「休みたい」という部下に休まないよう伝えるのはパワハラにならないか?

「休みたい」という部下に休まないよう伝えるのはパワハラにならないか?

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部下から「親の介護のため仕事を休みたい」と申し出があった際に、「できるだけ休まない方がよい」と伝えると、パワハラと受け取られてしまう可能性はないでしょうか。


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ご質問ありがとうございます。

おっしゃる通り、上司が部下に「休まないほうがいい」と伝えることは、受け取り方によっては誤解を生む可能性があります。

特に「休みたい」という申し出の直後は、たとえ悪意がなくても、伝え方やタイミングによってはハラスメントと受け取られてしまうおそれがあります。


(なお、親が今日救急搬送された、とか、病院から急に呼び出されたといった即時対応が必要な出来事については止められるような話ではありません。ここでは、少し時間的な余地がある状況での申し出についてのご質問と受け止めております。)


実際に介護を理由に休みたいという申し出があった場合、まず確認すべきなのは「介護について専門家に相談できているかどうか」です。

休む・休まないという判断の前に、誰が・どのように・どこまで対応するかという介護の段取りが決まっていないと、休んでも状況が改善せず、かえって本人の負担が増えてしまうことがあるためです。


一方で、普段から一般論として「介護休業は休んで介護をするためのものではなく、就業継続を目的として体制を整えるためのものである」といった制度のルールや、「介護は家族だけで対応するものではない」という介護保険の考え方を伝えておくのはまったく問題ありません。

前提が共有できていれば、いざというときも上司として適切な支援につなげやすくなります。

雑談ベースで軽く触れておくだけでも、部下にとっては相談のハードルが下がる効果があります。


懸念を感じながらも、部下のためにどう関わるべきかを真剣に考え、丁寧に対応しようとされているその姿勢自体が、信頼関係を築くうえで何より大切なことだと思います。

「研修でこう聞いた」「専門職がこう言っていた」といった伝聞形式で伝えることで、リスクを抑えながら必要なメッセージを届けることもできます。

不安を感じる場合には、無理に一人で対応しようとせず、社内の人事部門や専門の相談窓口につなぐ対応も有効です。


センシティブなテーマだからこそ、焦らず、必要に応じて第三者の力も借りながら進めていけるとよいですね。

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回答者:木場猛(こば・たける)

株式会社チェンジウェーブグループ/リクシスCCO(チーフケアオフィサー) 介護福祉士 介護支援専門員 東京大学文学部卒業。高齢者支援や介護の現場に携わりながら、 国内ビジネスケアラーデータ取得数最多の仕事と介護の両立支援クラウド「LCAT」ラーニングコンテンツ監修や「仕事と介護の両立個別相談窓口」相談業務を担当。 3年間で400名以上のビジネスケアラーであるご家族の相談を受けた経験あり。セミナー受講者数、延べ約2万人超。 【新書】「仕事は辞めない!働く×介護 両立の教科書」(日経クロスウーマン)

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