グループホームとは?入居条件やサービスを簡単に分かりやすく解説

グループホームとは?入居条件やサービスを簡単に分かりやすく解説

ご家族が認知症と診断されて、目を離すことに不安がある支援者(介護家族・ビジネスケアラー)の方は少なくありません。認知症は見守りや介護が日常的に必要になってくるため、施設利用の検討を始められるケースが多くなってきます。

今回は、そんな認知症の方のための民間介護施設「グループホーム」の施設の特徴や入居条件、受けられるサービスや費用、施設選びのポイントなどをご紹介します。

 

グループホームとは? 

「グループホーム」は、認知症の高齢者を対象にした少人数制の介護施設。

正式名称は「認知症対応型共同生活介護」といい、住み慣れた地域で共同生活をしながら認知症のケアを受けられる「地域密着型サービス」です。

認知症の方の中には、急激な環境の変化を怖がる方や顔なじみに囲まれた少人数で暮らすということに安心感を持つ方もいるため、自宅に近い環境づくりを行うグループホームは認知症ケアの大きな特徴となっています。

特徴は以下のようなものがあります。

  • 5~9人の小規模なユニット単位で共同生活を行う
  • 1施設につき原則2ユニットまで。最大18人の小規模介護施設
  • 少人数で生活することでお互いが顔なじみとなり、混乱が少ない日常生活を送ることができる
  • 生活環境が大きく変わらない配慮がされているので、穏やかに過ごすことができる
  • 同じユニットの利用者と家事の役割分担を行ったり、会話を交わすことで、認知症の進行を和らげる効果がある
  • 必要な介助を受けながら、自分でできるところは自分で行い、自立した生活をサポートしてもらえる

部屋は原則個室

  • ひと部屋7.43㎡以上(和室の場合は4.5畳以上)と定められている
  • 個室には自宅で使い慣れた家具を持ち込むことができる
  • 食堂やリビングを共有し、掃除や食事の配膳・片付けなどは入居者が役割分担で行う

 

グループホームへの入居条件 

グループホームに入居するには、いくつかの入居条件があります。

  • 医師から認知症と診断されている方
  • 65歳以上で、要支援2または要介護1以上の認定を受けている方
  • 施設と同じ市区町村に住民票がある方
  • ひと通りの身の回りの世話が自分でできる方、共同生活に支障がない(看取りまで行なっている事業所もあるので各事業所へお問い合わせください)

グループホームは共同生活を行うため、暴言・暴力や疾患などにより他の入居者との暮らしが難しいと判断された場合は入居を断られる場合があります。

 

グループホームと介護付有料老人ホームの違い 

認知症の高齢者が利用できる民間介護施設には、グループホームと介護付有料老人ホームの2つがあります。

同じ民間施設ですが、2つの施設の間には、以下のような大きな違いがあります。

グループホーム 介護付き有料老人ホーム
入居者 医師から認知症の診断を受けた要支援2以上の方

身の回りの世話が自らできる方

施設のある市区町村に住民票のある方

65歳以上

自立〜要介護5までの方

認知症が進行した場合 他利用者との共同生活が困難な進行度になると入居不可 重度の場合も入居可能
医療・看護ケア 施設により異なる 認知症やそれ以外の疾患の医療・看護サービスを提供
規模 1ユニット5〜9名
施設全体で最大18名まで
大小様々(50〜90名程度が多い)
費用 公的施設の特養よりは高額

介護付き老人ホームより安い場合が多い

幅広いが比較的高額

 

グループホームで受けられるサービス

ストレッチをするシニアの男女とトレーナーの女性

グループホームには、認知症専門の知識や支援技術を持った介護スタッフが常駐しています。

ここでは、施設内で受けられるサービス内容を見てみましょう。

 

認知症のケアやリハビリ 

認知症の方のケアとして、見守りのほか地域の方との交流、レクリエーション、リハビリなどが行われます。

季節ごとの行事やイベントを取り入れる施設は多く、最近では地域の方との交流を取り入れる施設も増えています。

入居者の方が暮らしの豊かさを楽しむことで、認知症進行を遅らせる効果をもたらします。

 

看取りサービス

一部のグループホームでは看護師の配置があり、看取りも可能になっています。このため、最期までグループホームで過ごしたいと考えている方は、看護師の配置があることを条件に探すとよいでしょう。

 

日常生活サポート

日常生活のサポートとしては、一般的に以下のようなサービスが提供されています。

・食事提供・介助(入居者自らで行う配膳や後片付けのサポート)
・生活相談
・排泄や入浴の介助
・買い物代行

食事や入浴、買い物などについては、積極的なサポートというよりは、スタッフが補助しながら自分たちで行う形になります。

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医療的ケアについての注意点

グループホームには看護師の配置基準が存在しないため、原則的に医療サービスの提供は行われていません。服薬管理、日々のバイタルチェックなどの健康管理などに限られます。

日常的に医療的ケアが必要な方は、入居できない場合がありますので、ご注意ください。

 

グループホームの費用

グループホームにかかる費用は、入居時に必要な入居金と月額利用料に分けられます。

入居金も月額費用も、施設によって異なりますので、入居を検討の際は必ず確認をしておきましょう。

 

入居一時金や保証金

初期費用の入居金は、0〜数十万円と施設により大きく差がありますが、10〜50万円程度の施設が多くなっています。

入居一時金や補償金は賃貸住宅の敷金に相当し、一定期間内に退居した場合、施設が定めた償却期間・償却率に基づいて補修や清掃に当てられ、残りが返金されることがあります。

 

月額の利用料

月額利用料に含まれるのは、介護サービス費+日常生活費用が一般的です。

日常生活費に含まれる居住費は、居室の大きさや設備・地域などによって大きく異なり、一般的には都市部の方が高い傾向にあります。あくまでも目安としてご覧ください。

月額の介護サービス費用(自己負担1割の場合)
要介護度 1ユニットの施設 1ユニット以上の施設
要支援2 22,800円 22,400円
要介護1 22,920円 22,560円
要介護2 24,000円 23,610円
要介護3 24,690円 24,330円
要介護4 25,200円 24,810円
要介護5 25,740円 25,320円

※参照:厚生労働省「介護報酬の算定構造-介護サービス」(2021年4月) 

※料金例引用元:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000728262.pdf
学研:https://www.cocofump.co.jp/articles/kaigo/56/#17 ベネッセ:https://kaigo.benesse-style-care.co.jp/article/knowledge/nursinghome/chiiki/group

月額の日常生活費用

地方では月額10万円~15万円程度、都市部では月額15万円~30万円程度が目安です。
日常生活費は施設により内容が異なりますが、主に以下のような費用項目があります。

・家賃(住居費)
・食費
・光熱費
・管理共益費
・雑費(全額自己負担:おむつ代や理容代、日用品代、買い物代行代など)

グループホームの一般的な料金形態
費用内訳 費用の目安
初期費用(入居一時金/保証金) 0〜数十万円
月額費用

・家賃(住居費)

・食費(食材費など)

・その他費用(管理共益費・光熱費など)

地方:10〜15万円

都市部:15〜30万円

介護サービス費(自己負担1割の場合) 22,400〜25,740円
別途個別費用

・医療費/おむつ代/理容代/日用品代

個別の利用状況により自己負担

 

サービス加算金

サービス加算費とは、より専門的なケアや充実度の高い介護サービス提供のためにかかる費用となります。具体的には、以下のようなサービスが一般的です。

項目 詳細 1日当たりの費用
夜間支援体制加算 夜間巡回や緊急時に迅速に対応できるべく人員を増やし、見守り体制を拡充させるための費用 1日ユニット:1,500円/月

2ユニット: 750円/月

医療連携体制加算 医療ケアを充実させ、看護師の配置等の体制を整えるために発生する費用 1,170~1,770円/月
認知症専門ケア加算 認知症ケアの知識や経験を持つスタッフ(専門研修を修了した職員)を配置する際に発生する費用 3〜4円/日
退所時相談援助加算 退所後の介護サービスの利用などに関する相談の援助が実施された場合に指定の条件下で発生する費用 400円/回
看取り介護加算 看取りのための手厚い介護や体制を整えるための費用 死亡日:1,280円/日

死亡日前日および前々日:680円/日

死亡日以前4日〜30日:80円/日

引用元:https://www.cocofump.co.jp/articles/kaigo/56/#17

 

グループホームのメリットと注意点 

グループホームへの入居を検討する前に理解しておきたい、メリットと注意点をまとめてみましょう。

グループホームのメリット  

・少人数制の共同生活で、入居者同志のコミュニケーションも取りやすく、アットホームな雰囲気

・日常的な家事などを利用者自身がすることで、認知症の進行を和らげることが可能

・住み慣れた馴染みのある地域で生活を継続可能

・個室か準個室の部屋で、プライベートな空間を確保

・認知症の専門知識や技術を持つスタッフが常駐

・レクリエーションが充実

 

グループホームの注意点

・利用できるのは住民票がある市区町村の施設のみ

・要支援2または要介護1以上の認定、医師による認知症の診断が必要

・看護師がいない施設では、医療的ケアが不足

・少人数制のため、即入居ができない場合も

・特養と比べると入居費用が高額

・少人数のため、相性が悪い利用者がいると調整が困難

 

グループホームの入居手続きの流れ

介護施設のソファとテーブル

施設入居の申し込みは、原則的に各施設で行われます。
提出すべき書類は、施設によって異なりますので、必ず各施設に確認するようにしましょう。

施設選び

グループホームの施設を選ぶ際に、意識すべきポイントは次のようになります。

・施設の雰囲気
大切なのは、施設内の雰囲気が入居する本人の好みに合っているかどうかです。共同スペースの雰囲気、利用者やスタッフのコミュニケーションの様子なども見学の際にしっかり見ておきましょう。

・費用面
所有する資産や将来的な経済状況をご考慮の上、無理なく居住できる施設を選びましょう。

・医療・看護体制
持病をお持ちの方は、適切に対応できる環境が施設にあるかどうか、医療機関との連携があるかをチェックしましょう。

・入居待ち確認
グループホームは少人数制のため、施設によっては数ヵ月、場合によっては数年といった入居待ち時間があることも。即入居を希望する場合は、他の施設もあたってみましょう。

 

申し込みから契約まで

施設を見学し、入居を希望するグループホームが決まったら、入居申込書に必要事項を記入後、必要書類とともに施設へ提出しましょう。必要な書類については、各施設にご確認ください。

提出前か後に担当者との面談も行われ、「自立度」や「要介護度」「資産や収入の額」などを総合的に考慮の上、入居の判定が行われます。

審査に通過すると、入居の正式契約となります。

 

まとめ

グループホームは、高齢者の方が住み慣れた地域での暮らしを継続できる地域密着型サービス。少人数制の施設で、専門知識を持った職員による適切な認知症のケアを受けることができます。

入居待ちをしなければならないことも多いですが、アットホームで暮らしやすい介護施設ですので、ご家族が認知症になられた場合には、入居をご検討してみてはいかがでしょうか。

 

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この記事の監修者

回答者アイコン金山峰之(かなやま・たかゆき) 介護福祉士、社会福祉士、准看護師。福祉系大学卒業後、20年近く在宅高齢者介護に従事。現場専門職の傍、介護関連の講師業(地域住民、自治体、国家公務員、専門職向け等)や学会のシンポジスト、介護企業向けコンサルティング事業、メーカー(ICT、食品、日用品等)へシニア市場の講演などを行っている。 厚生労働省関連調査研究事業委員、東京都介護人材確保関連事業等委員など経験。 元東京都介護福祉士会副会長。政策学修士。

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