認知症患者や家族がお互い負担なく暮らせる秘訣はありますか?

認知症患者や家族がお互い負担なく暮らせる秘訣はありますか?

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認知症患者や家族がお互い負担が少なく幸せに暮らす秘訣はどんなことなのかを知りたいです。

また、大変な家族の方へのアドバイス等があれば教えていただきたいです。


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認知症の方々の診療を日々しておりますが、外来にくるご家族のなかには、プロで介護や看護をしている方がおられます。仕事で認知症の方のケアをする際には、教科書どおり、実践研修で教えてもらった通りにケアができますが、家に帰って家族のケアをするときは、腹が立ったり怒鳴ったりしてしまいます。仕事でしている通りにできないのですと皆さん言われるのです。

認知症のことをよく知り、ケアの勉強や実践をした人でも家族のケアをするのはものすごいストレスになります。私情が入ってしまい、ぬぐいきれません。だから仕事のようには振る舞えないのです。

また、介護負担感は介護時間と正比例します。本人と接する時間を減らすことがゆとりある介護につながります。家族ができることというのは、マンパワーの活用という言葉でいわれるように、プロの力などを借りながら、すなわち介護保険を利用して、在宅の介護サービス利用を積極的に活用していくことが大切になります。

大変な介護をしておられるご家族の負担ストレスはとんでもなく大きいです。周囲の人間ができることは、相談にのってあげる、愚痴をきいてあげる、介護者のストレス発散のお手伝いをすることです。なんでも相談できる相手が多いほどケアの負担は減らせます。サービス利用をして、みなでケアをしていこうと声かけをしてあげてください。

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回答者:伊苅弘之(いかり・ひろゆき)

医療法人さわらび会福祉村病院副院長。医学博士。日本老年医学会・日本老年精神医学会の専門医・指導医。 1957年4月25日生まれ。愛知県名古屋市出身。豊橋市に拠点を構える信州大学医学部卒業後、名古屋大学医学部老年科学教室に入局。記憶に関する基礎実験を行い医学博士を取得。1993年1月から1995年3月までアメリカ国立衛生研究所客員研究員。帰国後、名古屋大学医学部附属病院にて「ものわすれ、認知症外来」を5年間行われました。1999年4月より高齢者のための総合的施設群(1,000人以上の高齢者が生活している)の中心となる福祉村病院に勤務されています。

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