今日の相談テーマ
仕事と介護との両立準備について役立つ情報をお届けするメルマガシリーズ。
具体的な相談事例を元に、知っておくべき知識をお届けします。
遠方で一人暮らしをしている80代の父が初期の胃がんの手術を受けました。
手術は無事に済みましたが、退院予定は立っておらず今後の見通しが立ちません。
今は私が仕事を休んで看病に来ていますが、そう長くは続けられない状況です。
この先どうなるのでしょうか。不安です。私も父も施設は考えておらず、退院後はできるなら自宅で過ごしたいと思っています。今やっておいたほうが良いことはあるのでしょうか?
退院日がはっきりしてからでは在宅介護の準備が間に合わない可能性もあります
術後すぐだと、どうなるのかを聞いても病院側から明確な答えがかえって来ないことも多いでしょう。
ただ、具体的にどういった選択肢があり、今からの準備が必要な選択肢がどれかを理解しておくと、負担を軽減することができます。ちなみに、一般的に入院後の方向性は4つのパターンです。
後期高齢者にとってみると、入院そのものが身体機能の急激な低下を引き起こす要因になります。
実際、高齢者が10日間寝たきりで過ごすと10年分の筋力が失われるというデータもあります。
若い健常者が入院するのとはちがい、病気の治療自体が成功したとしても、退院後の生活の質は最初から今までどおりとはいかないリスクもあることを留意しておきましょう。
この方の場合は、現時点ではお父様も娘様も施設は考えておらず、できる限り自宅で過ごしたいとおっしゃっています。一方ご相談者の娘様は仕事を休んでお父様をケアし続けることには限界があると感じています。
入院中に全く準備をせず退院し自宅介護となった場合、要介護申請の手続きや介護サービスの利用開始までに時間がかかってしまい(約1ヵ月)、その間ご家族が自力で介護をすることになりかねません。
退院日がはっきりしてからでは在宅介護になった場合の準備時間が足りないのが現実です。
実際には入院中に介護申請を行った方が、申請に必要な主治医の意見書などの必要書類も一気に準備することができます。
最終的にご相談者は、以下の行動をとられることになりました。
・自宅に戻る場合の準備について担当の看護師に相談
・入院中に介護申請を行うべきかを主治医に相談
その後退院調整係の看護師に相談し、入院中に介護申請を行われたそうです。
木場 猛(こば・たける) 株式会社チェンジウェーブグループ リクシスCCO(チーフケアオフィサー)
介護福祉士 介護支援専門員 東京大学文学部卒業。高齢者支援や介護の現場に携わりながら、 国内ビジネスケアラーデータ取得数最多の仕事と介護の両立支援クラウド「LCAT」ラーニングコンテンツ監修や「仕事と介護の両立個別相談窓口」相談業務を担当。 3年間で400名以上のビジネスケアラーであるご家族の相談を受けた経験あり。セミナー受講者数、延べ約2万人超。
著書:『仕事は辞めない!働く×介護 両立の教科書(日経クロスウーマン)』
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