親の思い込みに対する対応について

親の思い込みに対する対応について

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思い込みにどう対応したらいいかわからない。肯定すればいいのかちゃんと説明するのが正しいのか。

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思い込みから幻覚や妄想まがいの言動があるのは認知機能の低下した方には多く診られます。

いまの認知症ケアの実践方法からすると、思い込みからのとんでもないような言動が起こらないような生活環境を整えることが一番重要と言われています。思い込みなどの問題となる行動は、ひとりの時間が長い方ほど多く起こるし、楽しいことやうれしいことがない刺激の少ない生活環境が引き金になると言われています。

ならば、デイサービス利用を増やす、ヘルパーさんにかかわってもらう、家族や関係者が極力かかわる時間を増やすなど、そのような努力をすると、思い込みからの問題は確実に減ります。 しかし、ずっとドラえもんのようなロボットが終日いつもそばにいてくれるような生活なら絶対といっていいほどこのようなことはおこらないのですが、そうはいきませんね。

いったん発生したら、どうするかを説明
します。病気のタイプや残っている思考判断力のレベルで対応が変わると言われています。

レビー小体型認知症の場合は病気が悪化しても思考判断力が保たれている場合が多く、そのような方には「訳の分からないこと言わないで正気にもどって」「しっかして、私の言うことききなさい」など現実をつきつけていくのが正解といわれます。

逆にアルツハイマー型認知症のようにちょっと前のことを忘れて思考判断力が低下していると、いくら説明しても理解してもらえなかったり、わかってもすぐに忘れたりして繰り返したりするので、いったんは聞き流すように否定しないで、すぐに関心をそらすとかタイミングをずらすようにするのがプロの対応と言われています。「お茶でも飲んで気分変えよう」「美味しいもの食べに外出しようか」とかが具体的な行動です。

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回答者:伊苅弘之(いかり・ひろゆき)

医療法人さわらび会福祉村病院副院長。医学博士。日本老年医学会・日本老年精神医学会の専門医・指導医。 1957年4月25日生まれ。愛知県名古屋市出身。豊橋市に拠点を構える信州大学医学部卒業後、名古屋大学医学部老年科学教室に入局。記憶に関する基礎実験を行い医学博士を取得。1993年1月から1995年3月までアメリカ国立衛生研究所客員研究員。帰国後、名古屋大学医学部附属病院にて「ものわすれ、認知症外来」を5年間行われました。1999年4月より高齢者のための総合的施設群(1,000人以上の高齢者が生活している)の中心となる福祉村病院に勤務されています。

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