託している施設もありますので、食事作りを絶対に避けたい場合は、外部に調理を委託している施設を探してみてください。

 

まとめ

認知症を持った方が少人数で暮らすグループホームでは、入居者とスタッフが協力して、栄養バランスや食べやすさに配慮した食事作りを行います。献立の考案から買い物、調理、配膳、後片付けなど、脳と手先を使った作業をするので、認知症の予防や能力の維持に役立てられています。

また、食事の準備や仲間と共に食卓を囲む時間を通して入居者やスタッフとのコミュニケーションの機会が増えることも、認知機能へよい影響をもたらし、リハビリテーションの効果もあると言われています。

グループホームに興味を持たれた方は、食事の時間に見学をしてみるのも良いかもしれません。

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この記事の監修者

回答者アイコン金山峰之(かなやま・たかゆき) 介護福祉士、社会福祉士、准看護師。福祉系大学卒業後、20年近く在宅高齢者介護に従事。現場専門職の傍、介護関連の講師業(地域住民、自治体、国家公務員、専門職向け等)や学会のシンポジスト、介護企業向けコンサルティング事業、メーカー(ICT、食品、日用品等)へシニア市場の講演などを行っている。 厚生労働省関連調査研究事業委員、東京都介護人材確保関連事業等委員など経験。 元東京都介護福祉士会副会長。政策学修士。

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