身体が動かなくなってきた親が辛いと思わずに済むには何ができるのでしょうか?

身体が動かなくなってきた親が辛いと思わずに済むには何ができるのでしょうか?

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私が倒れたり、働けなくなると困る家族がいます。90歳になり先日ようやく施設に入所することができましたが、ここ数年の介護実務はなかなかの負担でした。

認知症ではありませんが、夜間せん妄や思い込みが激しくなったと感じたり頑固に主張をすることも多いです。いつの間にうちの親はこんな風になってしまったのか?どう接することがよかったのか日々迷ってばかりです。

できないことが増え、身体が動かなくなっても生きていかなければならない親がツラいと思わずに済むようにするには何ができるでしょうか。


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私は老年内科という診療科ですが、高齢者の総合内科みたいなものです。若い頃から高齢者の方、認知症の方を診させていただきました。生きるということ、そのものが年をとると大変なことになってきます。痛いところが増えたり、いろいろな病気がでてきたり、思うように身体が動かない、思うように頭が動かない、それをいかにして工夫して上手に生きていけるように援助させていただけるかが、私たち老年内科の仕事なのです。

認知症のケアについてお話しすれば、日本の高齢者の施設のスタッフは、認知症介護実践者研修なるものを受講して、教科書でケアを勉強して、実践の訓練をうけないと施設の経営を継続できないシステムになっています。家庭で介護するご家族には認知症のケアを勉強する場所も限られており、教科書もなく、認知症のケアはものすごい負担になる場合が多いのです。

いろいろな在宅のサービス利用をしても、なかなかその介護負担感は減らすのが難しいものです。本人の立場になってみると、家庭で暮らすのが好きとか家にいたいという方が多いですが、ケアの方法もよく知らない、生まれて初めてのケア(仕事じゃないから、多くの方が初めてのケアですが)をしないといけないのです。

プロは仕事でパーソンセンタードケアを実践します。経験則になりますが、ご家族が一生懸命に誠心誠意介護して、本人もまあまあ普通に生活できていた方が、施設に入ると、家にいたときよりも明るいし元気になったと感じるご家族が多いのも事実です。ご家族も介護しておられた時よりも明るく元気になられることが多いです。ですから、いまはゆっくりして、ご自分の元気を復活させて、ゆとりがでてきたら、何をしてあげらるか検討してみてください。お疲れ様でした。

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回答者:伊苅弘之(いかり・ひろゆき)

医療法人さわらび会福祉村病院副院長。医学博士。日本老年医学会・日本老年精神医学会の専門医・指導医。 1957年4月25日生まれ。愛知県名古屋市出身。豊橋市に拠点を構える信州大学医学部卒業後、名古屋大学医学部老年科学教室に入局。記憶に関する基礎実験を行い医学博士を取得。1993年1月から1995年3月までアメリカ国立衛生研究所客員研究員。帰国後、名古屋大学医学部附属病院にて「ものわすれ、認知症外来」を5年間行われました。1999年4月より高齢者のための総合的施設群(1,000人以上の高齢者が生活している)の中心となる福祉村病院に勤務されています。

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