介護に必要なお金について、相場観を知っておきましょう
今回は、ご自身の親の介護はまだ先・・・と感じておられる皆さんに、将来ビジネスケアラーとなっても普通に働き続けられる体制を整えるため、今だからこそできる、やっておくべきことについてお届けしたいと思います。
介護保険制度を有効に活用する
まだまだ自分の両親は若いから、と思っている方でも、もし将来ご家族に介護が必要になったらお金はいくらかかるのだろうか、と不安に思う方も多いと思います。
実は、日本の介護保険制度は非常に充実していて、要介護認定を受ければ、実際の金額の1-2割の負担で介護サービスを利用することができる仕組みになっています。大体の相場観は以下の通りです。
介護サービスの相場観
- 介護ヘルパーが1時間350円で依頼できる
- 日中デイ・サービス(食事・入浴・おやつ込み)が1日1500円程度で利用できる
- 所要時間3分であなたにあった介護サービスがわかる
- 介護プランを設計し、介護サービスを手配してくれるケアマネジャーに無料でついてもらえる
- 介護ベッド等の福祉用具を1割負担で借りられる
- 入居型介護施設やサービス付き高齢者住宅への入所が1~3割負担でできる
ある程度「お金」の準備ができていると、両立の選択肢は広がります
実際のご家族の介護費用の平均値をみると、月額7~8万が相場です。在宅介護か施設介護かで費用感は異なりますし、介護保険外の各種サービスをどこまで使いたいのか、施設介護であればどんな施設に入居したいのか、そして何よりも介護期間をどれくらいの長さで想定するのかによって、トータルな費用は大きく異なります。
介護に使えるお金がある程度準備できていると、使えるサービスの幅も質も大きく広がりますので、あらかじめ相場観を理解したうえで、目標額を決めて蓄えておくと安心です。
下図のように、月額の介護費用平均は7~8万円。
ただしばらつきが大きく、施設介護になると平均金額も月額10万円を超えます。
親御さんと介護への相場観を共有してすり合わせておくと安心
なお、総介護費用は、月額費用だけでなく、初期費用(家のリフォームや福祉用具のレンタル、施設入居資金等)がかかることも念頭においておく必要があります。かなりの幅がありますが、1人あたりの総介護費用は平均600~3500万ともいわれていますので、決して少ない金額ではありませんから、差し迫ってからではなく、「まだまだ先」の今から準備しておけるとよいと思います。
親御さんご本人が意識してご準備をされていることも多いです。「介護サービスの組み合わせ」「介護期間の長さ」「疾病の内容」など人によって金額にばらつきが大きいので、今のうちに相場観を共有したうえで、ご家族でいざというときの準備についてすり合わせておかれると安心ですね。
この記事の監修者
木場 猛(こば・たける) 株式会社チェンジウェーブグループ リクシスCCO(チーフケアオフィサー)
介護福祉士 介護支援専門員 東京大学文学部卒業。高齢者支援や介護の現場に携わりながら、 国内ビジネスケアラーデータ取得数最多の仕事と介護の両立支援クラウド「LCAT」ラーニングコンテンツ監修や「仕事と介護の両立個別相談窓口」相談業務を担当。 3年間で400名以上のビジネスケアラーであるご家族の相談を受けた経験あり。セミナー受講者数、延べ約2万人超。
著書:『仕事は辞めない!働く×介護 両立の教科書(日経クロスウーマン)』
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