認知機能の低下下方は、平気で嘘ついたり、ごまかしたりするのは、ごく一般的で当たり前にたくさんみられます。あなたの親だけではありません。本人は好きで嘘をわざとついているのではありません。ひどく聞こえたら申し訳ないのですが、周囲が上手に対応して、本人が嘘をつかないように対応していくことで、ご質問のような状態はほとんど消失します。
たとえば、デイサービスにいき、帰ってきた後に、「今日はデイで何をしたの」と質問しますが、記銘力障害といって、すぐ前のことをすっかし直ぐに忘れる方ですと、デイでしたことなどすべてすっかり忘れています。
本人の立場になると、「わすれた、とか、言うと、駄目じゃない憶えてないとよけい悪くなるとか、ひどいこと言われるような気がする、まあ、適当に言っておくか」というように考えて、事実と違うことを言う、そうすると連絡票と違うので、「嘘言って、適当にごまかさないで」という感じですが、プロの認知症ケアの教科書には、忘れてしまっているであろうことを質問してはいけない、とはっきり書かれています。嘘や作話をさせるような行為につながるからです。「デイはたのしかったね、また行こうね」でいいわけです。
考え方を変えるのではなくて、対応や応対の仕方を工夫する、プロがしているやり方に近づけることがポイントです。基本はパーソンセンタードケアです。その方が快適に、幸せを感じるような対応や生活環境作りになります。勝手に自分でデイサービスをキャンセルする方もけっこうおられますよ。
介護者や家族がすることは、本人に対して「デイへいきなさい」とか「勝手にキャンセルしない」ということではありません。デイサービスの事業所に対して御願いしておくことが肝要です。「本人が拒否したり、電話でキャンセルしてきても、本人の言うことは聞き流していただいて、当日は必ずデイに連れて行ってください。家族からの御願いです。よろしく。」と事業所に御願いすることです。これがパーソンセンタードケアを実践するということです。