子育て×介護の両立に追い風!ダブルケアラー支援法案がめざす未来

子育て×介護の両立に追い風!ダブルケアラー支援法案がめざす未来

 

はじめに

2024年4月10日、国民民主党の伊藤たかえ議員が「ダブルケアラー支援推進法案」を提出しました。この法案の目的は、育児と介護という二重のケア責任を負う人々、いわゆる「ダブルケアラー」を支援するために提出された法案です。

当社調べでは、12歳以下の子育てをしながら介護を担うダブルケアの状況にありながら、仕事の両立を目指すビジネスパーソンは、30代で40.38%、40代では59.4%にも上ることが明らかになっています。働きながら、子育てや介護を抱えているビジネスケアラーはマイノリティーではなく、マジョリティーである現状が浮かび上がります。

今回は、子育てと介護の両立の背中を押す「ダブルケアラー支援推進法案」の内容について、わかりやすく解説していきます。

 

この記事でわかること

  • 子育てと介護を同時にしている人を助けるための法案が出されたことがわかる。
  • 働く時間を調整できるようにしたり、必要な情報を届けたりする支援が考えられている。
  • 支援がうまく届かずに困っている人がいることや、どれくらいの人が困っているかの調査が必要とされている。

 

ダブルケアラー支援推進法案の主な内容

国と地方自治体に向けた法案の主な施策の内容は、以下の通りとなります。

 

1,柔軟な働き方の促進
・ダブルケアラーが希望や事情に応じて柔軟な働き方を選択できるよう、労働時間の短縮、育児休業、介護休業、在宅勤務、再就職支援などの制度を導入・促進を行う。

2,事業主による取組の公表
・事業主がダブルケアラーの負担軽減に取り組む姿勢を促進するため、その実施状況を公表する。

3,必要なサービスの情報提供
・ダブルケアラーが必要なサービスを適切に利用できるよう、情報提供や相談サービスを実施すること。

4,広報活動と啓発活動の充実
・ダブルケアラーに対する誤解や偏見を解消し、国民の理解を深めるため、広報活動や啓発活動を充実させる。

5,学校教育における取り組み
・児童や生徒が高齢社会における生活や働き方、育児・介護の負担について理解を深めるため、学校教育における必要な施策を講じる。

 

ダブルケアラーに生じやすい、制度の狭間で取りこぼされるケース

子育てと介護の重なるダブルケアラーは、マルチタスクの状態であり、精神的・肉体的な負担が大きい点が挙げられます。また、制度間で適切な支援に結びつきにくく、個人で抱え込みやすい状況が発生する傾向があります。

例えば、以下のようなケースをよく耳にします。

  • 親が入院したことにより入退院の手続きや面会に行く必要がありますが、病院は基本的には未就学児が入れないところが多く、その場合、子どもの託児先が見つからずに対応に困るケース
  • 親の介護が始まり体制が整えられずに正職員から非常勤に変更したが、子どもの保育園の入園のタイミングで、労働時間数が減ったため、認可保育園の入園の加点が下がり、認可保育園の入園が難しくなったケース

 

実態調査による課題把握が望まれる

国のダブルケアに関する実態調査は、現在のところ、2016年が最後となっています。

「ダブルケアラー支援推進法案」では、適期的な調査の実施とその結果の公表を義務付けています。また、調査結果を踏まえて、施策の見直し等の措置を講ずると明記されています。

もし定期的な実態調査が行われることが実現すれば、ビジネスパーソンの子育てや介護と仕事の両立の課題や望まれる対策も見えてくる可能性があります。

 

まとめ

ダブルケアラー支援推進法案は、日本社会において増加するダブルケアラーならびに介護と仕事の両立を目指すビジネスケアラーに対する包括的な支援につながる可能性があります。この法案がもし成立すれば、多くのダブルケアラーが仕事と家庭のケアを目指しやすくなるでしょう。

そして、家庭と仕事の両立の課題についての解決策を見いだし、多くのビジネスパーソンの生活を支援する一助となることを期待しています。

 

法案の詳しい内容については、国民民主党の公式資料をご参照ください。

【出典】
国民民主党 ニュースリリース【法案提出】「ダブルケアラー支援法案」を参議院に提出

育児・介護二重負担者の支援に関する施策の推進に関する法律案 概要(ダブルケアラー支援推進法案)

【調査レポート】5人に1人が「複数人介護」30、40代の「育児&介護」ダブルケアも加速。配偶者に親介護を頼るビジネスケアラーは少数派に ━ビジネスケアラー最新実態調査
調査機関:株式会社リクシス
調査期間:2019 年5 月から2022年5 月末
調査手法:株式会社リクシスが提供する仕事と介護の両立支援プログラム「LCAT」の企業受講者の診断回答結果を解析
調査対象:従業員500名以上の企業従業員(LCAT企業受講者)
サンプル数:ビジネスパーソン30,878名

 

この記事を書いた専門家

室津瞳室津 瞳(むろつ・ひとみ)

NPO法人こだまの集い代表理事 / 株式会社チェンジウェーブグループ シニアプロフェッショナル / ダブルケアスペシャリスト / 杏林大学保健学部 老年実習指導教員

介護職・看護師として病院・福祉施設での実務経験を経て、令和元年に「NPO法人こだまの集い」を設立。自身の育児・介護・仕事が重なった約8年間のダブルケア経験をもとに、現場の声を社会に届けながら、働きながらケアと向き合える仕組みづくりを進めている。

【編著書】『育児と介護のダブルケア ― 事例からひもとく連携・支援の実際』(中央法規出版)【監修】『1000人の「そこが知りたい!」を集めました 共倒れしない介護』(オレンジページ)

この記事の監修者

サポナビ編集部

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