認知症の進行は遅らせられるのか、その効果の判定について

認知症の進行は遅らせられるのか、その効果の判定について

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認知症の進行を遅らせる事は、実際に可能なのか?遅らせられた効果を、どの様に比較判定するのか?

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認知症の悪化を遅らせることができるというデータは広く世界中にあります。効果の判定は記憶や判断力などの認知機能を評価する神経心理検査を行い評価できます。

この認知機能の検査のデータもあふれています。簡単なものでは、MMSEという30点満点の知能検査ですが、パーソンセンタードケアを実施せず生活環境に関与せず、内服薬などの悪化を遅らせる治療もしないでいると、認知症の90%を占める脳が慢性進行性に萎縮していく認知症では、およそ1年で2,3点程度低下していくことになっています。

それに対して、生活環境を整備して、内服なども使用していると、実際には、1年で0.5点程度の低下に抑えることができている方も多数おられます。評価方法は、CDR(clinical demantia rating)という評価スケールにあるように、記憶、判断力、見当識、家庭での活動、関心趣味や社会活動、自立して生活できているか、という6項目を総合評価して決めますが、家庭での生活ぶりを確認したら、悪化しているかどうかは簡単に判定可能です。

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回答者:伊苅弘之(いかり・ひろゆき)

医療法人さわらび会福祉村病院副院長。医学博士。日本老年医学会・日本老年精神医学会の専門医・指導医。 1957年4月25日生まれ。愛知県名古屋市出身。豊橋市に拠点を構える信州大学医学部卒業後、名古屋大学医学部老年科学教室に入局。記憶に関する基礎実験を行い医学博士を取得。1993年1月から1995年3月までアメリカ国立衛生研究所客員研究員。帰国後、名古屋大学医学部附属病院にて「ものわすれ、認知症外来」を5年間行われました。1999年4月より高齢者のための総合的施設群(1,000人以上の高齢者が生活している)の中心となる福祉村病院に勤務されています。

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