#介護事業所インタビュー

【特集】介護事業所インタビューvol1.サニーウインググループ編 ~高齢者のお困りごと解決のワンストップサービスとは~

#介護事業所インタビュー

日本全国の介護事業者をピックアップ!今回は、新潟県新潟市(人口約78万人)及び新潟県見附市(人口約4万人)にて複数の介護事業を展開するサニーウインググループ代表の皆川敬(みながわたかし)さんにインタビューを行いました。

皆川敬(みながわ たかし)氏
サニーウインググループ代表、株式会社メディカル・エージェンシー・ジャパン代表、社会福祉法人ウェルネス理事長


早稲田大学卒、グロービス経営大学院経営学修士(MBA)。新潟県介護事業者連盟副会長、新潟県プロティアン・キャリア普及協会代表理事、一般社団法人日本グリーフ専門士協会理事。趣味はベランダ菜園、読書、映画鑑賞。
     

 

高齢者のお困りごと解決のワンストップサービスとは?

編集部:皆川さん、お時間をいただきありがとうございます。早速ですが、サニーウインググループについて、簡単にご説明をお願いします。

皆川氏:サニーウインググループは、有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、訪問介護(看護)、グループホーム、小規模多機能型居宅介護、交流サロン、不動産事業・飲食事業、御用聞きサービス、クリニックまで運営する、企業コングロマリット*1です。元々は、2010年の訪問介護事業からスタートしたサニーウインググループですが、ご利用者様のニーズに対応していく中で、ワンストップで高齢者の生活全体を支援するサービスを整えてきました。
*1 他業種にまたがる企業体のこと

編集部:一般には、介護保険内で事業を完結する介護事業者が多い中で、珍しい事業形態をとられていますよね?

皆川氏:珍しいと言われると、少し違うように思います。高齢者にとって介護事業者は、日常生活の中で必要とする「部分」に過ぎません。本当の意味で利用者の立場になって考えてみると、求められているのは、生きていくために必要となるサービスをなんでも気軽に頼める「生活全体」の相談先だと思うのです。サニーウインググループは、そうしたご利用者様からの生活全般のご要望に対して、できるだけお断りすることなく「なんとかしよう」と考える中で事業規模を拡大してきました。私からすれば、サニーウインググループの現在は、顧客ニーズにできる限り対応しようとした結果なのです。

編集部:生活のニーズとは、具体的にはどのようなものですか?

皆川氏:もちろん、介護に関するニーズもあるのですが、例えば高齢者の生活には次のようなご要望があります。

▼実際にあったご要望例

「ご自身が講師を務める講演会に付き添ってサポートして欲しい」

「ご主人が入院されている間、愛車の手入れをして欲しい」

「自転車が動かないから直して欲しい」

「三越に行ってお気に入りの店から買い物してきて欲しい」「それを使って調理、一緒に食事を楽しみたい」

「一緒に映画に行ってほしい」

「孫の結婚式の日にずっと付き添ってもらいたい」

「水道の出が悪い・・どこに頼めばいいんだろう」

「パソコンの使い方を教えて欲しい」

通常の介護保険内のサービスでは、このような生活のニーズに対応することはできません。だからと言って、こうしたニーズを無視してしまえば、ご利用者様が本当に望んでいる生活の支援にはならないでしょう。

編集部:素晴らしいですね。しかし・・・そうした御用聞き的なサービスというのは、利益が出にくい、決して儲からないサービスになると思うのですが、どうでしょう?採算が取れるのであれば、どこの介護事業者も、似たようなサービスを提供していると思いますし。

皆川氏:おっしゃる通りです。こうした、ご利用者様の生活ニーズに対応しても、利益にはなりにくいです。ただ、大きな目線から考えると、サービスを点ではなく、その地域における面で展開していくと、利益ではなく、信頼が獲得できます。特定の地域において絶大な信頼を得られれば、チラシを撒いたり、ポスターを貼ったりといった広告宣伝をしなくても、新たな顧客が獲得できたり、サニーウインググループで働きたいという人材が向こうから来てくれます。ある意味で、サニーウインググループは、そうした広告宣伝費を使う代わりに、利益にならなくても、高齢者が必要とするサービスを提供することにコストを支払っているとも言えるでしょう。

買い物弱者を、地域課題として捉える

編集部:そういえば最近、サニーウインググループの移動販売事業に関するクラウドファンディングが、介護業界でも話題になりました。移動販売のニーズは、日本全国で増えてきていますが、一般には利益になりにくいという理由で、十分なサービス提供がなされていないと聞きます。

皆川氏:はい。過疎化によって、どんどん増えていく買い物弱者が地域でも目立つようになってきました。買い物弱者になるのは、運転免許の返納などを済ませた高齢者であることも多く、サニーウインググループとしては、これは無視できないと考えました。高齢者にとって、買い物は、ただ生きるための手段というだけでなく、それ自体が生活のいろどりであり、楽しみでもあります。そこでサニーウインググループは、これを地域課題として発信し、支援者を募ることで実現しています。前回のクラウドファンディングでは約286万円を集めることに成功しました。それでも移動販売事業単体では赤字なのですが、こうした社会課題と本気で向き合っていくからこそ、サニーウインググループを選んでくれる地域の方々も増えていくのだと考えています。

どんなご要望にも、できる限り対応していく姿勢(ゴミ屋敷化してしまったご高齢者住まいの解決事例)

編集部:生活に必要となるあらゆることをサービス提供しているサニーウインググループだからこそ対応できたという事例はありますか?

皆川氏:あるゴミ屋敷のケースがありました。認知症で一人暮らしの高齢女性のご自宅が、ゴミ屋敷化していました。ご家族となるお子様も、健康を害しており、そちらにゴミ屋敷をなんとかするということを頼めない状態でした。

初めは、地域の社会福祉協議会と、他社のケアマネジャーがなんとかしようと訪問を繰り返していたのですが、そもそもゴミだらけでサービスに入れないとのことでした。そこで、サニーウインググループにご依頼がきました。

グループの一員である、御用聞きサービスを展開する「ひなた相談所」の担当者が、グループのケアマネジャーと一緒に訪問しました。しかしご本人は、ごみ処分に納得されずに拒否します。「まだ何を処分するか決めてないから、それがハッキリしてから連絡したい」とかなり不安定な状態です。そこで「ひなた相談所」から、週1回、2名で訪問して一緒にお話ししながら、何が必要で何を処分してもよいか、仕分け作業をやりませんか?と提案しました。ご本人の要望にできる限り寄り添う態度を丁寧に示すと「それなら・・・」と本人も受け入れてくれたのです。その後約4か月をかけて毎週訪問し、ご本人とお話しながら整理していくというコミュニケーションを大切にして片づけを継続し、最終的には家の中すべて綺麗に片付けることができました。このプロセスを通して、ご本人との信頼関係を築くことができ、その後の介護サービスもスムーズに受け入れてくれるようになったのです。

編集部:介護サービスから関係性が始まるのではなく、生活ニーズへの対応によって信頼を築き、その後、必要であれば介護サービス「も」提供するということですね。

皆川氏:そうです。このような対応は、一般の清掃業者にも、一般の介護事業者にも、なかなかできないと思います。自分たちは清掃業者だ、自分たちは介護事業者だと、自分たちのことを◯◯の専門家だと規定してしまうと、生活全般という視点からすれば、必ずポテンヒット*2が生まれてしまうのではないでしょうか。だからこそサニーウインググループは「高齢者のお困りごと解決のワンストップサービス」という形で、自分たちが提供するサービスを特定の専門性に限定するのではなく、どんなご要望にも、できる限り対応していくという姿勢で、事業を拡大してきたのです。
*2 仕事を誰がやるのか分からないまま放置されること

介護家族(ビジネスケアラー)の方へのメッセージ

編集部:最後に、介護事業者の選定に悩んでいる読者のために、メッセージをお願いします。

皆川氏:高齢者が抱えている課題は非常に複雑です。そうした課題を、ご家族が丁寧に紐解いて、それぞれの課題解決をお願いできるサービス事業者を個別にご家族が選んでいくというアプローチもあるでしょう。しかし中には、私たちサニーウインググループのように、高齢者が抱えている課題を整理しつつ、どのようなご要望にも可能な限り対応しようとするサービスを展開している事業者も存在しています。

高齢者の生活に必要なのは、介護だけではありません。その高齢者が、自分らしく生活していくために必要となる支援を一気通貫で行おうとする事業者だからこそ、できることもあると思います。もちろん「部分」としての介護サービスだけで生活が成り立つケースも多いと思います。しかしもし皆さま読者が「全体」としての生活支援を求めているとするなら、そうした事業者も探してみてください。

 

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サニーウイング関屋
サニーウイング鳥屋野デイサービスセンター

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