認知症患者や家族がお互い負担が少なく幸せに暮らす秘訣はどんなことなのかを知りたいです。
また、大変な家族の方へのアドバイス等があれば教えていただきたいです。
認知症の方々の診療を日々しておりますが、外来にくるご家族のなかには、プロで介護や看護をしている方がおられます。仕事で認知症の方のケアをする際には、教科書どおり、実践研修で教えてもらった通りにケアができますが、家に帰って家族のケアをするときは、腹が立ったり怒鳴ったりしてしまいます。仕事でしている通りにできないのですと皆さん言われるのです。
認知症のことをよく知り、ケアの勉強や実践をした人でも家族のケアをするのはものすごいストレスになります。私情が入ってしまい、ぬぐいきれません。だから仕事のようには振る舞えないのです。
また、介護負担感は介護時間と正比例します。本人と接する時間を減らすことがゆとりある介護につながります。家族ができることというのは、マンパワーの活用という言葉でいわれるように、プロの力などを借りながら、すなわち介護保険を利用して、在宅の介護サービス利用を積極的に活用していくことが大切になります。
大変な介護をしておられるご家族の負担ストレスはとんでもなく大きいです。周囲の人間ができることは、相談にのってあげる、愚痴をきいてあげる、介護者のストレス発散のお手伝いをすることです。なんでも相談できる相手が多いほどケアの負担は減らせます。サービス利用をして、みなでケアをしていこうと声かけをしてあげてください。