要介護5で受けられる給付金はどれくらい?費用や自己負担額の目安について

要介護5で受けられる給付金はどれくらい?費用や自己負担額の目安について

要介護5とは?

要介護5は、要介護認定の中で最も症状が重く、最も介護が必要な状態です。

寝たきりのことが多く、「食事やトイレなど日常生活のほぼ全てに介助が必要な状態」を指します。

要介護5の認定基準

厚生労働省は要介護認定の段階を判断する基準として「要介護認定等基準時時間」を定めています。要介護認定基準時間とは「1日の介護に必要な時間の目安」を示した指標です。

1日あたりの介護の時間が「110分以上またはこれに相当する状態」と判定された場合に、要介護5に認定される可能性が高いです。

また、重度の認知症の場合など意思疎通が難しい場合は、寝たきりなどでなくとも要介護5と認定されるケースも多いです。

​​要介護5の状態

要介護5の具体的な状態を見ていきましょう。

・立ち上がったり、歩いたりすることがほとんどできない

・一日中寝たきりの方も多い

・トイレや衣服の着脱、排泄、食事などの生活全般に介助を必要とする

・理解力の低下が見られ、問題行動を起こす場合がある

・意思伝達が困難になる場合がある

このように、要介護5は日常生活の全般で介護を必要とする状態で、寝返りができない、おむつが必要、水や食事を飲み込むことも困難な場合が多いです。支援者(介護家族・ビジネスケアラー)の負担も大きくなります。

要介護5で利用できる介護保険サービス

要介護5と認定された方は、すべての介護保険サービスが利用できます。利用できる介護保険サービスの種類に制限もありません。

要介護5で介護保険サービスを利用するには、まず、ケアマネジャーにケアプラン(介護サービス計画書)を作成してもらう必要があります。ケアマネジャーが、事業者や市区町村との連絡や調整を行います。そのため、利用するサービスについては、ケアマネジャーに相談し、随時連携しながら検討していきましょう。

受けられる介護保険サービスは、自宅介護、施設入居、介護用具のレンタルなど様々です。要介護5で利用できるサービスについて詳しくはこちら(58記事のリンク)をご覧ください。

関連記事:【一覧表で比較】介護保険サービスとは?種類や内容をわかりやすく解説!

 

要介護5でもらえるお金はどれくらい?

介護費用について計算するビジネスケアラー

区分支給限度額(月々利用できる介護サービス費用の上限額)は、要介護度別に定められています。要介護5は最も症状が重く、最も介護が必要な状態のため、給付金も最も高い金額になります。

給付金の限度額 

要介護5の区分支給限度額は「36万2,170円(1ヶ月当り)」です。

この限度額のうち、所得に応じて1~3割が自己負担額となります。

要介護5の区分支給限度額
362,170
自己負担の割合 1割 2割 3割
自己負担額 36,217円 72,434円 108,651円

1割負担:65歳以上の多くの方(年金収入のみで暮らす方、第2号被保険者、市区町村税非課税の方、生活保護受給者)

2割負担:年間所得が280万〜340万円の方、夫婦の合計年間所得が346万円以上の方

3割負担:年間所得が340万円以上の方、夫婦の合計年間所得が463万円以上の方

給付金限度額を超えたサービスを利用する場合は、超過分は全額自己負担となります。

高額介護サービス費制度 

また、高額介護サービス費制度というものもあります。1ヶ月に支払った利用者負担の合計が、負担限度額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。

◆高額介護サービス費制度の申請方法

①負担限度額を超えると、自治体から高額介護サービス費の支給申請書が送られてきます。
 この申請書を指定の窓口に提出します。

②申請が受理されたら、指定した口座に振り込まれます。

◆高額介護サービス費制度の基準と上限額

所得ごとに上限額が異なります。具体的には以下の表の通りです。

また、介護に関する費用の全てが支給対象となるわけではないため、詳しくはケアマネジャーや自治体に確認してみましょう。

◆高額介護サービス費制度の自己負担上限額

課税所得(区分) 月額の自己負担上限額
課税所得690万円以上(年収およそ1,160万円以上)の世帯 140,100円
課税所得380万円~690万円未満(年収およそ770万円~1,160万円未満)の世帯 93,000円
市町村民税課税~課税所得380万円未満(年収およそ770万円未満)の世帯 44,400円
世帯全員が市町村民税非課税の世帯 24,600円
世帯全員が市町村民税非課税の世帯のうち
前年の課税年金収入額+その他所得
の合計が80万円以下の個人
15,000円
生活保護受給者の個人 15,000円

紙おむつ給付とおむつ代助成制度 

寝たきりの方が多い要介護5の場合、おむつ代の負担も大きくなります。そのため、各自治体では「紙おむつ給付とおむつ代助成制度」を行っています。在宅で介護をしている方へ、紙おむつを現物支給してくれるという制度です。利用者本人が入院している場合は、現金給付となります。

利用条件やおむつ代の負担限度額は各自治体で異なりますが、5,000~1万円程度が多いようです。詳細は各自治体へ確認しておきましょう。

障害者控除 

障害者手帳の交付を受けている場合は、介護保険と併用して障害者控除を受けられます。また、それ以外でも障害者控除の対象となる場合もあります。対象者と、それぞれの控除額を見ていきましょう。

対象者 控除額
障害者(障害者手帳を持っている方)※等級により例外もある 270,000円
特別障害者(身体障害者手帳の等級が1~2級の方、寝たきりで常時介護が必要な方) 400,000円
同居特別障害者(特別障害者と同一生計の配偶者または扶養親族と同居している人) 750,000円

要介護認定とは別に市町村長などの認定を受けないと、障害者控除の対象とはなりません。利用する場合は、各自治体に確認し申請を行いましょう。

住宅改修補助制度介護リフォームを行う場合の補助金制度

介護のために住宅をリフォームする場合、補助金を受け取ることができます。

支給額は、上限20万円(被保険者1人あたり)です。

所得に応じて1~3割が自己負担となり、上限20万円を超えた場合は全額自己負担となります。
受給の条件を見ていきましょう。

・住宅リフォームを行う利用者が、要介護認定で要支援、要介護の認定を受けている
・リフォームを行う住宅が、利用者の介護保険被保険者証の住所と同じ、かつ実際に利用者が住んでいる
・利用者が入院、福祉施設入居などで自宅を離れていない

上限額は一度で使い切らず、分割での利用も可能と大変便利な制度のため、ぜひ活用してみましょう。

▼関連記事
介護保険を使った住宅改修でできることは?支給金やリフォーム条件、申請手続きの流れを解説

在宅介護の費用が一番低いものの、施設入居の場合は月額利用料に食費や生活費が含まれているため、両者にそこまで大きな差はありません。

常に介護や見守りが必要になる要介護5は、支援者(介護家族・ビジネスケアラー)の負担軽減も考慮しながら介護サービスの活用や施設介護の利用を検討していきましょう。

 

まとめ

要介護5は、利用できる介護保険サービスに制限がなく、給付金の限度額も最も高く設定されています。

常に介護が必要な重い状態のため、施設への入居や介護サービスの活用を検討してみることをおすすめします。それぞれの家庭環境や介護者に合っているのはどんなサービスなのか、たくさんの知識・情報が必要になってくるので、家族だけで抱え込まず、担当のケアマネジャーへ相談してみましょう。

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『介護って結局いくらかかるんですか?』来たる大介護時代までに知っておくべきお金の問題

この記事の監修者

回答者アイコン金山峰之(かなやま・たかゆき) 介護福祉士、社会福祉士、准看護師。福祉系大学卒業後、20年近く在宅高齢者介護に従事。現場専門職の傍、介護関連の講師業(地域住民、自治体、国家公務員、専門職向け等)や学会のシンポジスト、介護企業向けコンサルティング事業、メーカー(ICT、食品、日用品等)へシニア市場の講演などを行っている。 厚生労働省関連調査研究事業委員、東京都介護人材確保関連事業等委員など経験。 元東京都介護福祉士会副会長。政策学修士。

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