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要介護1でもらえるお金はいくら?受けられるサービスや支給限度額について解説

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要介護1の方は、日常生活において部分的な介護が必要になります。

要介護1と認定されたご本人やご家族は、これからはじまる介護生活に対し、不安や疑問を抱く方も多いでしょう。

今回は、要介護1の方が利用できる介護サービスの種類やかかる費用など、気になるお金のことについても詳しく解説していきます。

 

要介護1とは、どんな状態?

要介護認定は要支援1〜2、要介護1〜5の7段階に分けられ、心身の状態や支援の必要性に応じて介護度が認定される仕組みです。

要介護1は、日常生活に対し見守りや一部の介助が必要なものの、要介護の段階では最も軽度な状態です。

厚生労働省の調査では、日本全国における要介護認定を受けた人数は、令和5年8月時点で約704万人に上ります。

そのうち、要介護1の認定者数は約146万人です。

要介護認定者全体の約20%と、最も高い割合を占めています。

参考:厚生労働省 介護保険事業状況報告(暫定)令和5年8月分 https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/m23/2308.html

 

要介護1の具体的な状態や症状をみていきましょう。

要介護1の状態

要介護1は、食事や排せつなど基本的な生活は概ねご本人が行えます。しかし、一部の認知機能や運動機能の低下が見られ、すべての日常生活を自力で行うことは難しい状態です。

全面的な介護の必要はありませんが、以下のような一部の動作に対し介助を必要とします。

  • 歩くとき
  • 立ったり座ったりするとき
  • 入浴時(浴槽を跨ぐなど)
  • 洋服のボタンをかけるなどの細かい動作

 

要介護1の症状

日常生活において以下のような症状があらわれます。

【記憶力の低下】
もの忘れ、日付を間違ってしまう、約束を忘れる、薬の飲み方を間違えるなど

【判断や理解力の低下】
1人で買い物ができない、物事の計画を立てられない、軽度の混乱など

 

要介護2との違い

要介護1と要介護2の大きな違いは「介護の必要度」です。

要介護1は基本的な生活は自力で行えるため、全面的な介護の必要はありませんが、立ち上がるときなど部分的な介助が必要です。

要介護2は、要介護1よりも介助を行う項目が増えていきます。身体機能の低下から自力で立ち上がったり歩いたりすることが難しく、食事や排泄など生活全般も周りでサポートが必要でしょう。

また、思考力や判断力などの認知機能の低下がはっきりとあらわれるため、日常生活の多くの場面で介助に要する時間が増えるでしょう。

 

要介護1の認定基準

笑顔の高齢者女性と介護士の女性(訪問介護・在宅介護)

 

要介護度の認定基準は、厚生労働省が定めている「要介護認定基準時間」と「ご本人の生活状況や心身状態」をもとに総合的に判断します。

要介護認定基準時間は区分によって定められ、要介護1は32分以上50分未満です。

※この時間は実際に介護に要する時間とは異なるもので、あくまでも要介護認定のための尺度として用いられる基準になります。

 

区分要介護認定基準時間
要支援125分以上32分未満
要支援232分以上50分未満
要介護132分以上50分未満
要介護250分以上70分未満
要介護370分以上90分未満
要介護490分以上110分未満
要介護5110分以上

 

要介護認定基準時間は以下の項目から、1日の介護にかかる時間を算出します。

  • 直接生活介助:入浴・排せつ・食事などの介護
  • 間接生活介助:洗濯・掃除などの家事援助等
  • BPSD(認知症に伴う行動心理症状)関連行為:徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等
  • 機能訓練関連行為:歩行訓練・日常生活訓練などの機能訓練
  • 医療関連行為:輸液の管理、褥瘡(床ずれ)の処置等の診療の補助等

参考:厚生労働省 用語の説明 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service01/yougo.html

 

要介護1で受けられるサービス

要介護認定を受けると、さまざまなサービスを利用できますが、要介護度によって受けられるサービスの内容は異なります。

要介護1の方が受けられるサービスは以下のとおりです。

 

自宅で受けられる訪問型サービス訪問介護(ホームヘルプ)
訪問入浴介護
訪問看護
訪問リハビリテーション
夜間対応型訪問介護
定期巡回・随時対応型訪問介護
施設に通う通所型サービス通所介護(デイサービス)
通所リハビリテーション
地域密着型通所介護
療養通所介護
認知症対応型通所介護
訪問、通所、宿泊を組み合わせた複合型サービス小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
短期間の宿泊サービス(ショートステイ)短期入所生活介護
短期入所療養介護
施設に入居する介護老人保健施設(老健)
介護療養型医療施設
特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホームなど)
介護医療院
小規模施設に入居する認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
福祉用具を使う福祉用具貸与
特定福祉用具販売
※要介護1は一部の福祉用具に利用制限あり

参考:厚生労働省 公表されている介護サービスについて https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/

介護サービスを利用するには、ケアマネジャーから事前にケアプランを作成してもらう必要があります。

ご本人や介護を行う家族の状況を考慮したうえで、どんなサービスを受けると暮らしやすくなり適切か、ケアマネジャーと相談して決めましょう。

 

要介護1でもらえるお金はいくら?

お金とミニチュアのシニア夫婦

介護サービスを利用する際、費用の一部は介護保険から給付されます。具体的にはサービスを利用した分のうち保険で賄われるお金は利用者を介さずサービス事業者に支払われる方式となっています。つまりこの限度額が実際にもらえる(=保険が効く)金額となります。

自己負担額は、所得や世帯の状況に応じ1〜3割です。

給付制度について詳しくお伝えします。

 

要介護1の区分支給限度額について

区分支給限度額とは、1か月に受けられる介護保険サービスの上限金額です。

厚生労働省が要介護度やサービス内容に応じ設定しています。

要介護1の区分支給限度額(単位)は以下のとおりです。

区分支給限度額

(単位)

所得に応じた自己負担額
1割2割3割
要介護1167,650円

(16765)

16,765円33,530円50,295円

​​​​​​※​​1単位10円で換算した場合

 

要介護1は月額167,650円までのサービスを上限として、自己負担割合が1割の場合は月額16,765円で介護保険サービスを利用できる仕組みです。

支給限度額は、実際には金額ではなく単位で設定します。

地域ごとに1単位=10〜11.40円などで単価が決まっています。

【例】1単位10円で換算した場合、100単位→1,000円

区分支給限度額を超えて介護サービス利用した場合は、全額自己負担(10割)となるため注意しましょう。

 

 要介護1で受けられる給付金について

要介護1の認定を受けると、福祉用具のレンタルや住宅改修にかかる費用の一部が介護保険から給付されます。

具体的な条件などについてみてみましょう。

 

福祉用具のレンタル

福祉用具をレンタルするときにかかる自己負担額は、ご本人の所得に応じ1〜3割です。

【例】自己負担額が1割の場合

1か月のレンタル料金が1万円→自己負担額1,000円

 

福祉用具のレンタルや購入費の利用限度額は、年額10万円です。

要介護1の方が介護保険を利用してレンタルできる福祉用具は以下の4種類です。

  • 手すり(工事不要のもの)
  • 歩行器(固定型歩行器、四輪歩行車)
  • 歩行補助杖(松葉杖や多点杖など)
  • スロープ(工事不要のもの)

要介護1の方はレンタル対象外の福祉用具でも、医師の意見に基づき必要と認められる場合に限り、例外給付を受けられます。

例外給付の対象品は、車椅子や介護ベッド、床ずれ防止用具介護ベッドなどの指定6品目です。

例外給付を利用する場合は、ケアマネジャーの同意を得てからお住まいの自治体へ申請しましょう。

 

住宅の改修

高齢者の方が暮らしやすいように、自宅をリフォームするケースも多くあります。

バリアフリー化を目的で行なうリフォーム費用は、介護保険から一部支給されます。

住宅改修にかかる自己負担額は、ご本人の所得に応じ1~3割です。

【例】自己負担額が1割の場合

住宅改修にかかる費用が20万円→自己負担額2万円

残りの18万円は介護保険から支給される仕組みです。

介護保険による補助金の上限は20万円、毎月の支給限度額の内訳には入りません。

 

まとめ

  • 要介護1は、食事や排せつなど基本的な動作はできるが、生活の一部で介護サービスが必要
  • 介護サービスは、区分支給限度額内であれば自己負担1~3割で利用できる
  • 要介護1 の段階で必要な福祉用具のレンタルや住宅改修は介護保険が適用

要介護1の方は、介護サービスを利用すればより暮らしやすくなり心身の状態維持にも繋がります。

最適な介護サービスを受けるためには、ご本人や介護を行うご家族が、事前に希望する暮らし方や費用について確認しておくことが大切です。

今は介護が必要な状態でない場合でも、要介護認定を受けたときに納得した選択ができるよう話し合っておくことで、介護サービスを上手に利用しましょう。

 

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