思い込みから幻覚や妄想まがいの言動があるのは認知機能の低下した方には多く診られます。
いまの認知症ケアの実践方法からすると、思い込みからのとんでもないような言動が起こらないような生活環境を整えることが一番重要と言われています。思い込みなどの問題となる行動は、ひとりの時間が長い方ほど多く起こるし、楽しいことやうれしいことがない刺激の少ない生活環境が引き金になると言われています。
ならば、デイサービス利用を増やす、ヘルパーさんにかかわってもらう、家族や関係者が極力かかわる時間を増やすなど、そのような努力をすると、思い込みからの問題は確実に減ります。
しかし、ずっとドラえもんのようなロボットが終日いつもそばにいてくれるような生活なら絶対といっていいほどこのようなことはおこらないのですが、そうはいきませんね。
いったん発生したら、どうするかを説明します。病気のタイプや残っている思考判断力のレベルで対応が変わると言われています。
レビー小体型認知症の場合は病気が悪化しても思考判断力が保たれている場合が多く、そのような方には「訳の分からないこと言わないで正気にもどって」「しっかして、私の言うことききなさい」など現実をつきつけていくのが正解といわれます。
逆にアルツハイマー型認知症のようにちょっと前のことを忘れて思考判断力が低下していると、いくら説明しても理解してもらえなかったり、わかってもすぐに忘れたりして繰り返したりするので、いったんは聞き流すように否定しないで、すぐに関心をそらすとかタイミングをずらすようにするのがプロの対応と言われています。「お茶でも飲んで気分変えよう」「美味しいもの食べに外出しようか」とかが具体的な行動です。