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お泊まりデイサービスって何?ショートステイとの違いは?

お泊まりデイサービスって何?ショートステイとの違いは?疑問を持つ女性 #介護の知識

「お泊まりデイサービス」や「ショートステイ」という名前を聞いたことはあるけど、内容についてわからない方という方が多いのではないでしょうか。
今回の記事では、お泊まりデイサービスとショートステイの違いや利用方法について解説していきます。

お泊まりデイサービスとは

デイサービス施設で利用者が日中のサービスを受けた後、そのまま施設に宿泊することができるサービスです。
大きな違いは、日中のデイサービスが介護保険適用なのに対し、お泊まりデイサービスは適用外ということ。お泊まりデイサービスは全額自己負担です。

介護保険制度は適用されませんが、サービスの質を確保するために厚生労働省からガイドラインが出されているので、安心して利用できます。
また、ショートステイ(保険適用の短期入所介護)の空きが慢性的に少ないことからも、その需要は高まっているようです。 

急な外出等で高齢者が夜間一人になってしまう場合などは、お泊まりデイサービスは介護者の強い味方となるため、継続利用している方も増えてきています。

 

お泊まりデイサービスの運営基準

利用者が安心してお泊りデイサービスを利用できるように、施設には以下の基準が設けられています。

  • 職員配置基準

以前までは夜勤専門として、介護に関する知識を持たない職員でも、雇用し配置することが認められていましたが、厚生労働省によるガイドラインの発行により、宿泊時間帯の職員として介護職員または看護師の1人以上の常駐が必要です。
参考:厚生労働省ガイドライン

  • 利用定員基準

個室は基本的に1名での利用となりますが、希望する場合は2名までの利用も可能です。
相部屋の場合は最大で4名までの利用が可能です。
希望や必要があると認められる場合を除き、原則男女が同室で宿泊しないことも基準のひとつです。
利用定員は、日中のデイサービス利用定員の半分以下とし、最大でも9人まで。

  • 設備基準

宿泊室の面積にも規定があり、一部屋あたり最低7.43㎡で四畳半以上の広さが確保されていなければなりません。 また、個室ではない場合は、パーテーションなどによって区切る必要があります。

  • 安全基準

防災設備や災害時対応可能な備品の備蓄が必要です。
災害などの非常時のために、保存食や飲料水、懐中電灯など、いざというときに必要なものを備蓄することも規定されています。
消防法に規定されている、消火器やスプリンクラー、火災報知器などの消火設備も設置していなければなりません。

 

お泊まりデイサービスの費用

お金と電卓

お泊りデイサービスは介護保険が適用されないので、費用は全額自己負担です。
保険外のため利用料金は要介護度、個室か相部屋か、施設によって設定料金にばらつきがあります。
相場は1泊3,000円〜5,000円程で、中には1泊利用が数百円程度で済む事業所もあります。

また、利用料金のほか、以下の費用が別途加算される場合があります。

  • 食費
  • 日用品(おむつ代など)
  • 理美容代(※連泊の場合)
  • 洗濯代(※連泊の場合)

また宿泊ということもあり、宿泊当日の日中と翌日にデイサービスを利用することが想定され、デイサービス2日分の料金が必然的にかかってくる場合が多いことも押さえておく必要があります。施設によって宿泊の利用料や諸費用の詳細は異なりますので、詳しくは、利用する施設に直接確認してみましょう。

 

お泊まりデイサービスのサービス内容

お泊まりデイサービスでは一般的にどのようなサービスが提供されるのでしょうか。

宿泊する際に受けられる一般的なサービスを解説していきます。また、対応していないことも紹介します。

食事の提供

 お泊まりデイサービスの施設内で、当日の夕食と翌日の朝食(1泊2食)が提供されることが一般的です。
利用者に合わせて、栄養バランスやカロリーに配慮したメニューはもちろん、“噛む力”や“飲み込む力”に合わせた「介護食」や、「塩分や糖分などを制限した食事」を提供するところや、ビュッフェ形式やコース料理などを提供するなど、食事の楽しさを大事にした工夫をしている施設もあります。

 食費はお泊まりデイサービスの利用料に含まれていないので、別途費用を支払うこととなります。
施設によって異なりますが、1食500円前後と考えておくと良いでしょう。

入浴の介助

 入浴は日中の利用時間帯に済ませる場合が多いですが、施設のスタッフ体制によっては、夜間も入浴可能な場合があります。
就寝前に入浴することでリラックスでき、寝つきが良くなる効果も期待できるため、希望される場合には、施設やケアマネジャーに相談してはいかがでしょうか。
なお、施設によってサービス内容は異なるため、夜間の入浴を希望する場合は事前に施設またはケアマネジャーに確認しておくと安心です。 

排泄の介助

 利用者が宿泊中も安心・快適に過ごすためにも、排泄の介助は重要なサービスのひとつです。
ひとりでは排泄の動作が難しい方や、排泄がうまくいかない方を適時サポートします。一人ひとりの状態を確認しながら、必要に応じて、適時、トイレ誘導、排泄のサポート、パッド・オムツなどの交換が行われます。

就寝準備、起床時の援助

就寝前の洗面、歯磨きや入れ歯洗浄などの口腔ケア、着替えなどの援助が受けられます。
歯磨きや入れ歯洗浄などの口腔ケアや噛む力、飲み込む力など、食事に関わる機能を維持するための重要なものであり、言葉を発するためにも重要な機能が備わっているので、しっかりと正しくケアすることが大切です。
また誤嚥性肺炎を予防するためにも、口腔内の健康を守ることは、健康的な生活の基本です。
翌朝の起床時にも、洗面、整容、歯磨き、着替えなどの援助が受けられます。

ターミナルケアには対応していない

 ターミナルケアとは、余命わずかな方が穏やかな時間を過ごせるよう、看護・介護的なケアをおこなうことをターミナルケアといい、終末期医療・終末期看護とも言われます。

お泊りデイサービスは短期間の利用が前提になっており、自治体によっては利用日数に上限が設けられていることもあります。また、医療処置もおこなえないため、ターミナルケアや見取りの対応は原則行っていないところが多いでしょう。

 

お泊まりデイサービスとショートステイの違いについて

一時的な宿泊ということでは類似する介護サービスにショートステイがあります。
ショートステイとは短期間施設に入所してもらい、入浴、排泄、食事などの介護や日常生活上の世話及び機能訓練を行うサービスです。 

では、お泊まりデイサービスとショートステイ、それぞれのわかりやすい違いは以下の通りです。

介護保険が適用されるかどうか

お泊まりデイサービスとショートステイは介護保険が適用されるかどうかという点が大きな違いとして挙げられます。

お泊まりデイサービスは介護保険が適用されないので、全ての費用が自己負担となります。
しかし、ショートステイは介護保険が適用されるため、サービス利用料である基本料金に関しては1割~3割程度の自己負担になります。
ただしショートステイで提供される食事・滞在費については保険適用外です。

宿泊する部屋の違い

お泊りデイサービスの場合、宿泊を前提にした施設ではないため、個室には限りがあります。
相部屋となり、ほかの利用者と宿泊するケースも少なくないため、十分なプライバシー保護の対応が難しい場合があります。 

一方、ショートステイは、特別養護老人ホームや介護療養型医療施設などの大型施設またはショートステイ専門の施設を利用します。お泊りデイサービスに比べ、ショートステイの場合は個室も多く、プライバシーが確保された環境で過ごせるといえます。

ショートステイは予約が取りづらい

お泊まりデイサービスは予約が取りやすいというのが特徴です。対してショートステイは介護保険適用サービスのため人気があり、施設自体がかなり少ないため、常に空きが少なく予約が取りづらいのが現状です。

また、ショートステイでは基本的にケアマネジャーがケアプランを作成する必要があるため、利用するには1ヶ月ほど前から依頼をしておく必要があります。

それに比べ、お泊りデイサービスは通所介護の施設にそのまま宿泊することができるためショートステイよりも予約もとりやすく、急な場合でも利用しやすくなっています。また、日頃から通い慣れ親しんでいる場所にそのまま宿泊できるので、利用者にとっても安心感があるでしょう。

 

お泊まりデイサービスの利用方法

寝室のベッド

お泊まりデイサービスを利用するためには、要介護認定を受け、デイサービスを利用している事が必要となります。
要介護認定は申請から認定まで約1ヶ月かかります。

要介護認定を受けることができたら、ケアマネジャーまたは地域包括支援センターに連絡をしましょう。
お泊まりデイサービスは日中のデイサービスの延長で宿泊することになりますので、利用者が自分に合うと思うデイサービスを探さなければなりません。
利用したいデイサービス施設に連絡し、希望する日時にお泊りデイサービスの申し込みを行います。
以上の手続きを終えると、指定日からサービスの利用が可能となります。

施設を決める際には複数のサービス提供事業者を比較し、自分の要望に沿った施設を選ぶことが重要です。

 お泊りデイサービスの利用に役立つ方法を2つ紹介します。
自分に合った方法を活用してみましょう。

① ケアマネジャーに紹介してもらう

お泊まりデイサービスを行っている施設を、介護の専門知識を豊富に持つケアマネジャーに紹介してもらいましょう。ケアマネジャーはサービス事業者の紹介や仲介役なども担っており、利用者の状態や希望、家族の要望などを説明しておくことで、その人に合った施設を見つけてくれるでしょう。

② インターネットなどから情報を収集する

ホームページやパンフレット等で施設の情報を見つけ、サービス内容や費用を確認して要望に合う施設を探しましょう。

可能であれば見学・体験利用を通し、実際の雰囲気を掴みましょう。施設を利用するため、他の利用者やスタッフとの相性もデイサービス選びの大切なポイントです。
夜間体制やプライバシーの確保状況など気になる点をチェックすることが後悔しない施設選びのポイントとなるでしょう。

また、実際に利用したことがある人から話を聞いて紹介していただくこともおすすめです。
利用したい施設が決まったら利用申し込みをしてサービス提供事業者との契約を行います。
空きがない場合はケアマネジャーと相談し、別の施設を探してもらいましょう。

 以上の手続きを終えると、指定日からサービスの利用が可能となります。

 

まとめ

  • 介護保険外のサービスのため全額自己負担
  • ターミナルケアには対応していない  
  • ショートステイより予約が取りやすい
  • 介護者の休息や要介護者の気分転換などにも利用することができる
  • お泊まりデイサービスの利用にはデイサービスを利用していないといけない
  • 長期的な利用を考えている場合は他のサービスの利用も検討する

今回はお泊まりデイサービスの基本的な情報について解説しました。
予約が取りやすく、通いなれた施設で宿泊サービスを受けられるというメリットはありますが、プライバシーの確保が難しい・保険適用外などのデメリットもあります。事前情報を集め、実際に見聞きして体験することで自分や家族に合った施設・サービスを選ぶことが大切です。
お泊まりデイサービスの利用先は念入りに検討しましょう。

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この記事は専門家に監修されています
 介護プロ
金山峰之(かなやま・たかゆき)

介護福祉士、社会福祉士、准看護師。福祉系大学卒業後、20年近く在宅高齢者介護に従事。現場専門職の傍、介護関連の講師業(地域住民、自治体、国家公務員、専門職向け等)や学会のシンポジスト、介護企業向けコンサルティング事業、メーカー(ICT、食品、日用品等)へシニア市場の講演などを行っている。
厚生労働省関連調査研究事業委員、東京都介護人材確保関連事業等委員など経験。
元東京都介護福祉士会副会長。政策学修士。

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