嘘をつく親に怒ってしまう。どう考え方を変えれば優しくできますか?

嘘をつく親に怒ってしまう。どう考え方を変えれば優しくできますか?

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嘘をついたりごまかしたり、デイサービスを勝手にキャンセルしたりする親につい怒ってしまいます。どのように考え方を変えれば優しく接することが出来ますか。

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認知機能の低下下方は、平気で嘘ついたり、ごまかしたりするのは、ごく一般的で当たり前にたくさんみられます。あなたの親だけではありません。本人は好きで嘘をわざとついているのではありません。ひどく聞こえたら申し訳ないのですが、周囲が上手に対応して、本人が嘘をつかないように対応していくことで、ご質問のような状態はほとんど消失します。

たとえば、デイサービスにいき、帰ってきた後に、「今日はデイで何をしたの」と質問しますが、記銘力障害といって、すぐ前のことをすっかし直ぐに忘れる方ですと、デイでしたことなどすべてすっかり忘れています。

本人の立場になると、「わすれた、とか、言うと、駄目じゃない憶えてないとよけい悪くなるとか、ひどいこと言われるような気がする、まあ、適当に言っておくか」というように考えて、事実と違うことを言う、そうすると連絡票と違うので、「嘘言って、適当にごまかさないで」という感じですが、プロの認知症ケアの教科書には、忘れてしまっているであろうことを質問してはいけない、とはっきり書かれています。嘘や作話をさせるような行為につながるからです。「デイはたのしかったね、また行こうね」でいいわけです。

考え方を変えるのではなくて、対応や応対の仕方を工夫する、プロがしているやり方に近づけることがポイント
です。基本はパーソンセンタードケアです。その方が快適に、幸せを感じるような対応や生活環境作りになります。勝手に自分でデイサービスをキャンセルする方もけっこうおられますよ。

介護者や家族がすることは、本人に対して「デイへいきなさい」とか「勝手にキャンセルしない」ということではありません。デイサービスの事業所に対して御願いしておくことが肝要です。「本人が拒否したり、電話でキャンセルしてきても、本人の言うことは聞き流していただいて、当日は必ずデイに連れて行ってください。家族からの御願いです。よろしく。」と事業所に御願いすることです。これがパーソンセンタードケアを実践するということです。

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回答者:伊苅弘之(いかり・ひろゆき)

医療法人さわらび会福祉村病院副院長。医学博士。日本老年医学会・日本老年精神医学会の専門医・指導医。 1957年4月25日生まれ。愛知県名古屋市出身。豊橋市に拠点を構える信州大学医学部卒業後、名古屋大学医学部老年科学教室に入局。記憶に関する基礎実験を行い医学博士を取得。1993年1月から1995年3月までアメリカ国立衛生研究所客員研究員。帰国後、名古屋大学医学部附属病院にて「ものわすれ、認知症外来」を5年間行われました。1999年4月より高齢者のための総合的施設群(1,000人以上の高齢者が生活している)の中心となる福祉村病院に勤務されています。

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