「家族が認知症のような気がするときに、初動はどうしたらいいだろう」
「加齢による物忘れのような気もするが見極める方法はないだろうか」
「本当は病院で検査を受けてほしいけど、切り出せない」
高齢の親御さんやご親族をもつ方からはこのようなお悩みをよく伺います。 今回、多くの認知症の患者さんやそのご家族とともに歩んでこられた愛知県豊橋市・福祉村病院副院長 伊苅弘之先生ご講演のうち、早期発見のポイントについてお話しいただいた部分の抄録をご紹介いたします。
まず、認知症の原因となる四大疾患を、大きく2系等に分けて見ていきます。
1つめは、アルツハイマー型、嗜銀顆粒性の認知症です。これらは、記銘力障害といって軽症の段階からちょっと前のことをすぐに忘れます。基本的な検査法をご紹介します。
無関係な3つの言葉を覚えてもらい、1分ほど違うことをして、その後、3つの言葉を思い出してもらう
例:キャベツ、電話、らくだという言葉を覚えてもらう。
その後100から順に7を引き算してもらう。
間違えたところで、最初に覚えてもらった3つの言葉が言えるかを確認する。
アルツハイマー型や嗜銀顆粒性の認知症の場合、1分待たずとも、この段階で、3つとも言えません。認知症として初期の段階だったとしても答えられません。
横4〜5cm、縦7〜8cmのカード10枚に書かれている10個の単語を順に提示して、声に出して読みながら覚えてもらい、10枚終わったところで何があったかを尋ねる。
覚えているものをひとしきり言ってもらったら、再度、10枚のカードを見せて、声に出して覚えてもらい、何があったかを訪ねる。これを繰り返す。
健常者にやってもらうと、繰り返すうちに答えられる単語が2つ、3つ増えます。なんでこんな馬鹿馬鹿しいことをと思っていても自然と増えてしまうんですね。
ところが、アルツハイマー型認知症や嗜銀顆粒性認知症の方の場合は、繰り返しても覚えられる単語が、最初3枚だったら、その後もその後も3枚といった具合に、増えないんです。常に1回目なんですね。
アルツハイマー型や嗜銀顆粒性のMCIレベルの時に見られる代表的な例です。
もし、こういうことがあればこのご病気の始まりじゃないかと気づいてください。
もう一つの系統はレビー小体型認知症やアルツハイマー型とレビー小体型認知症の合併症です。軽症の段階から視覚的にゆがむのが特徴です。アルツハイマーとの合併症でも、レビー小体型単体の時に比べると少ないながらも、後段で紹介するような症状が出てきます。
多少記憶が悪くなっているということが、ご自身で分かっているほか、ぼーっとしているときと調子がよいときの差が大きく、ぼーっとしていた時にビックリするような失敗をしてしまうこともあります。そして、やってしまった大きな失敗をご本人は覚えているので、ご自身の状態の変化に悩み、抑うつ的になります。
レビー小体型認知症のMCIレベルの時に見られる代表的な例です。
もし、こういうことがあればひょっとしたらレビー小体型認知症の初期の段階かもしれないと気づいてあげてください。
こういうような症状はご本人が訴えない限り、服を選ぶのに時間がかかるなとか、つまづきやすくなったのは年のせいだろうと考えてしまうこともあると思います。でもそうじゃない、レビー小体型認知症の初期である可能性もあるということも覚えておいていただきたいと思います。
なお、視覚のゆがみ以外でも、注意力や集中力が変動しやすくなる傾向があります。人はだれでもそういったところはありますが、レビー小体型認知症の時には特に差が大きくて、ぼーっとしているときには、コーヒーの中にお茶をいれてしまうというような失敗をしてしまったということも聞いたことがあります。
このように認知症とひとことで言っても、いろいろな病気があり、それぞれに特徴があります。早期発見のための気づきのポイントも異なりますので、今日のお話が皆さんのお役に立てば幸いです。
(2022年5月26日「認知症予防の最前線と早期発見のポイント」セミナーより)
同じ事を繰り返し言っていたり、ついさっき話したことを忘れていたりなんてことが重なると「認知機能が低下している可能性があるんじゃないか」と心配される方もいらっしゃることかと思います。
一方で、認知機能のことについては、なんとなく切り出しにくいということはありませんか?
病院で受けられる血液検査は、ご家族の方と一緒に健康を考えるきっかけの一つになるかもしれません。
味の素(株)が技術開発をした「アミノインデックス®リスクスクリーニング(AIRS®)」は、1回5ml程度の採血で、現在がんである可能性、10年以内に脳卒中・心筋梗塞を発症するリスク、4年以内に糖尿病を発症するリスク、アミノ酸レベル、現在認知機能が低下している可能性について評価する検査です。
※AIRS®はがんであるか否かおよび認知機能が低下しているか否かの判断、並びに上記疾病の生涯に渡る発症リスクを予測するものではありません。
※AIRS®は診断・治療・予防に直接寄与するものではありません。
a.tamemoto